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シーズンⅡ エピローグ ジークフリートの散策

 こんにちは。作者の「野生の書生」です。

 今回は鉱山編のエピローグです。


 本作はいじめや暴力の描写を含みますので、苦手な方はご注意してください。

 主人公が理不尽な暴力や、過去のトラウマと闘いながら成長していく物語なので、お付き合いいただければ幸いです。


 この物語はフィクションです。登場人物・団体および地名等における名前や設定はAIと相談しながら決定しています。実在の人物・団体・地名等は一切関係ありませんので、ご容赦ください。

 温泉街に一泊した俺たちだけど、カイルの傷を療養するためにもう一泊することとなった。

 

 「これ以上みんなを足止めするわけには.........。」

 カイルはそう言ったが、アリアの厳命により、もう一日安静に過ごすこととなったのだ。

 

 他のメンバーもそれに同意した。

 まあ、公爵家のバックアップで温泉宿に泊まれるのだから悪い話でもなかった。

 

 かくして、俺は今温泉宿の部屋でのんびり過ごしている。

 カイルものんびり——していなかった。カイルは俺たちが坑道に入っている間に、外で待機していた騎士団が鉱夫や監視役の男たちから聞き出していた情報をまとめた調書に目を通していた。

 

 俺はやれやれ、と思いながら天井に視線を移す。


 クロエとアリアとエレナは街に散策に出かけた。


 「暇だ。ちょっと出かけてくる。」

 ジークフリートもそう言って外出していった。


 「一緒にどうだ」

 とも言われたが、カイルはあの様子だし、俺も今日はゆっくりしていたかったから宿に留まることにした。


   ◇


 ジークフリートは温泉街を散策していた。

 土産物屋、足湯、飲食店.............ジークフリートはそれらの店を横目に一軒の店を目指していた。

 目的の店——団子屋に着くと、列に並んだ。ジークフリートは甘党でもあったのだ。


 「この店は外せないよな。」

 この店の団子は地元の名物で、王都でもその名前が知られているほどだ。

 立ち寄る機会をうかがっていたが、温泉街に連泊ということになり、思わぬ形でそれが実現した格好だった。


 「あれ........。もしかして。」

 不意に背後から声を掛けられた。


 ジークフリートは警戒態勢に入った。

 だが、後ろにいたのは少女——昨日、人柱から救出した一人だった。

 

 ジークフリートは店の近くのベンチに腰を下ろすと団子を口にしていた。

 やはり、うまい。ジークフリートは満足げに団子の刺さった串を手に取っていた。

 そして、隣には人柱だった少女——サーシャがいて、ひたすら団子を口にするジークフリートを面白いものを見ているかのように見つめていた。


 サーシャはジークフリートに”お礼がしたい”と言ってきたのだ。

 ジークフリートは仕事だと言って断ったが、サーシャはそれなら団子を一緒に、と言ってきたので二人分の団子を買って、今に至っている。


 俺の顔が怖くないのか?とジークフリートは思ったがもちろんそんなことは聞かない。

 ただ黙っているのもなんだと思い、


 「どうして、洞窟の中なんかにいたんだ。」

 と声を掛けた。

 

 「お父さんを探してた。」

 サーシャは答えた。

 

 サーシャ曰く、彼女の父親は故郷の村で奴隷狩りに遭い、連行された。

 サーシャは村を離れていたので難を逃れたが、そのことを知ると父親を探し始めた。

 その結果、あの鉱山にたどり着き、坑道に近づいたもののトラップにかかって人柱にされたのだそうだ。

 あの後、騎士団に頼んで、解放された鉱夫の中に父親がいないか探したが見つからなかったと、少し悲しそうな顔をしながら語った。

 

 「ちょっと待ってろ。」

 ジークフリートは声を掛けると団子屋の方に行き、店の人に紙と筆を借りていた。


 「ほらよ。」

 ジークフリートは紙を差し出す。

 そこには騎士団が管理する施設の住所が書かれていた。

 

 「騎士団は森の中にある奴らの根城をつぶしたときに何人かの人質を保護した。その中には元々は鉱山で働かされていた奴らもいたって話だ。確証はねぇがその中にいるかもしれない。」

 ジークフリートがそういうと、サーシャはぱっと顔を明るくした。

 

 「本当にありがとうございます。」

 

 「団子の礼だ。——言っとくけど確証はない。ぬか喜びだったら許してくれ。」

 

 「いいえ。手掛かりがなくなって途方に暮れていたんです。そうだ、これお礼になるか分かりませんが——。」

 サーシャは懐から一枚の紙を取り出した。

 それは写真のように精巧な絵——”念写”だった。

 

 「私の能力の一つで.........。坑道に近づいたときに見た、あいつらの仲間の顔を思い出して作ってみたんです。お役に立つかはわかりませんが、受け取ってください。」

 

 「ああ、ありがとう。」

 ジークフリートはそれを受け取ると写し出された男の顔を凝視した。

 それと同時に表情には出さなかったが、——嘘だろ、と心の中で繰り返していた。


 「それじゃあ、私はこれで。本当にありがとうございました。」

 サーシャは立ち去っていく。


   ◇


 それと入れ替わるように、クロエとアリアとエレナの声が聞こえてきた。

 

 「エレナ。レオンと夕べ何があったの?」

 クロエがエレナに聞く。

 

 「それは秘密。」

 エレナが嬉しそうに——すこし悪戯っぽい笑顔で応じる。

 

 「あらあら。」

 とアリアが続く。


 「あれ。ジークフリートじゃない?」

 クロエがジークフリートに気づき、「おーい。」と手を振る。


 ジークフリートは慌てて”念写”を懐にしまった。

 ”念写”に映し出された光景。監視役の男たちになにやら指示を出しているかのように見える男が写っていた。


 そこにはグランツ公爵——アリアの父親の顔が写っていたのだ。


 ~シーズンⅡ 完 ~

 シーズンⅢからは王都を舞台に、さらに物語が進展していきます。

 私も、より多くの方にこの物語を手に取っていただきたいと思っていますので、続きが気になるという方や、応援して下さる方は是非、ブックマークに追加や、評価でご協力していただければと思います!


 最後に、シルバーウィークから始まった私の挑戦に、読者として縁のあった皆様に改めてお礼申し上げます。

 本当にありがとうございました!


 【シーズンⅢ プロローグは2026年9月25日7時10分公開予定です。】

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