↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
90/100

【90】応援とポーション作り


 アドバイスをしてくれたリュカを、半眼でみつめ「はぁ」とため息をついた。


「そう言うことは、もう少し早く言って欲しかったよ……」

「え? もう少し早くって? え? もしかしてウルフの報告したのって……、え? でも、現地調査の付き添いをしたのはBランクのパーティーだったし、アリスがいたなんて聞いてないよ?!」


 ギルド長は私の事を言わなかったらしい。何でだろう?


「聞いてないってい言われても……。採取中にジャンくんが気付いてくれて、一緒に逃げてたところで、ヤニックさん達に会って助けて貰ったの」


 詳しくはこの場では話さなかったけど、リュカはなんとなく察してくれたみたいでこれ以上は聞いてこなかった。


「本当に怪我が無くてよかったわ」

「アリス。今回はウルフという本来ならそこら辺に出ることの無い魔物で、Bランクのパーティーが助けてくれたからよかったが、もし低ランクの魔物で、しかも出会ったのが同じようなランクのものだった場合、擦り付けとみなされアリスが処罰を受ける事になるんだ。そこだけは覚えておくんだぞ」

「はい、分かりました」


 リビオさんは、真剣な顔で説明してくれた。採取だけだからと思っていたけど、魔物が出る森に採取に行くなら、最低限の力は必要になるみたい。ちょっと怖いな思ったけど、私が逃げたせいで他の人が怪我をしたり最悪死んでしまっては、どう謝ったところで許されることではない。逃げるにしても迷惑のかからない逃げかた。逃げられないならばどうするのが一番いいか。私は考えなければならないのかもしれない。


「無理して採取に行かなくてもいいんだよ?」


 アンリエットさんが心配そうに見つめてきた。


「いえ、大丈夫です。ウルフに会ったとはいえ、採取じたいは楽しかったですし。他にも色んな事を知りたいんです」

「そうかい?」

「冒険者なら誰でも通る道だ。アリスがやると決めたなら、過剰に心配するより応援してやればいいだろう」

「……そうですね」


 現役冒険者のリビオさんは、私を心配してくれても反対はしない。アンリエットさんにも応援してやれと言ってくれる。突き放されるでもなく私を思って応援してくれた。


「ありがとうございます」


 まだちょっと心配顔のアンリエットさんと、そんなアンリエットさんを仕方なさそうに見るリビオさん。そして、何か言いたげなリュカ。いろんな顔を見て、私はちょっと自分の家族を思い出したのだった。




『リゲル、しまってある薬草を出して欲しいんだけどいいかな?』

『いいよー、ちょっと待ってね』


 自分の部屋に戻りリビオに頼んで、薬草を出してもらった。なんとも不思議な感じなんだけど、最初にリゲルが出てきて、耳元でガサゴソと動いてたと思ったら、目の前のテーブルに薬草を入れていた籠が現れたのだ。何も無かったところに急にドンっと。フィリップ様の時もフレデリクさんの時も、ヤニックさんの時も、本当に不思議だった。そして、その不思議の仲間入りをしてしまった。


『本当にここに入ってたんだね』

『ボク嘘言ってないよ。ちゃんとしまったもん』

『リゲルが嘘ついてたとは思ってないよ。ただ、すっごく不思議な感じなだけだよ』

『何か入れたいときは言ってね、ボクがちゃんとしまっといてあげるから!』


 得意げに話すリゲルに笑ってしまった。


『ありがとね、その時はよろしくお願いします』

『うん! アリスの為なら何でもするよ!』


 今は光の球のリゲルだったけど、誇らしげな顔を目に浮かんだ。


「さて、この薬草をどうしようか……」


 私はテーブルに置かれた籠の中身をじーっと見つめた。ギルドに手ぶらで戻ってしまったから、出すわけにもいかない。同じように手ぶらで帰ってきてるから、店の作業場でも使えない。はて。どうしたもんでしょう。

 

「ここで作るしかないよね」


 道具も無いのに?


