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【81】ポーション作り


 無事に両ギルドに登録を済ませた翌日、開店前からフレデリクさんと一緒に裏の薬草畑にいた。


「今日はよろしくお願いします」

「はい、よろしくお願いします」


 お互いにお辞儀をして早速作業にはいる。まずは薬草の採取だ。


「前回教えたこの薬草が、初級のポーションの材料になります」


 前回、教えてもらった青みがかった緑色のハート型をした草が、畑一面に生い茂っていた。


「たくさんあるんですね」

「そうでもないですよ? これだけあっても一度に作れるポーションの数は限られていますから」

「こんなにたくさんあルのに……」


 学校の25メートルプール程の面積にたくさんの薬草が植えられているのに、それでも多くはないとフレデリクさんは言う。一本作るのにどれどけの量がいるのんだろうか……。


「まずは、この葉の上の葉の部分だけを取ります」


 私の膝丈くらいの位置にある葉を、プチっと摘みながら見せてくれた。


「この若葉と、中級用の薬草を使うと、中級のポーションができます」

「なんで上の部分だけなんですか?」

「この部分が一番薬効が強いからです」

「へぇ」


 摘んだ葉を私に手渡して、フレデリクさんは話を続ける。


「もちろんその下や茎にも薬効はあるので、そこは初級用のポーションになるんですが、午前中に採れる若葉が一番良い状態で、中級用に先に採っておくんです」


 手にのせられたハート型の葉を摘まんでじっくりと見ていると、ふと疑問がわいてきた。


「若葉ってことは、一度摘んだら次に採れるのは大分先なんですか?」

「いえ、この薬草、とても成長が早くて根を残して下の方から採ったとしても、半月もあればすぐに伸びてまた新しい葉をつけてくれます」


 すごい生命力だ。さすがポーションの原料!


「じゃあ、早く摘まないと大変なことになりますね!」

「それがそうでもないんですよ? 不思議なことに一定の高さまでいくと、成長が止まるんです。畑を越えて増殖することも無いですし、本当に不思議ですよね」


 通りで綺麗に高さが揃っているわけだ。てっきり剪定してるのかと思った。


「まずは、先の若葉だけを摘んで、それが終わったら下の方まで刈り込んでいきましょう。今日はお試しなので、とりあえず10株程度にしましょうか」

「わかりました」


 ちょっとワクワクしながら、そっと薬草に手を伸ばし、まずは若葉だけをプチプチっと摘んでいく。そして、それが終わると下の方だ。


「どの辺まで切っちゃって良いんですか?」

「大体この辺りまでです」


 ザッと地面から10センチ程の場所でナイフを入れて、フレデリクさんが薬草を採ったのを見て、私も真似をして同じくらいの高さでナイフを入れてみた。うぉ、このナイフすごい切れ味がいい、気を付けなくちゃ。

 

「そう、そのくらいで。では、後9株採って下さい」

「わかりました」


 言われた通り残り9株をサクサク採り終え、フレデリクさんに見せれば「良くできました」と笑顔で褒められた。


「では次は、この薬草を持って作業部屋へ行って、ポーションを作りましょう」


 あらかじめヨウイシテアッタ籠に、薬草を並べて持ち、フレデリクさんの後に続いて家の中に入っていく。そこで、アンリエットさんが店のカウンター裏からひょいっと顔を出してきた。


「良いのが出来るといいね、アリス、頑張っておいで」

「はい! 頑張ってきます!」


 ワクワクしながらフレデリクさんと作業部屋に入り、広いテーブルに籠を置く。


「さて。まず、ポーションはこの薬草と蒸留水で出来ている。と、前にお話しましたよね? 正しくは、薬草を煮て出来た蒸留水がポーションになるんです。まずは作り方をお見せしますので、良く見ていてください」


 そう言って、フレデリクさんは私が採ってきた薬草ではなく、あらかじめフレデリクさんが採っていた薬草を出した。

 テーブルに次々と用具を出して、あっという間にセッティングの完了だ。まるで理科の実験みたい。大きな寸胴鍋と、蒸し器みたいな穴の空いた中蓋と、ちょっと大きめのビーカーみたいなガラスカップに、ちょっと変わった三角帽子みたいなお鍋の蓋。

