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【82】練習用ポーションと初心者装備


「アリスお疲れー、やっぱりポーション作れたんだって?」


 夜。お風呂に入ろうと部屋から出ると、ちょうど帰ってきたのかリュカが階段を上がって来たところで声をかけられた。


「やっぱりって?」

「だって、アリスなら作れるって思ってたから」


 ですよねー。


「でも、最初は失敗したよ?」

「それでも一日で作れるようになるって。すごいことだと思うよ」


 そうなのだ。それはフレデリクさんにも言われた。「アリスさんは凄くのみ込みが早いんですね」って。2本失敗した時は、普通に微笑ましい感じで見守っていたフレデリクさんも、3本目で成功させると、ちょっと驚いていた。最終的に薬草が無くなる5本中3本をそのまま成功させると、フレデリクさんも驚いて、試しに薬草の在庫があった中級を教えてもらい作ってみれば、見事に成功したのだ。さすがにフレデリクさんも引いてたけどね。


「今日、初級3本。中級2本出来たんだけど、さすがにまだお店には出せないから買い取ったの。リュカいる?」


「え? くれるの?」

「うん。だって、私使わなそうだし。あ、でも効果に関してはまだ不安があるから、訓練で怪我した時にでも使ってよ」

「だって、それアリスが買い取ったんだろ? だったら、僕も買うよ」

「いいって。買い取ったっていっても、練習用の従業員割引価格だし、すごく安かったから。それに、いつもお世話になってるし」


 練習用の従業員割引価格。本当に安かった。お店で売ってる販売価格は知ってるけど、その半分もしてない。たぶん以前アンリエットさんが言ってた、店にポーションを卸してほしい。ってあれもあっての価格なんだと思う。それに薬草を自前で調達できれば、自分で使う用は費用がかからないって言うし。お店で育ててる初級用の薬草もギルドで依頼できるし、そのくらいなら森の深くに行かなくても採取できる場所があるらしい。ちょっと息抜きに採ってきてもいいかなぁ、なんて思ったりもした。


「そういうことなら遠慮無く。ありがとう」

「どういたしまして。一応効果とか使った使用感とか、教えてもらえると嬉しいです」

「あ、僕実験?」

「そ、そんなことないよっ」


 ちょっと目が泳いでしまったけど、許してほしい。


「一応フレデリクさんに合格はもらってるから、効かないなんてことは無いと思うよ。鑑定とか無いからちょっとわかんないんだけど……」

「鑑定? 鑑定なら義兄さんが使えるはずだよ? それで合格貰ってるんなら、大丈夫だね!」


 おっと、フレデリクさん鑑定持ちだったんだ。ってか、鑑定あるんだ。今度教えてもらえるかな。


「まぁ、ポーションあるけど怪我には気を付けてね」

「新人にはなかなか難しい言葉だね。訓練で怪我はまだまだ日常茶飯事だし、そんなことでポーションなんて毎度使ってられないし。でも、このポーションあれば、ちょっと無理な訓練できるかも……」

「いやいや、リュカくん。怪我する前提で訓練しないでよ……」

「だって、今の訓練あと少しで合格貰えそうなんだけど、なかなか厳しくて」

「それだって、怪我して合格もらっても意味ないじゃん」

「そうなんだけど、それでコツなり感覚なり掴めたら今後の為になるかなって」

「んー……。そんなつもりで渡したんじゃ無いんだけどな……。じゃぁ、これからも練習用で作ったポーションはリュカにあげるから、あんまり無理しないでね」

「そんなの悪いよ。いくら安いからってホイホイあげるもんじゃないよ? ポーションって」


 それはそうだけど、コツを掴むのに無茶をするリュカを放っておけなかった。


「じゃぁ、ギルドに登録もしたし、素材の薬草は自分で採りに行くから。そしたら元値はただでしょ?」

「それこそダメだよ。初級用の素材がいくらあまり魔物が出ない地域だからって、アリスが1人で外に出るのは良くない。なんか大変なことになりそうだし」

「大変なことってなによ。大丈夫だよ、逃げ足だけは速いし! それにリゲルもいるし!」

「まぁ、10歳の子供が受ける様な採取系の依頼だけど、本当に気を付けてよ。というか、なら1本は自分で持ってなよ」

「さっきとは逆だね。わかった1本は自分で持ってる。後の4本はリュカにあげるから」


 

 ポーション作りが楽しくて、異世界だし冒険も少しはやってみたいし、お店の仕事はちゃんとしつつちょっとこの世界を楽しんでみようと思えるようになっていた。たぶん生活が落ち着いてきたからだと思うけど、まだまだ不安要素も気を付けなきゃいけないこともたくさんあるけど、まずは、運動がてら外に出て薬草採りに行ってこようと思うのだった。



「ってことで、なんか動きやすそうな服とか防具とかってない?」

「そんな、ちょっとそこまでピクニック。みたいに聞かないでよ。1人で外に出るなら、しっかり準備していかないと死ぬわよ?」

「……そ、そんなに?」

「油断や不注意、準備不足が死に直結する。なんてのは、冒険者としては基本中の基本よ」


 私のお休みの日。さっそく薬草採取の準備をしようと、ティナの店に来ていた。正しくはティナのお父さんのお店だけど。


「でもそんなにお金無いし、外に出るって言っても初級ポーション用の薬草採ってくるだけだから」

「初級ポーション用の薬草って、お店で育ててるんじゃなかったっけ?」


 カウンターで片肘ついてティナが聞いてくる。来たのが友達だからって、態度崩しすぎじゃなかろうか……。


「うん。お店では育ててるけど、私が練習用で使ってたら売る分が少なくなっちゃうし。一応買い取りだから、それなら自分で採ってこようかなって。節約のためにも?」

「節約って……」


 実際にそんなにお金に余裕があるわけでも無いが、無いわけでもない。衣食住のうち、食と住はリュカん家だし、着るものも今のところある分で十分。買い取りが負担ってこともないけど、たくさん練習したいんだよね。でもお店の薬草使ってたら、本当に売る分が無くなっちゃうし。


「初級用の薬草は確かに初心者でも採取可能な場所にあるけど、アリス、本当に大丈夫なの?」

「大丈夫大丈夫。こう見えても逃げ足は速いし、そこそこ魔法も使えるし」


 ただし逃げるようね。


「くれぐれも気を付けなさいよ。装備品は初心者用のを見繕ってあげる。ついでに友達価格にもしといてあげるわ」

「ティナ! ありがとう!!」


 こうして、お友達価格で初心者用の防具を売って貰った私は、続いて武器やで初心者用の探険を買って準備を整え、森へと続く通用門を目指すのだった。





読んでいただきありがとうございます!

今週もう一話更新予定です。


ではまたぁ~( ≧∀≦)ノ

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