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-33- 特訓の成果


『アリスー! 見てみて! ほら! もとに戻ったよ!!』


 声はリゲルで、姿は光の玉だった。無事に元の状態に戻れたらしい。これでピアスにも入れる。本当に良かった。


「よかったね。それにしても、どうやって戻ったの?」

『やってみてあげる! だからアリス、魔力ちょうだい!』


 興奮状態のリゲルは、色々と言葉をはしょる。それどころか、ぐいぐい近づいてきて頬にリゲルが刺さる。


「ちょ、リゲル、痛いからっ! 落ち着いて!」

『大きくなるのに、アリスの魔力がいるんだって! 色々と練習してたら、アリスの魔力無くなっちゃったから、もっかい魔力ちょうだい!』


 訳が分からず説明を求めようとフィーを探すと、スィーッと隊長さんの肩に止まる光の玉を見つけた。


「フィー、説明をっ、説明をお願いしますっ」

『しょうがないわね、契約した精霊が実体化するには、契約者の魔力が必要なのよ。一度貰えばある程度実体化できるんだけど、さっき使いきっちゃってもう実体化できないの。分けてあげればまた出来るようになるわ』

「へぇ、そうなんだ。契約した精霊がってことは、契約してなくても精霊さんって実体化できるの?」

『まぁ、場所限定だけど、実体化は出来るわね』


 けっこう色々と教えてくれるフィーが詳しくは教えてくれないって事は、精霊さん達の秘密なのかな? 突っ込んで聞くのも悪いと思いそれ以上聞くのはやめておいた。


『契約すると、契約者の魔力を貰ってその場所以外のところででも実体化出来るようになるの。ちなみに、実体化した姿は契約者と、同じように精霊と契約して人しか見えないから』

「そうなの?! それってすごいね! 実体化してればそのまま連れて歩いても大丈夫ってこと!?」

『まぁ、他の人には見えないけど、たまーに契約してる人とかいるからね。そう言う人には見えるわよ。そこで!』

『その人たちにも見えなくなるように、特訓してたのー!』


 フィーの言葉を引き継いで、元気よくリゲルが答えてくれた。秘密の特訓って、そう言うのだったんだ。


『だって、なんか見つかったら面倒なんでしょ? 私たち精霊は隠れるのは得意だから、色々とやり方があるのよ』

『だからね、だからね! やってみるから! アリス魔力ちょうだい!』


「お菓子ちょうだい!」みたいなノリで言ってくるリゲルがおかしかった。私も魔法覚えたときは早くリゲルに見せてあげたかったのと同じで、リゲルも覚えたものを私に見せたくて仕方ないみたいだった。


「わかったよ、今あげるから」


 昨日やったみたいに、両手を器みたいに合わせれば、そこにリゲルが飛び込んでくる。笑いながら掌に魔力を集めると、同様に吸われていく感覚がした。


『あぁ、きもちー』


 ちょっと温泉浸かってるおじさんみたいな言い方だなと面白がっていると、またリゲルが光ってパチンっと四散した。2度目だけどビックリするよね。隊長さんも目を見開いていた。前回は掌に閉じ込めちゃって分からなかったけど、四散した光はしゅーっと巻き戻ししたみたいに一点に集まりポンっと音がした瞬間に、実体化したリゲルが姿を現した。


『じゃじゃーん!』


 じゃじゃーんって……。腰に右手を当てて、左手は一本指を立ててビシッとまっすぐと伸ばす。ポーズまで決めたリゲルは、この登場を気に入ってるみたいだった。ドヤ顔がすごかった。


『でねでね、ここからね! こうやってー』


 言葉の説明は無理みたいで、『こうやってこうでしょー』と言いながら、後ろにそっくり返ってポンチョの端っこをつかんだと思ったら『えいっ!』と勢いよくポンチョを掴んだまま前転してくるくると2回程回り込みパチンっと小さな光に戻っていった。


「なにそれ! すごい! 可愛い!!」

『すごいでしょ! すごいいでしょ! 何回も練習したんだよ!』


 フィー曰く、本当はもっとスマートに光になれるそうだ。でも何度練習しても言った通りに出来ないから、洋服掴ませてみたらなんとか出来るようになったそうだ。スッゴク可愛いからこれで全然良いです!

 まだ魔力が余っているのか、リゲルはまたパチンっと四散してポンッと実体化する。しっかりとボーズ付きで。


『でねでね、こっちが見えなくやるやつー!』


 今度はポンチョの右端っこを掴んで、右回転に2度くるくると回る。すると2度目の回転の終わりにシュッと小さな音がしてリゲルが消えた。あれ? 私にも見えないの? リゲルがいるのは感じられるものの、姿はよく見えない。いるだろう場所を目をこらしてみると、うっすらとリゲルがいるのが分かった。


「私には全く見えないな」

「私はうっすらと見えるくらいです」

『ねー! 出来たでしょー!』


 シュッと音がしたと思ったら、左回転していたのかポンチョがなびいてリゲルが現れた。



『クロード、ボク見えなくなってたでしょ!』

「ああ、全く見えなかったぞ」

『これで一緒にいても見つからないよ!』


 嬉しそうに跳び跳ねる、と言っても浮いてるんだけど、ピョンピョンしてるリゲルを見て、私も嬉しくなった。でも、ふと疑問もわいてきた。


「でもリゲル、外に出てると疲れちゃうんじゃないの?」

『ん? それがね、そんなに疲れないの。なんでかな?』

『契約したこともそうだけど、たぶんこっちの世界の方が漂う魔力が多いせいだと思うわ。地球? だっけ? そっちじゃ魔法なんて無かったんでしょ?』

「魔力も魔法も無かったね、そっか、なんにせよリゲルが疲れないなら良かった」

『うん! アリスとずっと一緒ー!』


 フワッと肩に座り、頬を擦り寄せてくるリゲル。ねー! と二人で笑い合えば、それを見ていた隊長さんも笑顔になっていた。



リゲルの可愛い姿が浮かんで浮かんで、こんな回になりました(笑)

少しでも雰囲気が伝わればいいなぁ


次回更新6/7 夕方ごろ


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