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シーズンⅢ 第四話 暗殺者

 こんにちは。作者の「野生の書生」です。

 前回はグランツ公爵が連行されてしまうところまでを書かせていただきました。

 今回はその続きからです。


 本作はいじめや暴力の描写を含みますので、苦手な方はご注意してください。

 主人公が理不尽な暴力や、過去のトラウマと闘いながら成長していく物語なので、お付き合いいただければ幸いです。


 この物語はフィクションです。登場人物・団体および地名等における名前や設定はAIと相談しながら決定しています。実在の人物・団体・地名等は一切関係ありませんので、ご容赦ください。

 カイルからグランツ公爵の連行を聞き、俺たちは急いで公爵邸に向かった。


 公爵邸に着くと、主を失った邸宅は外見上はいつもと変わらない様子ではあった。

 俺たちは執事に連れられて、いつもの応接室に向かった。


 ——だが、そこには憔悴しきったアリアの姿があった。


 「アリア様!しっかりなさってください!」

 カイルが体を支える。


 だが、アリアの目はいつもの毅然とした光を失い、今は何も映っていないようだった。


 結局その日は、アリアは寝室で休ませることとなり、俺たちは応接室でカイルに、ここまでの経緯を説明していた。


   ◇


 「貴殿らが、私の立場に配慮しての結果だとは理解しているが........、もう少し早く教えてほしかった。」

 カイルはそう言っていた。


 「すまない。俺もどこまでが事実かわからなかったんだ。」

 ジークフリートが答えた。

 

 カイルは念写を机の上から拾うと、それを見ながら言った。

 「この念写はアリア様にとっては諸刃の剣だ。閣下の無実を証明する糸口にもなりうるが、念写としてはまるで閣下に後ろ暗いところがあった証拠のようにも映る。今のアリア様に、これを見せることは.......賛成できない。」


 カイルはそう言うと、念写を置いてそれ以上はもう何も言わなくなった。


 「アリア......、大丈夫なの?」

 クロエは聞いていた。


 「しばらくは安静にしていただくほかない。鉱山の所有者の件と、この念写の件は我々だけで......」

 カイルが続けた、その時だった。


 「何をコソコソと相談してらっしゃるのかしら。」


 応接室のドアが開け放たれて、毅然とした声とともにアリアが入ってきた。

 その背筋はいつも以上にぴんと伸ばされていた。


 「この仕事は私の"最後の冒険"、そして父上から授かった"命令"です。私を抜きにして相談するなんて水臭いのではありませんか。」


 言葉はいつも通りのアリアだ。だが、その眼には隈ができていた。

 やはり休んでもらった方が——。

 俺はアリアに休むよう声を掛けようとしたが、押しとどめられた。


 隈ができたアリアの双眸の奥に、見たこともない熱量をもった光が宿っていることに気づいたからだ。

 伸ばされた背筋と併せて、その佇まいはアリアに鋼鉄の意志が宿っていることを感じさせた。

 

 「さあ、作戦会議を始めましょう。」

 アリアはそういうと席に着いた。


 俺も、クロエも、エレナも、カイルも、ジークフリートも、もう何も言うことができなかった。


   ◇


 翌日、俺たちは皆そろって、鉱山所有者の自宅に向かっていた。

 アリアも一晩経ったことで目の隈は消えて、表面的にはいつも通りのアリアとしてついてきている。


 王都の西側にある鉱山の所有者宅に着くと、俺はドアをノックした。

 しばらく待ったが返事はなかった。

 ——留守か?


 そう思った瞬間、俺の胸元につけたペンダントが突然激しく光り始めた。

 強力な魔力の存在をペンダントが感知したのだ。


 誰かいる。いや、——何かが来る。


 俺は空に向けて手を掲げた。全力の防御魔法を空に向けて張った。

 カイルたちも即座に剣を抜いて反応する。

 ——が、視界の端に移ったアリアの反応はやはり一瞬遅れていた。


 次の瞬間、俺の防御魔法の傘に何かがぶつかってはじき返された。

 ——鳥?


 だがそれは俺の世界のカラスよりも二回りは大きく、黒というよりも紫に近い羽根の色をしていて、その目は赤くて大きかった。

 ——魔物だ。


 王都の中にまで魔物が入り込んでいるということにも驚いたが、なぜこのタイミングで俺たちを襲ってきた?

 俺は魔物が飛んできた方向に目を凝らした。


 すると少し離れた火の見櫓の上に、フードをかぶった男が一人立っているのが見て取れた。

 そいつの肩には先ほどの魔物と思われる怪鳥が乗っていた。


 あいつが怪鳥をけしかけたのか?

 鑑定魔法でフードの男のステータスを調べてみた。

 ——レベル80のモンスターテイマー。

 その佇まいは孤独にして、つかみどころのない異質な雰囲気を纏っていた。


 「あの姿......、たぶん暗殺者ね。」

 エレナが言った。

 

 「残念。姿を見せずに殺すのが僕の十八番なのに。まさか気づかれちゃうとはね。」

 フードの男は俺たちの姿を見下ろしながら言った。

 

 「そこの鉱山所有者......。用済みだから殺そうと思ってきたけど、レベル99の戦士と鉢合わせとは、僕は本当に運がない。」


 言葉とは裏腹に、全く動揺もしていない様子の暗殺者の出現に、俺たちはただその場に立ち尽くしていた。


 第四話も読んでいただき、ありがとうございました。

 暗殺者キャラということで、本当はもっと隠微で影のあるキャラクターを書こうかと思いましたが、舞台映えを考えて、変更しました。強者同士のバトルもののような展開にしてみたかったのです......。


 次回は、2026年9月27日7時10分更新予定です。


 高評価、感想、ブックマーク等いただけたら、作者も嬉しいのでよろしくお願いします。

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