31 元剣神に同情された
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ありがとうございます。
「久しぶりってのに随分機嫌が悪いな、どうしたんだ。みんな心配してたぜ、お前が急にいなくなるから。」
「そんなの知らないわ!」
フィデリアは駆け出した
「お、おい、ちょっと・・・。」
男の言葉を無視し、フィデリアは去っていった
「すみません。ちょっと行きの馬車でいろいろあって・・・。」
レオが謝罪する
「いや、それは関係ない。これは、俺とフィデリアの問題だ。すまないな。見苦しいところを見せちまって。」
「いえいえ、そんなことありません。」
「そうか・・・ん?お前、ヘルミーネか?」
男が驚いたようにヘルミーネを見た
「は、はい!お久しぶりですっ、お師匠様!」
「お師匠様?」
レオが男に聞き返す
「ああ。そうだ、まだ自己紹介してなかったな。俺はエルターン・アマンダ。ここの剣の里の長だ。」
「長!?」
(長ということはこの人はまさか・・・)
「お師匠様は“元剣神”なんですよ!」
「おいおい、俺に勝って剣神になったお前が言わないでおくれよ。少し恥ずかしい。」
照れくさそうにエルターンが頭をかいた
「え、あの、ええ!?」
「ははは! そんな驚かなくてもいいだろ。で、坊ちゃんと嬢ちゃんの名前は?」
エルターンがレオとリリーを見ながらそう言った
「俺はレオ・クラインです。フィデリアとパーティーを組んでいます。」
「私はリリー・ライネリーベです。レオさんと同じく、フィデリアのパーティーメンバーです。」
レオとリリーがお辞儀をする
「そうか、フィデリアが世話になってるな。ありがとう。」
「いえいえ・・・そういえば、エルターンさん。」
リリーが何かに気づく
「なんだ?」
「もしかして、フィデリアの家族ですか?」
(そっか、フィデリアのファミリーネームもアマンダだったな。)
レオはそのことを思い出した
「ああ。俺はフィデリアの叔父だ。まぁ、あいつの両親はフィデリアが生まれてすぐに死んじまったから実質俺が親代わりみたいなもんだったけどな。」
「そうなんですね・・・。」
その時、エルターンが何かを思い出したかのようにこう言った
「お前ら、どうしてここに来たんだ?ここで剣を習いたいのか?・・・というかあの、ヘルミーネもきたし、何かあったのか?」
するとヘルミーネは待ってましたと言わんばかりにエルターンに泣きついた
「聞いてくださいお師匠ぉ・・・レオさんが私と結婚するって言ったのに、そこのリリーの方が好きって言って結婚しようって言った覚えないって言ってきましたぁ・・・。」
何余計なこと言ってんだ!
しかもあることないこと初対面の人にぼろくそに言いやがって!
ぶっ飛ばすぞ!(剣神なのでこっちがぶっ飛ばされます)
だが、意外にもエルターンはこう言った
「あ?それ、お前の勘違いだろ?レオとリリーの方が親密そうだし、お前、昔から声をかけてくれた男子門下生に『私と結婚したいんですか!』なんていってたし、やめてやれ、レオがかわいそうだ。」
(前科あったのかよ!)
レオは安心したと同時に、ヘルミーネに呆れた
「そんなぁ・・・本当に言ったのにぃ・・・。」
ヘルミーネは泣き崩れている
「本当に言ったのか、レオ?」
「いえ、言ってません。」
エルターンの問いにレオは即答した
「よし、勘違いだな。レオ、リリー、ついてこい。案内する。」
「「はい。」」
「ちょっとぉ、私は・・・。」
「お前は客人用の高級肉でも買ってこい。剣神なんだし、金あるだろ。」
「え、結婚の話は・・・。」
「お前の勘違いだ。悔しいかもしれんが諦めろ。」
「えええええ!」
「じゃ、行くぞ。」
うわーんと泣き続けているヘルミーネをほったらかして、レオとリリーはエルターンについていった
* * *
「着いたぞ。ここが俺の道場だ。」
エルターンの道場は里の一番奥にあった
とても広い道場で多くの門下生が剣の修業をしていた
「おはようございます、エルターン様!」
「おはようございます!」
エルターンに気づいた門下生が次々と挨拶をした
「客人だ、しばらくここでお前らとともに剣を習う。覚えておけ。」
「「「「「「「「「「はい」」」」」」」」」」
多くの門下生が威勢よく返事をした
「それじゃぁ、入れ。」
レオとリリーは一番広い部屋に案内された
「そこ、座っていいぞ。」
「「ありがとうございます。」」
レオとリリーは座った
エルターンは上座にどっしりと座った
「それで、お前ら何でここに来た。」
「俺は、強くなるために来ました。」
「ほう、リリーは?」
「私はレオさんをヘルミーネさんに寝取られないように監視のために来ました。」
「はははは!そうか、そうか、ははは!」
エルターンは爆笑した後、真顔に戻り、こういった
「で、レオ。」
「はい。」
「ここでしばらく剣を習うなら、少し剣の腕を見せてもらおうじゃねぇか。」
「ここで習っていいのですか!」
「俺は強くなりてぇ奴を追い出したりしねぇ。だが、あきらめるやつは容赦なく追い出す。さ、やるぞ。俺が相手だ。」
エルターンは立ち上がるとレオに木刀を渡した
二人は部屋の真ん中で剣を構えた
「合図はない。好きな時にかかってこい。」
「はい。」
(相手は格上。そもそも俺は剣の腕に関しては中級に届くかも怪しい。だが、臆するな。まっすぐ飛び込め!)
レオはエルターンに剣を振りかざした
しかし、レオの剣がエルターンにあたる前にエルターンに斬られた
「っつ・・・。」
レオは壁まで吹き飛ばされた。
「なんか、お前、弱くねぇか?」
驚いたような顔でエルターンがそう言った
するとレオが恥ずかしそうに叫んだ
「それは、俺、下級剣士ですから!」
「そうか、だがお前の目、死線を潜り抜けた目をしてるから実は強いなんてことがあると思ったんだが・・・。」
「魔法でドーピングすれば今よりは速いです。」
「なるほど、器用な奴だな。ドーピングしなかったのは褒めてやるが、もし本物の強者になりたいなら素の力で殺りあえるようにしねぇといけねぇぞ?」
「はい・・。」
「まぁ、いい。入門を許可しよう。」
「いいんですか?」
「ああ。しかしお前、根性あるな。下級剣士が元剣神に臆せず突っ込んでくるとかありえねぇぞ。」
「ははは・・・魔獣よりも怖い女の人たちに囲まれているので・・・。」
「ははは!面白れぇやつだな。」
その時、二人は寒気を感じた
「怖い女の人とは、だれを指しているのでしょうか、レオさん?」
ハイライトが消え、まがまがしいオーラが出ている
「え、ひゃ、あの、だれか忘れました・・・。」
「へぇー。そういうことにしておいてあげましょう。」
(危ねぇ、死ぬところだった)
するとエルターンが肩をポンと優しくたたきながら小声でこう言った
「お前、苦労してんだな。強く生きろよ。」
どうやらエルターンにもリリーの怖さが分かったらしい
こうして、レオはエルターンらと共に、剣の修業を行うことになった
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