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シーズンⅡ 第四話 星空の下で

 こんにちは。作者の「野生の書生」です。

 前回はトラウマを呼び起こされたレオンが、エレナの手を振り払ってしまうところまでを書きました。

 今回はその続きからです。


 本作はいじめや暴力の描写を含みますので、苦手な方はご注意してください。

 主人公が理不尽な暴力や、過去のトラウマと闘いながら成長していく物語なので、お付き合いいただければ幸いです。


 この物語はフィクションです。登場人物・団体および地名等における名前や設定はAIと相談しながら決定しています。実在の人物・団体・地名等は一切関係ありませんので、ご容赦ください。


 エレナの手を振り払ってしまった後、俺はすれ違う人の顔を見ることもできずに、うつむいたまま歩いていた。


 部屋に戻ろうかとも思ったが、部屋にはいずれカイルやジークフリートが帰ってくる。

 二人に気を遣わせたくなかった、——いや、今の俺の姿を見られたくなかった。

 

 だから、俺は宿の外にでて、温泉街のベンチに腰掛けて、一人で夜風に当たっていた。

 空を見上げると、俺の世界とは比べ物にならない、満天の星空が広がっていた。


 ——どうしてこうなるんだ。

 クロエも、アリアも、ジークフリートも、そしてエレナも.......、俺の記憶の中の奴らとは何の関係もない。

 なのにどうして、俺の心は仲間を傷つけることしかできないんだ。


 「ここにいたのね。」

 

 背後からの声に、俺は驚いて振り返った。

 エレナの顔がそこにあった。その手には飲み物の瓶が二本握られていた。


   ◇


 「はい。これ飲んで。まずは落ち着いて。」

 エレナから飲み物の瓶が渡された。


 「ああ.........。ありがとう。」

 俺はそれを受け取って一口飲む。エレナも俺の隣に、だけど少しだけ距離を空けて座ってきた。


 俺の隣でエレナも飲み物に口をつける。

 その横顔はさっきと変わらないはずなのに、高坂優衣奈の面影はどこにもなかった。


 「あの.......。さっきは悪かった......。俺.........ちょっと動揺していて。」

 俺は消え入りそうな声で言った。


 「ううん。いいの。」

 エレナはそういうと、俺の顔を見て、少し考えてから言った。


 「前から聞きたかったんだけど、レオンって時々私の顔を見て怯えている時があるなあって思っていたの。だから、もしも私が、私の知らない場所でレオンを傷つけていたのなら、私の方こそ謝らせて。」

 エレナはそっと寄り添うように言った。


 ——なんで。どうして俺なんかのためにそこまで言ってくれるんだ。俺は何の罪もない君のことを——。


 「..........君のせいじゃない。詳しいことは話せないけれど、これは俺の心の問題なんだ。これだけはわかってほしい。エレナは何も悪くない。断じて何も悪くなんかないんだ。」

 俺は力を込めて言っていた。

 

 「そっか。なら良かった。」

 エレナはそういうとすっと立ち上がった。


 「レオンのこと、全部わかってあげることはできないけど..........。もしも私がレオンを傷つけているんだったら、私が私を許せなかったから。『私は悪くない』ってレオンの言葉、信じるよ。」


 「エレナ..........。」

 俺は罪悪感で胸がつぶされそうだった。でも、どこか救われた気分だった。




 「おーい。ご両人!」

 背後からジークフリートの大声が聞こえた。俺とエレナは驚いて、振り返る。

 

 「まったく、ジークフリート殿は............。」

 カイルが額に手を当てながら、一緒に立っていた。


 「さっきは本当に悪かったな。早く謝らないと、と思ってきたけど........。どうやらお邪魔だったようですな。」

 ジークフリートは俺のところに駆け寄ると、エレナの方に視線を向けながら言った。

 この人は謝る気があるのかないのか。でも、もうそこには「吾妻翔也」の顔はなかった。


 「もう大丈夫だ。明日は早い。もう寝るぞ。」

 俺は立ち上がると、宿に向かって歩き出そうとした。

 

 「待って。レオン。」

 エレナが呼び止める。

 

 「レオンの心の問題、...........私にはわからないって言ったけど、私は私ができることでレオンの力になりたい。だから明日は全力で協力させて。」

 エレナはそう言っていた。


 「ああ。明日もよろしく。」

 俺はジークフリート達に続いて宿に戻っていった。


   ◇


 俺はカイルとジークフリートと部屋に戻ると、布団に入った。

 眠れるか心配だったが、自然と睡眠に入ることができた。



 ——ジークフリートのいびきに目覚めさせられるまでは。

 俺とカイルはジークフリートをたたき起こすと、協力して部屋の外に追放していた。

 第四話も読んでいただきありがとうございました。

 今回はストーリーとしては少し短めでしたが、エレナとの絆が描かれる場面として作者が特に力を入れたかった箇所だったので、独立した一話としました。


 さて、次回は満を持して鉱山に乗り込むわけですが、約一名寝不足の人がいないか心配です。(笑)

 番外編『勇者パーティの部屋を追放された俺、廊下で寝かされて寝不足な件』(ジークフリート著)も書こうかと思いましたが、さすがにやめときます............。


 次回、第五話は2026年9月23日7時10分、公開予定です。


 高評価・感想・ブックマーク等をいただければ、作者もぐっすり眠れるのでよろしくお願いします。

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