 初級ポーションは若葉ではなくその下の部分を使う。まな板みたいな板の上で薬草をナイフで1センチ程に刻み、鍋に入れて釜に置いた。そして、魔法で水を鍋に注ぎ入れ、中蓋をセットして中央にガラスカップを置く。お鍋の蓋を逆さにして(三角部分が下)セットして完了らしい。

 釜に火をつけ強火でグツグツと煮ていく。


「このまま待っていると、鍋の中の湯気が蓋をつたってカップの中に落ちます。それがポーションの素です」


 鍋をジーッと見ていると、フレデリクさんがやっと喋ってくれた。


「へぇ、なんかもっと鍋で煮て混ぜたりするものだと思ってました」

「昔はそういうやり方もあったみたいで、今でもその作り方をする方もいるみたいなんですが、私はこの方法でポーションを作ります。やっぱり品質が良いんですよ。不純物なんかを取り除けますし、効きもとても良いので」


 聞きながら鍋を見ていると、ふと疑問がわいてきた。


「あれ? でも魔力って使ってました? フレデリクさん、中級以上は魔力が足りないって言ってましたよね? この作り方で魔力いるんですか?」

「もちろん使ってましたよ?」


 え? どこで?


「まずは、このナイフです」


 さっき薬草を刻んでいたナイフを手に取ると、フレデリクさんが目の高さまで持ち上げた。


「このナイフで薬草を切るときに、魔力を流しながら切るんです。そして、注いだ水ですね。ただ水を出すだけではなく、魔力を混ぜて出しました。最後に……」


 フレデリクさんが鍋の蓋を取り、中からカップを取り出せば、すこし濁った水蒸気がたまっている。まだ熱いみたいで湯気がたっていた。フレデリクさんはそこにスプーンを入れると、くるくるとかき混ぜ始めた。するとカップの中身がうっすらと光ってすぐに消えた。カップを覗いてみたら、濁っていたはずの水が透明感のある薄い緑色になっていた。


「混ぜる時に魔力を注ぎます。これでポーションの出来上がりです」

 

 最後はとってもファンタジーだったから、パチパチパチパチっと、思わず拍手してしまった。


「1日に私が作れるのは、初級で10本前後ですね。中級だと2.3本が限界です。私の魔力量が200ちょっとなので上級は1本でも魔力が足りなくて作れないんですよ。アリスさんは魔力量が300越えてましたよね? なら、練習すれば上級1本はいけそうですね。いやぁ、本当に羨ましいです」

「いや、まだ作れるかわかりませんからね。それにもっと難しそうですよね?」

「ハハ、まぁ低級は結構簡単に作れますけど、中級は注ぐ魔力量が多いのと、上級はそれに加えて蒸留中も魔力を注がなくてはいけなくて、結構大変なんですよ」


 基本的な作り方は一緒でも、上級はなんだか繊細さが求められそうな作業だった。300で上級1本かぁ、フレデリクさんで初級が10本前後ってことは、だいたい1本20とかかな? えっと、確か私の魔力量って1200くらいあったはずだから……60本は作れる計算か。いや、ギルドで333って事にしたから、15.6本で止めとかないとまずいわけね。やらかさないように、しっかりと頭で計算して覚えておく。


「さあ、次はアリスさんの番です。頑張ってやってみましょう」

「はい!」


 フレデリクさんの教え方はとても解りやすくて、魔力を抑えつつも最初の2本は失敗したけど(魔力入れすぎて蒸発した)なんとか3本目にして成功して、綺麗な緑色のポーションが出来上がった。なぜ蒸発したかって? 素材が魔力に耐えられなかったんだって。やっぱり日々の魔力操作の練習は欠かさずやろうと心に決めたのだった。

 


平日に更新できなくてすみませんでした(汗)

やっと書き上げて真夜中…。どうしようか迷ったけどポチることにしました。


来週も週後半忙しくて、微妙なところではありますが、やれるだけやってみようと思います!


ではまた~( ≧∀≦)ノ

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