-34- 身体強化
[-13-訓練所で走り込み]の【地面に刺さった杭】を【打ち込み台】に変更しています。
【アルバイトは雑貨屋で】連載開始から1ヵ月がたちました!早いなと思うけど、中身は全然進んでいなくてすみません(汗)
隊長さんは最後の書類仕事に取りかかると言うことで、私とリゲルはお礼を言って執務室を後にした。
ジェロームさんとの約束で、二人分の食器を片付けた後は、いつものように訓練所で走り込みと、身体強化の練習をすることにした。
いつものように上着をベンチにかけ、準備運動をしてから取りあえず普通に走る。
『アリスって走るの好きだよねー』
「うんっ、走ってると気持ち、良いしっ、タイム上がるとっ嬉しいしねっ」
走りながら喋るのはなかなか大変だったので、早々に念話に切り替えることにした。リゲルは、私と並走して着いてくる。
『ボクもね、走るの好きだよー! フィーと競争した時はあんまりちゃんと走ってなかったけど、もっとずっと頑張ったら、すごーーーーく早いんだ!』
『えっ? あれで本気だしてなかったの?!』
『うん、真っ直ぐじゃなかったし、フィー遅いんだもん』
そう言えば、リゲルは星の精霊って言ってたっけ。流れ星とか彗星って、かなり早かったはず。風速より早いはずだよ……。
『リゲル、本気じゃなかったとか、フィーに言っちゃダメだからね』
『えー、なんでー』
『フィーが可哀想だからだよ……』
『ぶー』
頬をプクーっと膨らませながら拗ねるリゲルに、「フィーには色々と教えて貰ってるでしょ」と言えば、渋々だったけど『わかった。言わない……』と納得してくれた。
話しながら、少し短めのランニングを終えると、今度は身体強化の練習だ。
身体の少し内側に魔力を纏わせるって言ってたけど、表面じゃなくて少し内側ってとこが微妙なんだよね……。強化ってくらいだから、強くするって事だよね。循環とは違うって言うし……。
取りあえず基礎練の循環を念入りにして、感覚をつかむ。身体中に魔力を行き渡らせても強化にはならないんだから、もっと違う感覚なんだと思った。
「少し内側、少し内側……」
目を閉じて、理科の人体模型や生物で習った人体構造、部活でやっていた筋力トレーニングなんかを思い出しながら、身体の筋肉に魔力を添わせながら、サポートする感じかな? と、全身に張り付くように柔軟性をもたせる感じで纏わせてみた。
すると、すこしきゅっと締まる感じがした。手足を動かせば体が軽く感じられる。
「おっ? 成功かな?」
その場でピョンピョンと跳び跳ね、腿上げをして走ってみる。体感がずいぶんと軽くもっとスピードが出せる気がした。楽しくなってどんどんとスピードを上げていく。
『アリス早いねー!』
『まだまだいけそうだよ!』
短距離走の時よりも早く走っているのに、全然息が上がらない。身体強化ってすごい! 感動でスピードを上げすぎた私は、だんだんと体の制御が効かなくなってきて焦ってしまった。
『ヤバイヤバイッ! は、早すぎてうまく曲がれない!!』
『アリスー、そのまま行くと棒にぶつかるよー?』
『知ってる! わかってる! でも急に止まんないのっ!』
あっという間に迫った打ち込み台が迫っていた。頭では分かっていても体がどうしても言うことを聞かなくて、せめて受け身くらいはと、両腕で頭をかばう体制にもっていった。
「ぎゃーーーーーーっ!!」
『アリス危なーい!』
「君はもう少し考えてから行動するべきだと思う」
「うぅっ、はい……、すみませんでした」
朝出ていったばかりの執務室に再度お邪魔した私は、呆れた隊長さんにお説教の真っ最中だ。どうやらあの訓練所は執務室から見えてるらしい。どうりで頭から水をかぶった時にすぐに現れた訳だ。今回も身体強化の練習を始めた私を仕事の合間に見守っていたら、とんでもないスピードを出し始めた辺りで異変に気が付いたらしく、あわてて訓練所まで来たらしい。
結局、打ち込み台に激突した私は、強化中だったこともあり、無傷ではあるものの衝撃までは和らげられず地面倒れ空を仰いでいた。
台も2つ程バキッと折れてしまい、自分の軽はずみな行動と破損の2つを謝るばかりだ。
「壊れてしまった物に関しては、補充があるので気にしなくていい。訓練の時のも加減を間違えて壊すものもいる」
「本当にすみません……」
「スピードを出すことに躊躇いはないのか? 普通の女性ではあり得ない速さだった。制御が出来なくなるまで気が付かなかったのか……」
痛いものを見るような目を向けられてしまった。そうですよね、子供ならまだしも、こっちで成人した女性が出すスピードではないですよね……。しかしである。陸上部所属の私からしてみれば、短距離でいかに早く走るか、良いタイムを出せるかと頑張っていたのだ、早く走る事に躊躇いはまったく無いのである。
「今までいかに早く走れるかって練習してたんで、まさか体が言うこと聞かなくなるなんて思っても見なくて……。本当にすみませんでした。今後は気を付けます」
「慣れていけば、制御も出来るようになるだろう、だが、あれは早すぎだ。足だけに強化をかけていた訳ではないのだろう?」
「あー、はい。全身にかけてましたね。お陰で怪我もしませんでした。本当に身体強化ってすごいんですね!」
感想を素直に口にすれば、隊長さんはまた呆れていた。いや、反省はしてるんですよ。次からはスピードの出しすぎには注意が必要だと本気で思ったし……。
「怪我がなくて良かったが、アリスは普通の女性だろう。あそこまでする必要もない。次からは気を付けなさい」
「……はい。気を付けます」
「この後も試すのか?」
「え? ……あー、そうですね、全体の強化は出来たみたいなので、部分的な強化を試そうかとは思ってました」
「普通はそこまで簡単に出来るものでもないのだがな……」
「そ、そうなんですか?」
ちょっと規格外だったらしい。魔力を解放してからまだ3日。すでに生活魔法(水と風と移動)を使えるようになり、全体の身体強化を身に付けた。聞いて見るだけでどんどん吸収していく私は、まるで魔法が日常的に存在しているこっちの世界の人間並みに、いやそれ以上に理解力があるらしい。日常的に見ていても、自分が使うとなると話しは別で、コツをつかむまでが難しいんだって。
「この後少しなら時間がとれる。とりあえずまだ使えていない生活魔法と、部分的な身体強化の方法だけでも教えるから、ちょっと待っていてくれ」
「え? でも隊長さん忙しいですよね? そんな悪いですよ!」
机の上の書類はまだたくさんある。しかも帰るのは明後日だ。実質作業が出来るのは今日と明日の2日しかない。そんな時に練習を見て貰うなんて、と断ろうとしたけど
「離れたところで怪我をしないか心配しながら見ている方が、集中できない」
と言われてしまえば「すみません……」としか言えず、隊長さんの貴重なお時間で、魔法を教えて貰うことになった。
なんか、こう、アリスの方向性がですね。
勝手に動き出してしまって。
創造力が豊かだと、魔法も発動しやすいですよね(苦笑)
連載1ヶ月を記念して、この後もう一話投稿する予定です★お楽しみに!




