シーズンⅢ プロローグ 帰還
こんにちは。作者の「野生の書生」です。
シーズンⅢも開いていただきありがとうございました。
前シーズンでは「腐敗貴族グループ」の資金源である違法鉱山の摘発を書かせていただきました。
今回はその続きからです。
本作はいじめや暴力の描写を含みますので、苦手な方はご注意してください。
主人公が理不尽な暴力や、過去のトラウマと闘いながら成長していく物語なので、お付き合いいただければ幸いです。
この物語はフィクションです。登場人物・団体および地名等における名前や設定はAIと相談しながら決定しています。実在の人物・団体等は一切関係ありませんので、ご容赦ください。
鉱山の仕事を終えた俺たちは、再び王都に帰還していた。
今は公爵家の馬車に乗り、公爵邸に向かっている。
——だが俺はジークフリートの様子に違和感を覚えていた。
ジークフリートは温泉街を出てからこっち、俺らをからかうような言動を何一つしてこなかったのだ。
まあ、それはそれで平和なのだが。
「なあ、ジークフリート。」
俺は声を掛けてみた。
「.............ん。」
ジークフリートが返事をするが、やはり反応が遅い。
「なんかあったのか。温泉街を出てからずっとお前変だぞ。」
カイルたちもその様子に気づいていたようで、ジークフリートの方を見る。
「いや...。なんでもない。」
ジークフリートは返してきた。
「そうか...。」
俺は納得したわけではないが、それ以上は聞かなかった。
ジークフリートは坑道で黙とうをささげていた。あの姿を見てから、俺はジークフリートの過去に踏み込んでいろいろと聞き出してしまった以前の自分を反省していたこともある。
ジークフリートが話したくなったら、そのときに全力で聞くことにしよう。
俺はそう決めた。
馬車が公爵邸に入っていく。
アリアもカイルも、自分たちの居場所に戻ってきて、これで本当に一息つけるというものなのだろう。
もっとも俺も含めて、これからグランツ公爵——アリアの父親に今回の結果を報告する仕事が残っているのだが。
俺たちは公爵邸のいつもの応接室に向かうものかと思ったが、今日は応接室ではなく、グランツ公爵の執務室へと通された。
赤絨毯の敷かれた階段を上がり、屋敷の奥まで進むと、その広大さを改めて感じさせられた。
坑道の中で監視役の男たちを次々と倒していったアリアだが、やはりこの屋敷に住まうお嬢様でもあるのだろう。
俺は改めてそう思い、先を行くアリアの背中を見た。
しばらく歩いて、執務室の前に俺たちは到着した。
物々しい扉はまだ閉まっているというのに、中にいるであろう人物の荘厳なオーラがにじみ出ているように感じた。
俺は息を呑んで、直立不動になった。
「アリア・ロゼ・グランツです。ただいま戻りました。」
アリアが扉に向かって声を掛ける。
「——入りたまえ。」
執務室の重厚な扉がゆっくりと開かれていった。
プロローグをお読みいただきありがとうございました。
前回のエピローグで書かせていただいた通り、今シーズンからは10月12日の完結に向けて平日二回、休日三回更新へと移行させていただきます。
更新頻度が落ちてしまい、申し訳ありませんが、物語は必ず完結しますので、引き続きの応援をよろしくお願いします。
次回、第一話は2026年9月25日21時10分に公開予定です。
高評価・感想・ブックマーク等いただければ、励みになりますのでどうかよろしくお願いします。




