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【91】突然の訪問

更新が遅くなってしまってすみませんでした!


 結局、出来たのは1本分のポーションのみで、その行程からさらに作るのを諦めたのだった。もう少し効率よく作れる方法があればいいんだけどなぁ。

 フレデリクさんから教わった方法は、器具を使った丁寧なやり方で、それを全部魔法で作るにはちょっとめんどくさい。もっとこう、ぱっとしてギュってしてピカーッと出来ないものか……。

 お昼も過ぎ、お客さんがまばらな時間。カウンターに立ち頭を悩ませていた私は、扉のベルの音で新しく入ってきたお客さんに気が付き、視線を向けて挨拶をしようとしてちょっとビックリした。入ってきたのはシャルテだった。


「いらっしゃい……ませ」


 ちょっと言い淀んでしまった。だってシャルテが怖い顔してたから……。

 ずんずんと進んでカウンターまで来たシャルテだったけど、何も言わずに視線まで反らされている。私に用があったのは、入って来た時に目があって真っ直ぐにこっちに来たから何となく分かってた。

 けど……、何だろう。あ、足治ったんだ!

 あのポーションが効いたのか、歩いている姿は普通の足取りだった。


「もう足は平気そうだね? 昨日はぶつかっちゃってごめんね」


 シャンテに話しかけたけど、なかなかこっちを見てくれない。まだ痛いとこあるのかな?


「シャルテ?」


 立ったまま動きを見せないシャルテの名前を呼ぶと、シャルテは私を見ないまま小さな袋をカウンターに置いた。


「昨日はありがとう……、助かったわ」

「え?」


 まさかお礼を言われるとは思ってもなかったので、思わず聞き返してしまった。するとシャルテは置いた小さな袋を私の方へずいっと押してきた。


「……わ、私も急いでて、よく前を見てなかったから……」


 顔は違う方を向いてるけど、ジワジワと耳が赤くなってるのが見て取れた。ヤバい。めっちゃ良い子だ。

 私は口元がフニフニと動いてしまうのを頑張って引き締める。どうしよう。みんな根は良い子って言ってたけど、ホントに良い子だったよ。


「お礼なんていいのに。でもありがとう」

「あなたに、仮は作りたくないのよ……」


 小さな声で呟かれたそれは、本当に聞き取りずらかったけど、私の胸にチクりと刺さった。まだ誤解されたままか……。ものすごく無意味な嫉妬なんだろうけど、困ったなぁ。

 シャルテが置いた小さな袋を手にとって、小さめのため息をついた。


「あのねシャルテ……」

「すみません、ちょっといいですか?」


 シャルテに話しかけようとした時、いつ入ってきたのか、すぐ近くにフード付きのマントを深く被ったお客さんがいて話しかけられた。


「あ、はい」

「邪魔したわね、用件はそれだけだから」


 行きなり現れたお客さんに驚いたけど、シャルテが目も合わせないまま帰ろうとして、私はあわてた。いい加減誤解を解かないとこの子にもリュカにも悪いし、私もこのままはすごく嫌だった。 


「すみません、少々お待ちください」


 ちょっと怪しそうなその人の相手をする前に、帰ろうとするシャルテを呼び止める。


「シャルテ、ちょっと待って! お願いだから少しだけ待ってて!」

「はぁ?!」

「絶対よ! ね? 少しだから!」


 急に呼び止められ驚いて私を見たシャルテは、嫌そうにしてたけどちゃんと待っててくれる様だった。カウンターから少しは離れて、帰らずに留まってくれた。

 帰られると思った私は、ホッとしてフードを被ったお客さんに向き合う。


「すみません、お待たせいたしました。ご用件は?」

「元気そうで良かった」

「はい?」


 お客さんに「元気そうで良かった」と言われ何が? と思った。不思議に思って顔を見ようとフードの中を覗くが、なんだか頭にモヤがかかったみたいでよく分からない。ますます怪しいなとちょっと体を引くと、お客さんがチラッとフードの端をつまんで顔を見せた。

 すると、よく分からなかった顔が少しだけ認識出来るようになり、私は驚きのあまり叫びそうになる。


「ク、クローっ!」


 さっと唇を指で押さえられ、それ以上は声にならない。驚きと指の感触で一気に心臓がバクバクした。何でクロードさんが!?


「急にすまない、急ぎで話したいことがあったんだ。この後話す時間を作れるかい?」


 クロードさんは、聞くなりチラッとシャルテに視線を向けすぐに戻す。


「先約があるみたいだが、できればこちらを優先して欲しい」


 パニックだ。私はパニックだった。いきなりクロードさんが来た。クロードさんが目の前にいるよ! しかも私の唇にクロードさんの指が!


「店の裏手で待っているから、なるべく早くに来て欲しい。実は仕事を抜けてきたんだ」


 何言っちゃってるんですかね?! 急に何言っちゃってるんですかね?! この人は!

 色々と言いたいことはあったけど、もちろん口にすることも出来ず、コクコクとうなずくことしか出来ない。


「じゃあ待ってるよ」


 やっと唇から指が離れ、クロードさんがフードを深く被り直し店から出ていった。

 放心状態の私。思考力ゼロ。口を固く閉じた状態のまま固まってしまった。


「何? あのお客さん」


 すぐに怪訝そうに眉を潜めたシャルテが、私に話しかけてくる。思わず聞きたくなるくらい不思議な感じがしたみたいなのはわかる。でも、そんな疑問に答えられる状況じゃなかった。

 まだ心臓がバクバクしてるし、唇にも感触が残ってる。顔も熱くて思考もよく分かんない。ゆっくりとクロードさんの言った言葉を思い出す。「待ってるから来て欲しい」そうクロードさんは言ったのだ。


「シャルテ!」

「な、なによ!?」

「どどどどうしよう!?」

「だから何が!?」


 近くに来たシャルテの腕をつかみ、ガクガクと揺さぶって答えを求めたけど、意味の分からない行動をする私にシャルテが答えられるはずもなく……。


「ちょっと、落ち着きなさいよ!」

「落ち着く!? 私落ち着けるの!? どうやって!? ねぇ、どうしたらいいの!?」

「そんなの私が知るわけ無いでしょう!?」


 叫びながらシャルテを揺さぶる私。抵抗しながら叫ぶシャルテ。幸い店内にはお客さんがいなかったからよかったものの、騒がしい声を聞いたアンリエットさんが店に出てきて、私たち二人を見て呆れたようにため息をついた。


「あんたたち、なにやってるんだい……」


 シャルテが私から逃れアンリエットさんに助けを求める。すがるシャルテがいなくなり、私はアンリエットさんにしがみついた。


「アンリエットさん! どうしましょう!?」


 半泣き状態でアンリエットさんに状況を説明して相談すると、アンリエットさんも驚いて「店はいいからすぐに行ってきな」と送り出してくれた。

 パパッと身だしなみだけ整えて、店から出ようとしてハッとシャルテを思い出す。


「ご、ごめんシャルテ! 話しはまた今度!」


 状況を飲み込めていないシャルテは、アンリエットさんの後ろで呆然として私を見ていたのだった。



 

子供から胃腸炎をもらって回復したと思ったら、親戚に不幸があり更新できませんでした…。

まだバタバタとした日々が続きそうで、もうしばらく不定期な更新になってしまいます。

続きを待ってくれている方には大変申し訳ないのですが、どうかご容赦ください。


次の更新は今回みたいに半月空かないよう頑張りたいと思います。


急遽夜中の更新となりまして、本当にすみませんでした。


途中で辞めることは絶対に無いので、今後ともよろしくお願い致しますm(;∇;)m


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