22 閃辰流と最速の剣
22話です
ーー相性が悪い
そのことを悟ったレオは絶望しかけた
その時、雷光がアントラツィートグラオの頬をかすめた
そして、レオにかけられていた重力が解除される
「何暗い顔をしている。戦いはあきらめた方の負けだ。」
「ディリジェント様・・・。」
(そうだ。ここにはアントラツィートグラオ様がいる。それに、ミルヒヴァイス戦で使ったあの技は使える)
「行くよ。レオ。」
「はい!」
「・・・抗ってみなよ。」
戦闘が始まった
* * *
同時刻、リリーたちは、依然、劣勢を強いられていた
「ねぇ、ブラオ。こいつら弱すぎない?」
「うーん。片方は特級魔法使い、もう片方も動きは悪くない。人間の中では上澄みなんだろう。」
「人間ってやっぱり弱いのね。」
そういいながらヘルブラウンはフィデリアを見つめた
側には、血まみれのリリーが倒れている
(そんな、私のせいで・・・)
ブラオがフィデリアに影の槍を放った時、リリーがフィデリアをかばって横腹を貫かれたのだ
「そろそろあきらめてくれない?もう、相方は戦えないみたいだし。」
ヘルブラウンがフィデリアに投降を促す
だが、フィデリアは奥歯をかみしめて断った
「お断りよ!・・・仲間をこんな風にされてただでやられるわけにはいかないわ!」
「・・・勇ましいのはいいのだけれど、実力差が分かってないわね。」
ヘルブラウンがフィデリアに攻撃を仕掛ける
対するフィデリアは剣を構えた
(相手は速い。だけど、私をなめているからか、攻撃が単調だ。そこを狙う)
刹那、ヘルブラウンがフィデリアの頭を殴ろうとしたとき、フィデリアが腰を落とし、それを回避、ヘルブラウンの腹にカウンターを決めた
「がはっ・・・!?」
「なめてかかるからよ。」
その時、フィデリアの影からブラオが出てきた
ブラオはフィデリアに影の槍を放つ
フィデリアはそれをぎりぎりで回避し、致命傷を避けるも頬に切り傷を負った
「思ったよりやるようだけど、こちらは二人だよ。」
フィデリアはため息をついた
彼女の脳裏にはかつての剣術の師がうかんだ
「はぁ・・・あのくそ爺と喧嘩してからこの剣は使いたくなかったのだけど、仕方ないわね。」
フィデリアは剣を鞘に納めて柄を握った
「・・・その構え、カウンターか・・・だが、それではさっきと何も変わらない!」
ブラオが影を拳にまとい攻撃する
「・・・だから言ったでしょ?なめてかかるからって。」
刹那、フィデリアの剣が背後にある建物ごとブラオの右腕を落とし、右肩を大きく切り裂いた
「なっ・・・。」
「閃辰流、現剣神と元剣神が使う流派よ。その顔は知らなかった顔ね。この流派を使うのは癪だけれど、まぁ、いいわ。」
「なぜ、そこまでの剣速が出せる?」
「閃辰流は剣を鞘に納めて鞘の中で魔力を加速させ、その魔力を剣にまとわせ放つ、全流派で最速の剣だからよ。」
「では、なぜそれを今まで使わなかった。使っていればお前はもっと・・・」
するとフィデリアは複雑そうな顔で言った
「そうね・・・私にもいろいろあったの・・・こんな状況にならないと本気を出さない私ってひどいわね・・・。」
「・・・何があったか知らんが、かかってこい。次はかわしてみせる。」
「ずいぶんと勇敢だわね。」
その時、後ろからヘルブラウンがフィデリアに向かって攻撃を仕掛けてきた
「私を忘れていないか?」
「まずっ・・・。」
「グレイシャル・テンペスト!」
だがその攻撃はリリーによって阻止される
「まだこいつ、意識が・・。」
ヘルブラウンが驚く
「リリー、あんた、大丈夫なの?」