「道具が無ければ全部魔法で作ってしまえばいいんだよ」


 自問自答してちょっとテンション上がって来ちゃった、初めての試みだけどワクワクしてくる。考え通りにやれば多分いけるはずなんだよね。


「えっとまずは……」


 ナイフに魔力を流しながら刻んだ葉を煮るんだよね。魔力を流しながら刻むって事は、魔法使って刻んじゃだめかな? とりあえずやってみるかな。 思いつきの勢いでやれるだけやってみることにした。私の魔力は豊富にあるみたいだし、実験がてらどんどん魔法で進めていく。

 まずは洗浄。水の球体を作り出しポイポイと薬草を放り込んで、弱い水流を作って洗っていく。綺麗になったら汚れた水を捨て……。捨てる場所無かった。どうしようか悩んでいたら、テーブルに昔使っていたお砂場セットのバケツがポンッと現れた。


『使う?』

『リゲル、何入れてんの……』

『だって、これお気に入りなんだもん』


 クマちゃんの可愛いイラストが貼ってある黄色いバケツ。ちょっと小さめだったけど、球体の水を捨てるくらいなら足りそうだった。私が幼稚園の時に使ってたやつだ。いつの間にか無くなってたけど、リゲルが持ってたなんて驚きだった。


『ありがとう、ちょっと使わせて貰うね?』

『いいよ、後でちゃんと洗って返してね』

『ふふ、ちゃんと洗って返すよ』


 洗って返してと言われるとは思わなかった。ちゃんと洗うつもりではいたけど、本当にお気に入りなんだと思って笑ってしまった。

 さてと、洗った水をバケツに捨てるのに薬草を先に取り出して、水球だけをバケツに入れた。よし、次の工程だ。

 今度は薬草を刻まなきゃならない。フレデリクさんに教わったのは、ナイフに魔力を流して刻むやり方。ナイフも無いしそのまま魔法で刻まなきゃならない。以前かまいたち的な事が出来たから、そんな感じで薬草を浮かせて風の魔法で刻んでいく。この時に気を付けなきゃいけないのは、飛び散らないようにある程度留めておくこと。やっぱり球体かなぁと思いながら、どんどんかまいたちを球体にしてその中で葉を刻んだ。葉がどんどん刻まれて球体自体が緑色になったところで風を止めて葉は浮かせたままだ。移動を以前習った時にそのまま浮かせる浮遊も教わっていたので、浮かせるのは難なく出来る。普段の生活でも移動と浮遊は重宝したから、結構練習というか、使うようにしてたのだ。

 そのままを左手の平の上で維持しながら、右手で魔力を混ぜながら水球を作る。ちょっと難しかった。右と左で違うことするって、本当に難しい。片方が慣れていても難しい。集中力を切らさないようにそっと移動で水球の中に刻んだ葉を入れた。


「まだ半分……。魔力的には平気だけど、疲れる……」


 次は沸騰させて、水蒸気を溜めるんだよね。私が出した水球をそのまま沸騰させても蒸発するだけで水蒸気は集められない。どうすればいいか考えて、水球の外側に大きめの薄い膜を一枚張ることにした。ポーションの素が出てくる場所も開けておく。


「さてと、沸騰させますか」


 水球に熱を加えていくと、最初はポコポコと気泡がゆっくりとたっていたのが、段々と出てくる気泡の量が多くなる。ボコボコと音が変わり、蒸気が重ねた膜にビッシリと付き始め、さらに煮詰めると水蒸気の水滴が重なり合ってツツーっと下の方に開けた穴から垂れてきた。


「わぁっ!」


 またしてもうっかり受け止める器を用意し忘れて、ポタポタとポーションが滴り落ちる。


『コップいる?』

『う、うん。ごめんね、ありがとう』


 作る工程を見ていたリゲルが、滴っている液体を見てコップを出してくれた。あ、あのコップよく使ってたなぁ。


 クマちゃんのピンクのコップ。大きくは無いけど、試しに作ってる分くらいなら何とか受け止められそうだ。リゲルに感謝しつつポタポタと落ちてくる滴を見ながら、後どれくらい掛かるのか全く予想していなかった私は、小一時間ほど細々と魔力を出し続けるのだった。


 ちゃんと準備してからにしとけば良かった……。



読んでいただきありがとうございます!

道具なしのポーション作り、頑張ってみました(笑)


今週ですが、仕事がたて込んでいて更新できても週末だと思われます(汗)


寒い日が続きますが、お体に気をつけてお過ごしください(^-^)


ではまたぁ~( ≧∀≦)ノ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。