36 平穏な日常にきられた火蓋
仲直りから3日後、フィデリアも修行に参加し始めたことにより、レオの剣の腕も上がっていた
フィデリアからもコツを教えてもらえるため、レオは冴閃習得まで到達した
「冴閃」
レオが抜刀し、岩を斬った
岩はそれからゆっくりと崩れ落ちた
「スピードもフォームも上々。いいだろう。レオ、お前は今日から閃辰流の上級剣士だ。」
エルターンが満足そうな顔でそう言った
「ありがとうございます!」
「ふーん。やるじゃない。」
フィデリアが恥ずかしそうに髪をいじりながらそう言った
「もっと素直にほめてよ。」
「う、うるさい!」
「エルターンさんには素直なのになんで俺にはつんつんしてるんだよ。リリーとも仲いいみたいだし、俺だけ仲間はずれじゃないか。」
「それは・・・それ、は・・・もういい!」
フィデリアは顔を真っ赤にしながら駆け出して行った
「・・・俺、何かイラつくようなこと言いました?」
「・・・お前、剣の上達は速いのに、鈍感だよな。」
エルターンは呆れ気味にそういった
* * *
夕方
「ヘルミーネ。肉を買うのが遅れた罰だ。隣町まで酒買ってこい。宴会でもうなくなったからたくさん買って来いよ。」
「わ、私じゃまた迷っちゃいますぅ・・・。」
「急ぎじゃないから別に構わん。」
ヘルミーネはとぼとぼ里から出て言った
* * *
夕暮れ前、ヘルミーネは酒屋に到着した
「えっと、これ、ください。」
もじもじしながらもヘルミーネは酒を買うことができた
「よかった、今回は迷わずに早めに里に帰れそうです・・・。」
ヘルミーネが安堵に息を漏らした時、里と取り待ちの中間にある谷にかかっている橋が崩れていた
「あれ?私が来た時には壊れていなかったのに・・・。これでは里に帰れません。」
崩れている橋は山奥にある剣の里と隣町をつなぐ唯一の道
ここから行けないとなると、森を迂回せねばならず、人の足では通常、2日はかかる
ヘルミーネだったら、ジャンプして飛び越えることができるが、今は酒があるのでそうするわけにもいかない
「・・・迂回しますか・・・あぁ・・・師匠に怒られるぅ・・。」
ヘルミーネは愚痴を垂れながら森に向かった
ーーー夜、ヘルミーネは森に到着した
そしていばらの道を酒の瓶が割れないようにゆっくりと進む
「なんで、こんな遅くまで、もう休みたい・・・。そういえば、あの橋、人為的に壊されたような跡がありましたが・・・」
その時、ヘルミーネは急襲を受けた
ヘルミーネは間一髪かわしたが、敵の攻撃で酒の瓶が真っ二つになる
「あ、あああ!お酒の瓶が・・・あなた、いきなり何するんですか!」
襲ってきた敵に向かってヘルミーネが叫ぶ
すると、敵が姿を現した
敵は黄土色の髪の眼鏡をかけた男の魔人だった
「魔人族・・・。」
「いかにも。俺は魔界十五公が一人、シアノ様の右腕、オッカー。」
オッカーが名乗りを上げるとヘルミーネは右手で剣の柄を握りながらこう言った
「時間がないので通してください。」
「断る。我が主は強者を求め勝手に出歩くのでな。主が強者との戦いに集中できるよう、周りの敵は我らが処分しているのだ。」
「・・・私は弱くはありませんが。」
「わかっているさ。剣神だろ?お前。だが、我が主は剣の里に行きたいようだから、貴様を生かせるわけにはいかんのだ。」
「・・・わかりました。貴方をぶっ殺して先へ進みます。」
ヘルミーネが戦闘態勢に入った
ーーー剣の里に未曽有の危機が迫る
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