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第十一話(第Ⅰシーズン最終話) 真相

 こんにちは。作者の「野生の書生」です。

 前回は、魔石密売組織のアジトへの突入を書かせていただきました。

 今回は、投降してきた謎のエルフの真意に迫ります。



 本作はいじめや暴力の描写を含みますので、苦手な方はご注意してください。

 主人公が理不尽な暴力や、過去のトラウマと闘いながら成長していく物語なので、お付き合いいただければ幸いです。


 この物語はフィクションです。登場人物・団体および地名等における名前や設定はAIと相談しながら決定しています。実在の人物・団体・地名等は一切関係ありませんので、ご容赦ください。

 公爵邸に戻った俺たちは、カイルからその後の状況を聞いていた。

 カイルの口から語られた”真相”は俺の予想を超えるものだった。


 ——あのエルフ、本名は”エレナ”といい、その正体は「王室に雇われて魔石密売組織に潜入していた間諜(スパイ)」だったそうだ。


 地下道で俺たちを攻撃してきたのは、作戦会議の真っただ中に現れた侵入者をほかの幹部の目につく前に追い払うため、だったそうだ。

 先にもたらされた「王室経由の情報」もエレナがもたらしたもので、地下道にいた幹部と森の廃墟にいた幹部が一同に会した今こそ一斉摘発のチャンスと見て、危険を顧みずに王室にコンタクトをとった、ということだった。


 クロエは狐につままれたような顔で、カイルの報告を聞いていた。

 俺はカイルの報告に嘘はないと信じているが、エレナと呼ばれたあのエルフのことを本当に信じていいのか、決めかねていた。


 「失礼します。エレナ様がレオン様たちとお話ししたいとのことで。通してもよろしいでしょうか。」

 部屋に入ってきた従者が、アリアとカイルに問うた。


 「構いませんわ。どうぞ。」

 アリアが言った。


 ちょっと待て——。俺はまだ心の準備が——。


 エレナが部屋に入ってくる。

 何も知らない人から見れば、まぎれもない白銀の美少女だ。

 だが、その顔は俺にとっては——。


 頭の中がパニックになる。俺は何も言い出すことができず、エレナに顔を向けることができなかった。


 俺が慌てている様子を見て、なにか勘違いしたのかクロエは頬を膨らます。

 アリアは地下道の戦闘の恐怖が残っているのではないかと心配そうに俺を見つめる。


 ——違うんだ。クロエ、アリア。俺が今、エレナに顔を向けられないのは別の理由なんだ。

 俺は心の中でまくしたてていた。


 「地下道では怖がらせてしまってすみませんでした。」

 席に着いたエレナは、俺がおびえている様子を見て、そう切り出した。


 俺は必死に顔を上げた。

 目の前にエレナの、高坂優衣奈と同じ顔が現れる。

 俺はなんとか平常心を保って、背中に冷や汗が流れるのを感じながら、目線を合わせた。


 「あなたのあの魔力量、とても見事でした。しかも私たちが一年以上そこにいながら気づけなかった脱出口まで見つけ出して。——あなたの機転と仲間を守ろうという意志に、心から敬意を表します。」

 

 エレナは手を差し出してきた。握手を求めてきたのだ。

 俺はその手を握り返すことはできなかった。


 しばらくすると、エレナは少し寂しそうな目をして、その手を戻した。


 「まだ信じていただけていないのなら仕方ありません。でも、その警戒心も、この世界で長生きしていく人間には必要なことです。やはりレオン様は本当にお強い方ですね。」

 エレナはそういうと俺に向かって微笑みかけた。

 その笑顔に、冷酷さは一切なかった。


 ——この世界は、本当にどうなっているんだ。

 クロエといい、アリアといい、みんな本当に底抜けに良い人たちだ。

 目の前にいるエレナも、任務のために危険な組織に潜入して、汚れ役を買って、俺に握手を拒絶されても微笑みかけてくれている。


 「いえ........。俺の方こそ、事情を知らなかったとはいえ失礼な振る舞いをしてすみませんでした。」

 俺は絞り出すような声で言っていた。


「あなたが謝ることなんて何もありません。今日はレオン様に、地下道でのお詫びと、私の任務を終わらせてくれたことに対して、お礼を申し上げに来たのです。レオン様、本当にありがとうございました。」

 エレナはフフッと笑うと、そう告げてもう一度俺に頭を下げた。



 「レオン様。この度は公爵家の依頼を果たしてくださり、本当にありがとうございました。クロエ様も、エレナ様も。私たちのためにお力添えいただけたこと、公爵家を代表してお礼を申し上げます。」

 アリアはそう言って、俺たちの仕事を労ってくれた。




 「それで..........。ご相談なのですが........。」

 アリアは少し言いにくそうな素振りをしていたが、意を決したように言った。


 「この後、腐敗貴族グループの捜査が始まります。レオン様、クロエ様、エレナ様。あなたたちには是非、引き続き公爵家にお力をお貸しいただければと思います。」


 え、これまだ続くの——?

 

 俺はそう思ったが横からクロエが、


 「『特別専属会員』だもんね。断るわけにはいかないよ。」

 といたずらっぽく微笑みながら耳打ちする。

 

 「わかりました。王室との契約はこれで終わりましたから。——レオン様、これからはぜひご一緒させていただければと思います。」

 エレナは俺の側に寄ってきて言った。


 「ちょっと!近いわよ!」

 すかさずクロエがエレナに一喝する。


 「カイル、もちろんあなたにも協力してもらうわよ?」

 アリアはカイルの方を振り向いて言った。


 「もちろんです。不肖このカイル、誠心誠意、任務を全うさせていただきます。」

 カイルは姿勢を正して応じていた。



 ——あ、これもう流れ決まっているやつだ。

 俺は仕方なく、でもなぜかそんなに悪い気はしない新たなパーティの結成を受け入れていた。


   ◇


 これは、事故死した俺が女神の祝福(スパルタ)の果てに、異世界で自分の居場所を作り出す物語。

 外見は少々心臓に悪いけれど、間違いなく俺の仲間と呼べる人たちに囲まれて、俺の冒険は新たなステージに進もうとしていた。



~シーズンⅠ 完~


☆ エピローグも公開予定なので、よろしくお願いします。

 第十一話、第Ⅰシーズン完結まで読んでいただきありがとうございました。

 さて、第一話で転生を決断した孤独な主人公が、ついに異世界で「仲間」と呼べる人たちとパーティを組むまでに至りましたが、ここでこの話はいったん完結します。

 作中でアリアが言及していた通り、このあとレオン一行は魔石密売組織とつながっていた「腐敗貴族グループ」との戦いに移行していくわけですが、それについては次回以降のシーズンとして執筆していきたいと思います。

 その前に、エピローグも公開(2026年9月21日22時30分)しますので、そちらも読んでいただければと思います。


 本当にここまでお付き合いいただきありがとうございました。

 読者の皆さまの感想もぜひ聞いてみたいと思っていますので、簡単な一言でも結構ですのでコメント、もしくは評価等いただければ幸いです。(ログイン制限がかかっていたようなので外してみました。)


 【次のシーズン】

 シーズンⅡ(鉱山編)のプロローグは2026年9月22日7時10分に公開予定ですので、新結成されたレオンのパーティの冒険に、引き続きお付き合いいただけたらと思います。

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