第42話 夜明けの国の未来 〜AIと歩む不滅の絆〜(本編完結)
いつも本作を温かく見守っていただき、心より感謝申し上げます! 飛鳥創です。
相模の寒村から始まった、司馬宗介と西園寺沙羅の物語。
本日お届けする第42話をもって、本編堂々完結となります!
二人の晴れやかな天下祝言、そして数年後の平和な瑞穂国の姿を、ぜひ最後まで温かく見届けていただけましたら幸いです。
※なお、明日は特別後日談(エピローグ・第43話)として、未来の世界を描いた番外編をお届けいたします!
江都城下に、秋の澄み切った青空がどこまでも広がっていた。
この日、大都会・江都は、瑞穂国の歴史上かつてないほど絢爛豪華で温かな喜びに包まれていた。
公儀最高技術総裁・司馬宗介と、老中筆頭の愛娘・西園寺沙羅の【天下祝言(ご婚礼の儀)】。
西園寺邸の大広間には、純白の絹糸で撫子と葵の御紋が刺繍された神々しい白無垢をまとい、綿帽子をかぶった沙羅が座していた。
白粉に映える紅を差し、大粒の嬉し涙をこらえながら宗介を見つめるその美しさは、居並ぶ誰もが息を呑むほどだった。
その隣には、黒紋付羽織袴を端正に着こなした宗介。
「三献の儀、相済ませ候!」
二人が夫婦の盃を交わした瞬間、広間中から割れんばかりの拍手と歓声が沸き起こった。
将軍・東条家治が満面の笑みで杯を掲げ、老中筆頭・正信は男泣きに肩を震わせている。
朱色の友禅染を着た小夜が「沙羅様、宗介様、世界一お似合いですわ!」と涙を拭い、からくり宗兵衛と作造が酒樽を担いで豪快に笑い合っていた。
屋敷の外では、十万の町民たちに紅白の祝餅が配られ、千鳥川には祝いの灯籠が幾千も浮かべられた。
身分も貧富も超え、天下のすべての民が二人の門出を心から祝福していたのだ。
――それから、数年の月日が流れた。
宗介が授けた知恵と、沙羅たち瑞穂国の民が育んだ情熱により、この国は奇跡のような大繁栄を遂げていた。
全国津々浦々に鉄道路線と有線電信網が張り巡らされ、清潔な上下水道が疫病を過去のものとし、多賀根山の製鉄所からは連日高品質な鋼材が生み出されていた。
そして何より――【瑞穂工学アカデミー】からは、身分を問わず学んだ何千人もの若き工学者や技師たちが巣立ち、自らの手で新しい蒸気機関や工作機械、近代医学を次々と発展させていたのだ。
――初秋の夕暮れ。
すべての始まりの場所――相模野の緑川村。
黄金色の稲穂がどこまでも波打つあぜ道を、三つの影がゆっくりと歩いていた。
宗介の隣には、藍染めの小袖を着て愛おしそうに微笑む沙羅。
そして二人の間には、沙羅によく似た大きな黒い瞳をキラキラと輝かせ、小さな足で元気いっぱいに走る幼い男の子が、二人の手をぎゅっと握りしめていた。
「お父上! 見て、あんなにたくさんのお米が実っておるよ!」
「ああ、綺麗だね。……ここはね、お父さんとお母さんが初めて出逢った、とても大切なお米の畑なんだよ」
宗介が優しく息子の頭を撫でると、沙羅がぽっと頬を染めて宗介に寄り添った。
ふわりと漂う、懐かしく甘い白檀と撫子の香り。
「ふふっ……あの日のそなたは、泥だらけになって竹樋を繋いでおったな。……妾はあの時、そなたの真剣な瞳を見た瞬間に、心を奪われておったのじゃ」
「沙羅さん……」
「宗介。……妾は本当に幸せじゃ。この瑞穂国の民が笑い、温かいご飯を食べ、子どもたちが夢を語り合える……そなたが創り出してくれたこの光を、妾たちは永遠に守り継いでゆくぞ」
「はい。この国の未来は、もう誰にも奪えません」
宗介がポケットからスマートフォンを取り出し、画面をタップした。
『マスター、沙羅姫、若君。……瑞穂国の食糧自給率、産業幸福度、完全平穏指数――すべて計測限界の最大値を継続中。……マスター、本当に最高の国になりましたね』
シズクの温かい電子音声に、宗介と沙羅は顔を見合わせて笑った。
――黒船で脅せば屈すると思った?
――残念、すでに文明開化してます!
夕陽を浴びて黄金色に輝く大地に、家族三人の幸せな笑い声がどこまでも響き渡った。
(本編・完 / 第43話「エピローグ(後日談)」へ続く)
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
本編はここまで。最後の最後に後日談をちょっとだけ書いて終わりにしたいと思います。
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次回更新もお楽しみに!




