第41話 世紀の凱旋 〜江都を揺るがす歓喜の鐘〜
いつも作品を追っていただき、本当にありがとうございます! 飛鳥創です。
世界一周の壮大な航海を成し遂げた開花丸が、ついに故郷・瑞穂国へ帰還いたしました!
本日お届けする第41話は、江都十万の民が待ち受ける世紀の大凱旋式典。
そして、宗介と沙羅の歩んできた奇跡が最高位の栄誉として報われる、本編の最高潮のクライマックスとなります。
ぜひ熱気と歓声のパレードを一緒にお楽しみください!
――ボォォォォォォォッッッッ!!!!!!!
旭光を浴びて輝く湊浦の海に、世界一周の偉業を成し遂げた外洋蒸気船『開花丸』の重厚な汽笛が、万雷の雷鳴のように轟き渡った。
湊浦の海岸沿いに築かれた台場と要塞から、轟音と共に【二十一発の祝砲】が青空へと打ち上げられる。
岸壁を埋め尽くした数万人の武士、職人、町人たちから、大地を揺るがすような割れんばかりの大歓声が沸き起こった!
「帰ってきたぞォォッ!! 世界を一周して戻ってきたァッ!!」
「万国博覧会で世界一の金賞を獲ったぞォォッ!!」
タラップから降り立った宗介と沙羅、そして小夜、宗兵衛、作造たち使節団を、老中筆頭・西園寺正信が満面に涙を浮かべて出迎えた。
正信は宗介と沙羅の肩を力いっぱい抱きしめ、声を震わせた。
「よくぞ……よくぞ無事に戻ってくれた! そなたたちの持ち帰った栄誉と対等の条約は、この瑞穂国の永遠の誇りじゃッ!」
だが――祝祭はここからが本番だった。
「さあ、宗介先生、沙羅様! 江都の街中が、お二人の凱旋を待ち焦がれて首を長くしておりますぞ!」
作造に促され、使節団一行が乗り込んだのは――真紅の錦と金糸で華やかに装飾された特別御召客車を牽引する、蒸気機関車【開拓一号】だった。
ポォォォォッ! シュポッ、シュポッ、シュポォォッ!
白煙を吹き上げ、鉄のレールの上を力強く疾走する開拓一号。
湊浦停車場から江都停車場までの十里(四十キロ)の線路沿いには、近隣の農村や相模野の緑川村から駆けつけた何万人もの人々が、鈴なりになって手を振っていた。
「宗介先生ェッ! 沙羅様ァッ!」
「おい見ろ、先生が手を振ってくださったぞ!」
開け放たれた展望デッキから、沙羅と宗介が並んで笑顔で手を振り返す。
沿道の民衆から色とりどりの花びらと歓声が降り注ぎ、列車はわずか四十五分で、熱狂渦巻く大都会・江都の玄関口【江都停車場】へと滑り込んだ。
停車場から江都城へと続く大通り。
美しく敷き詰められた舗装道路の両脇には、十万人を超える江都の町民たちが溢れかえり、萬代橋の上からは、色とりどりの祝賀花火が昼の青空へと打ち上げられていた。
千鳥川の清流を渡り、大手門をくぐって江都城の中枢――大広間【瑞光殿】へ。
重厚な襖が開かれると、上座には紫の直衣をまとった若き第十四代将軍・東条家治が座し、左右には居並ぶ親藩・譜代大名、旗本たちが、息を呑んで使節団を迎えた。
宗介と沙羅は、万国博覧会の黄金の名誉大賞トロフィーと、世界各国から託された親書を携え、赤絨毯の上を進んで深々と平伏した。
「上様。瑞穂国世界親善使節団、大洋を越え、万国博覧会にて最高金賞を受賞し、欧州列強との対等通商条約を結び……世界一周の航海を無事に完遂し、ここに帰還いたしました」
宗介の凛とした報告に、若き将軍・家治が立ち上がり、万感の笑みを浮かべて宣言した。
「……見事であった、司馬宗介、西園寺沙羅。そなたたちの知恵と勇気は、我が国の主権を守り抜き、瑞穂国を世界最高峰の文明国家として天地に示してみせた。……天下万民を代表し、心より礼を申す」
家治は側近に合図し、三方に載せられた黄金の証書と、最高格式の【葵の御紋入り陣羽織】を宗介の前に運ばせた。
「司馬宗介。そなたの不滅の功績を称え、公儀最高位の役職――【公儀最高技術総裁(大老格)】に任じ、従四位上の官位を授ける!」
瑞光殿に、どよめきと満場の拍手が鳴り響いた。
一介の召喚された若者が、己の科学の知恵と誠実さだけで、国家最高位の重職へと上り詰めた瞬間だった。
そして――。
拍手が鳴り止んだ静寂の中、老中筆頭・西園寺正信が、威風堂々たる足取りで前へ進み出た。
「上様、ならびに居並ぶ諸侯の方々! ……このめでたき日に、我が西園寺家より、天下へご報告申し上げたき儀がございます!」
正信は宗介と沙羅を振り返り、慈愛に満ちた笑みを浮かべた。
「我が娘・沙羅と、公儀最高技術総裁・司馬宗介殿は……苦難の時も栄光の時も、常に手を取り合い、命を預け合ってこの国の夜明けを拓いてまいりました。……ここに、二人の婚姻を結び、生涯の伴侶とすることを、公儀の認めるところとして天下に披露いたしたく存じまする!」
「おおおおおおっ……!!」
瑞光殿中から、これまでにない最大級の祝福の歓声と拍手が爆発した!
大名たちも、幕閣も、武士たちも、全員が立ち上がって満面の笑みで祝意を送っている。
「沙羅、宗介。……余も心より二人の門出を祝福しよう。瑞穂国の未来は、そなたたちと共にある!」
家治公が温かく頷いた。
「沙羅さん……」
宗介が隣を見ると、沙羅は耳の先まで真っ赤に染め上げ、感極まった大粒の嬉し涙をぽろぽろと零しながら、宗介の腕にぎゅっと抱きついていた。
ふわりと漂う、清涼な白檀と甘い撫子の香り。
「宗介……っ。妾は……妾は世界一、幸せ者じゃ……!」
「沙羅さん。ずっと、ずっと一緒に、この国と未来を歩んでいきましょう」
二人は見つめ合い、天下の祝福の光の中で、永遠の絆をしっかりと結び合った。
城外からは、江都中の寺社から打ち鳴らされる歓喜の鐘の音と、十万の民衆が祝う歓声が、どこまでもどこまでも空高く響き渡っていた。
未開の寒村から始まった、スマホとAIの文明開化の軌跡。
物語は、すべての民が笑顔で満ち溢れる『最高の大団円』――運命の第42話(最終回)へと向かうのだった!
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