「大丈夫ではないよ。まさか、フィデリアが今まで手を抜いていたなんて。ミルヒヴァイスと戦った時、フィデリアが本気を出していれば、レオさんがあんなに傷つかなくて済んだだろうし、あとで説教ね。」
「・・・意外と元気あるじゃない。」
「行くよ。フィデリア。」
「ええ。」
二人が駆け出す
「多少強かろうと私は負けない!」
ヘルブラウンが先に魔法使いをつぶそうとリリーを狙った
「やめろ、ヘルブラウン!」
嫌な予感がしたブラオがヘルブラウンを止めようとする
だが、ヘルブラウンの背後からすさまじい速度で剣が投げられ、ヘルブラウンの心臓を貫いた
「がっ・・・。」
「私は剣を加速させるとは言ったけれど、カウンターの技だけとはいってないわよ。」
(抜刀した瞬間に剣を投げることで速度を落とすことなく、ヘルブランを貫くとは)
ブラオは驚愕した
ヘルブラウンを貫いたということはあの時の投擲の速さは音速級ということになるからだ
「まだ、だ・・・」
ヘルブラウンが立ち上がろうとしたとき
「アイスレーゲン」
リリーが魔法を発動
「や、やめ、ろ!」
けがで動きが鈍くなったヘルブラウンはリリーの魔法を避けられなかった
そして、そのまま跡形もなくなるまで攻撃を受けて消滅した
「・・・あんた、仲間を助けなくてよかったの?」
フィデリアがブラオに尋ねると
「下手に近づくと俺までやられかねんからな。」
「あら、意外と賢いのね。でも、もう、あきらめた方がいいわ。」
「いや、お前たちの負けだ。」
その時、日が沈み、日没を迎えた
光が消え、世界は暗闇に包まれる
「まさか・・・」
刹那、全方位から影の槍がフィデリアたちを襲った
「っつ・・・。」
「くくくっ・・・俺の能力は影を操る力。俺は夜に最も力を発揮するのだ。」
(ということはここ一帯が敵の間合い)
リリーが動揺する
「さぁ、続けようか。」
ブラオが不敵に笑った
* * *
そのころ、レオ達は激戦を繰り広げていた
レオはミルヒヴァイスを倒した時に使ったタキサイキア現象と脳のリミッター解除を行い、雷神とアントラツィートグラオの戦いに食らいついていた
一帯は雷光と重力魔法が飛び交う危険地帯と化していた
「ライトニング・レイン」
ディリジェントが特級魔法を発動
電気の雨がアントラツィートグラオを襲う
しかし、アントラツィートグラオは重力で軌道を変え、すべての魔法を躱している
(攻撃がまるで当たらん。まだスピードが足りないか・・・)
ディリジェントは驚愕している
今まで魔法を避けるものはいたが、軌道を変えてくるものはいなかった
(俺が今まで戦った中で一番強いな)
ならば出し惜しみはしない
ディリジェントがギアを上げようとしたとき
「あああああああああああ!」
レオがアントラツィートグラオに攻撃を仕掛けた
「やめろ!レオ!」
しかし、遅かった
「君は場違いだということを自覚してくれないかい?」
アントラツィートグラオの重力魔法がレオを襲った
レオは四方八方からくる重力によって壁や道にたたきつけられ、重傷を負った
手足の骨が折れ、頭や体から出血している
「ゴフッ・・・く、そ・・。」
(ディリジェント様の足手まといになりたくない。俺だってまだ戦える)
よろめきながらレオが立ち上がる
「まだ、だ、こんなものか・・・。」
その時
「レオ、君は休んでいろ。申し訳ないが、二人だけで戦わせてほしい。」
遠回しに足手まといだと言われレオは何も言い返せなかった
「じゃあ、第二ラウンドと行こうか、雷神。」
「かかってきな。魔界十五公。」
八大神煌と魔界十五公の一騎打ちが幕を開けた
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