【71】何がどうしてこうなった?
食事を終えた私たちは、セリーヌちゃんのプレゼントを選びに貴族街にあるお店に来ていた。
わ、わたし、場違いじゃなかろうか……。どう見ても、庶民なんですが……。
まず入ったお店でビビってしまった。そこは、きらびやかなドレスがたくさん飾られたドレスショップで、日本ではまず行かない、ってかコスプレ以外であるのだろうか? という感じのお店だった。まんま映画の世界だなぁ。
「いらっしゃいませ、フェシュネール様」
「急ですまない」
「いえ、フェシュネール様でしたら、いつでも歓迎致しますわ」
某百貨店の一階にある化粧品売場にいるような、上品な立ち振舞いのおばさまが出迎えてくれたこのお店。店頭には既製品が並べられ(一部デザイン見本ともいう)奥で採寸したり、生地やデザインを決めたりなど、全てオーダーメイドでドレスが作られるらしい。もちろん既製品をお直しして販売もしている。
「今日はどういったご用件でございましょう?」
チラッと私を視界に入れつつ、おばさまは賑やかにクロードさんに話しかけた。
「今日は彼女に普段使いの服を。今こちらにあるものと、もう少しランクを上げたものをオーダーメイドでそれぞれ頼みたい」
「……かしこまりました。お嬢様、私はメラニー・グランジュと申します。どうぞよろしくお願い致します」
一瞬間があり、おば様、メラニーさんは目を見開いて私を笑顔で見てきた。つられてニコニコしていた私だったけど、クロードさんの言葉を理解するのに数秒かかってしまった。
「えぇっ! 私ですか?!」
思いっきり叫んでしまった。あわてて口を押さえて、何でどうしてそうなったのか、クロードさんを見上げた。
「今後もフィリップ様とお会いする機会もあるだろう」
「そ、そんなっ、私、そんなにお金持ってませんよっ」
ちょっと小声でフィリップ様の名前を出したクロードさん。理由は分かったけど、こんな立派なお店じゃ、私の手持ちじゃ、いや、全財産合わせても、絶対に足りないよっ!
「もちろん私が払うよ」
「何しれっと言っちゃってるんですか! ダメですよ! そんなの!」
「あの方に会って貰うのはこちらの都合だからね。アリスは何も気にせず気に入ったものを選ぶと良いよ」
にっこり笑顔でキラキラもプラスされたクロードさんは、当然の主張と言いきった。それを聞いたメラニーさんも笑顔で私の肩に手を置き「ではあちらに参りましょう」と、クルッと向きを変え有無を言わさずグイグイと体を押すのだった。
待って! そんな! 無茶な!!
押されて入った部屋は完全な個室で、すでに待機していた女性が三人も待ち構えていた。
これは、あれだね、採寸だよねっ! 身ぐるみはがされるやつだよね!!
「さぁ、こちらでサイズをお計りします。どうぞ楽になさってくださいね」
「ちょっ、ちょっと待ってください! 私、まだクロード様とお話が!」
「大丈夫ですよ。フェシュネール様がおっしゃった事ですので、お嬢様はなんの心配もいりませんよ」
私お嬢様でもなんでもないですから! なんかスゴく張り切っちゃってるけど、不安しかないですから!
私の抵抗虚しく、手慣れた手付きであっという間に下着姿にされてしまった。この状態では逃げるに逃げられず、大人しくなる他無かった。
「フェシュネール様が女性をお連れになられたのは、あなたが初めてですよ。いつもはご自分の服かセリーヌ様のものを注文するだけでしたから」
不安な顔が隠せないままの私に、メラニーさんは落ち着いたトーンで話をし始めた。
「フェシュネール様がお小さい頃から存じ上げていますが、この店であんなに柔らかな顔をされたのは初めてです。よほど大切にされているのですね」
「いや、あのっ、そういうのでは……」
「あら、ではこれからなのですね。余計な事を申しました。どうぞお忘れになってください」
忘れられる訳がない! そんな情報初耳だし、これからもなにも、友人枠なんだってば!
メラニーさんはそれでもニコニコしながら三人の女性に、次々に指示を出し採寸を済ませていく。
なすがままの私は、この事態をどうしたらいいのか答えが出ない状況で、とってもパニクっていた。
連れてきたのが私初めて?! 採寸ってそんなとこまで計るの?! 大切にって、友人としてだよね?! なに考えてんのクロードさん! 誰か教えてーーーーーー!
採寸後、既成の服が運ばれてくるのはとても早かった。色や形に好みがあるかを聞かれたけど、まったく答えられなかった。だって、こっちの上流階級の人が着るような服なんて全然知らないんだもん。流行りも何もかも分からなくて、ならばメラニーさんが選んでくれた方が絶対にいいと思って、オススメをお願いしてみた。同じ様にオーダーメイドの好みも聞かれたが、フィリップ様と会うのに失礼にならない服装なんてもっと分からなかった。
「目上の方に会うのに失礼の無いもので……」
そう答えるのでやっとだった。そうして運ばれてきたのが4着。多いのではないだろうか……。
「お嬢様でしたら、コルセットもあまり絞めなくて大丈夫でしょう。ただ少しお胸は矯正させていただきます」
「えぇっ!」
ビックリしてるうちに、はめられたコルセットの胸の隙間に手を差し込まれグイグイと寄せて上げられた。
ギャーー! やめてーー!!
なんだか、さっきから心の中で叫んでばかりな気がする……。精神的なものがゴリゴリと削られていく中、唯一の救いは、この私でもふんわりとした谷間が出来たことだった。何かが削られたかいがあったかも。スポブラ以外ほとんどつけたこと無かったけど、ちゃんと寄せて上げてすれば私にも出きるんだ……。
「まずはどの服を試しましょうか?」
持ってきた服をざっと並べて、採寸をしてくれた女性がメラニーさんに聞いていた。よく見てみれば、どれもAラインの比較的(脳内ラノベ参照)シンプルなワンピースながら、襟ぐりやスカート、裾にレースや刺繍が施され、日本人の私からしたら普段使いで着るような服ではなかった。スカート丈はかろうじて膝下のものからロングのくるぶし丈と長さも違った。色は暖色系と寒色系か2着づつ。メラニーさんは洋服と私を見比べて「これにしましょう」と、一着の服を選び取り、にっこりと品のいい顔を私に向けたのだった。
ちょいちょい甘いお話が続いてます♪もう少しお付き合いください(*´艸`*)
もう、更新日がめちゃくちゃですみません(汗)
子供の学校関連でハッキリ言って忙しいです(泣)
でも、年度末に向けてさらに仕事とプラスで地獄の日々が続く予定になってるので、このまま週二更新を続けつつ、ストップしないようにストックを作っていきたいと思ってます。
ではまたぁ~( ≧∀≦)ノ




