14 愛の力は無限大
14話です!
ミルヒヴァイスが少し手を動かしただけだった
それなのに、リリーさんの右腕は吹き飛び、鮮血で街の道が染まった
「ううっ・・・!」
「リリーさん!」
腕を押さえ倒れこみ、苦悶の表情を浮かべるリリーさんに駆け寄った
「大、丈夫、です・・・止血くらい、なら、でき、る、ので・・・。」
そういう問題じゃない
腕がなくなったのに大丈夫なわけない
「いったん退きましょう。まだ、アーサーさんたちがいるはずです。もしかしたらそこで治療を・・・。」
「だめ、です。私たちが退いたら、町の、人たちが・・・。」
「・・・ならば、俺が残ります。リリーさん、もし動けるならここから逃げてください。」
それが一番だ
リリーさんはとてもじゃないが戦闘の続行は不可能だ
「断り、ます。レオさんが、死にます。」
「俺は死にません。だから、お願いです。」
その時
「何があったの!?・・・リリー!」
フィデリアが到着し、腕を失ったリリーに慌てて近寄る
「フィデリア、レオさんを、援護してくだ、さい。私は、気にしな、いで。」
「話すこともままならないのに、気にしないことなんて無理よ。」
そうだ
リリーさんは痛みで、まともに話せない状態だ
でも、頑として退却しようとしない
どうすれば・・・
「・・・そろそろ、いい?」
ミルヒヴァイスが手を横にないだ
「まずっ・・・。」
その時、町が切り刻まれた
* * *
そのころ、ギルドの周辺は地獄絵図と化していた
「はははは!弱い、弱すぎる!」
ロゼがギルドの冒険者を虐殺しているのだ
「させるかー!」
ギルドの冒険者は赤龍討伐の時の経験もあり、耐えしのげば必ず勝てると思い勇敢にたたかった
しかし、それがかえって犠牲者を増やす結果となっている
リリー以外に一名Bランク冒険者がいたものの、先の戦いで引退を宣言したことにより、Cランク以下の冒険者しかいない
その状態でロゼに襲い掛かっても結果は血を見るより明らか
数えきれないほどの冒険者の屍が街の道を真っ赤に染めている
それでも、冒険者たちは退かなかった
「耐えろ! 耐えれば必ず・・・」
周りに檄を飛ばす冒険者にロゼが襲い掛かった
その時
爆炎がロゼと冒険者の間に発射され、ロゼは冒険者から5メートルほど距離を置く羽目になった
「何者だ!?」
ロゼが魔法が飛んできた方を見ると、赤髪の男がいた
「何者、か。君に名乗るような名は持ち合わせていなくてね・・・すまないみんな、ずぼらな幼馴染が絶対起きないモードに入ってしまってね、遅れてしまった。」
「アーサー様!」
絶望的な状況に、最強の一角が降臨した
* * *
「ぜぇ、ぜぇ・・・。」
フィデリアと俺はミルヒヴァイスの攻撃を勘で必死に避けている
だが、いくつもの切り傷が体に刻まれている
(攻撃が見えない。何をしているんだ?)
俺がミルヒヴァイスの攻撃手段を探しながら必死に避けていると、一瞬だけ細い糸が見えた
(まさか・・・)
「フィデリア、糸だ!糸でこいつは攻撃している!」
「了解!助かるわ!」
攻撃手段が分かった
不可視の攻撃ではない
よく見れば見えないこともない
そういえば、凶糸という肩書を名乗っていたな
何でそれなのに糸が攻撃手段だと気づかなかった?
・・・違う、気づかなかったというよりも、選択肢に入っていなかった
不可視の攻撃は風魔法しかありえないと思っていた
そもそも攻撃魔術は火、水、雷、風、土の5属性だ
リリーさんのように水魔術の応用で氷を生成することはできても、糸は5属性の魔法どれでも生成できない
「なぜ、糸の魔法を?」
「・・・知らないんだ。・・・私たち魔人族はね、生まれつき、固有魔法が使えるの。5属性の魔法とは別でね。」
まじかよ
「何暗い顔してんのよ!相手のからくりが分かったんでしょ!」
フィデリアが檄を飛ばした
そうだ
何故臆している
そもそも格上相手に後手に回るな
自分から攻めろ
「インヴィジブル・ウィンド・ブレイド!」
不可視の風の刃を放つ
しかし、ミルヒヴァイスに傷がつかない
「なっ!?・・・」
「ふーん。不可視の攻撃。それを剣を触媒に発動させるなんて君、面白いね。だけど、それじゃ勝てないよ。私は自身の周りに鋼鉄の糸を高速で張り巡らし、動かしている。その程度では、私に傷はつかない。」
そんな・・・
これではインヴィジブル・インフィニット・テンペストでも傷をつけられない
「はあああ!」
フィデリアがミルヒヴァイスに斬りかかる
「・・・邪魔。」
ミルヒヴァイスがいくつもの糸の攻撃を繰り出す
しかし、フィデリアはそれをすべて躱した
「!?」
キィィン
ミルヒヴァイスを覆う糸と、フィデリアの剣がぶつかる
「・・・君、随分と目がいいみたい。」
「フィデリア!下がれ!」
刹那、無数の糸の攻撃により、ふぃでりは全身に傷を負い倒れた
「フィデ、リア?」
そして動揺したレオにミルヒヴァイスが接近する
速い
だが、魔法使いが自分から距離を詰めるなんて愚策だ
このまま・・・
「がっ!?」
レオが剣を振り下ろすも避けられる
そして、首をつかまれた
(なんて力だ。もう、意識が・・)
その時、氷の矢がミルヒヴァイスに放たれた
「ゲホゲホ・・・り、リリーさん?」
右腕を失い、倒れたはずの彼女が立ち上がっている
「レオさんを傷つけるのもは誰であろうと許しません。」
その表情は今までに見たことがないほど怒りで満ち溢れており、リリーさんの声には静かながらも抑えきることができないほどとてつもない怒りが込められていた
「しぶといね。さっさと死んで。」
ミルヒヴァイスが攻撃を放つ
しかし、リリーさんはそれを躱す
「!?・・・さっきは見切れていなかったのに・・・。」
「愛の力です。レオさんを傷つけた、報い、受けてもらいます。」
リリーさんは風魔法の応用で上空に飛んだ
そして、右腕に氷の義手を生成
さらには巨大な氷のハンマーを作った
「斬っても無駄なら、叩き潰すのみです。」
「やば・・・。」
ミルヒヴァイスが急いで糸の防壁を生成する
「アイス・ギガントハンマー!」
リリーさんの一撃がミルヒヴァイスに振り下ろされた
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