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-23- お勉強の時間2


「今日もよろしくお願いします」


 会議室でリュカにこの世界の事を教わるのも5回目となった。一回目は時間。二回目はこの世界の地理。3回目は生活習慣の注意点。4回目はお金の単価だった。

 こっちの世界と地球の事を照らし合わせて擦り合わせをする作業は、知っていた事を覚え直さなきゃいけないから大変だったけど、とても楽しかった。ちゃんとノートに書いて復習もする。もともとそんなに勉強は嫌いでもなかったから、苦にはならなかった。

 そして5回目の今日は移動手段について教えてもらった。基本は徒歩。それか馬。馬車もある。それと、船だった。歴史でしか知らない交通手段に驚きつつも、こればかりは仕方ないと諦める他なかった。移動手段と一緒に地理で習った場所に、だいたいどの程度で行けるかなどの説明もしてもらった。

 ちなみにこの砦から王都までは、徒歩で5日。単騎で2日かかるそうだ。夜営や休憩を入れても徒歩で5日って、かなり遠い。スマホを買ってもらった時に、面白くて地図検索で色々と調べた事があったけど、確か東京から名古屋までだいたい350キロくらいで、徒歩3日と少しって出てたっけ。ノンストップで3日って事は、寝る時間と食べる時間と休憩と……。だいたいそのくらいの距離なのかな……。うん。今からすごく不安になってきた。


 時折リゲルが、私と同じようなタイミングで驚いたりもして、初めはビックリしたけど、どうやらリゲルの声はリュカには聞こえなかったみたいでホッとした。ちゃんと契約をしたからか、声に出さなくても会話が出来るようになったっぽい。ホントになんでもありだなと思う。


『お馬さんに乗れるの! 北海道でもないのに?!』


 校外学習の一環で、乗馬体験をしたなぁ。と昨年の事を思い出した。リゲルが言っているのは、たぶんその時の事なんだと思う。リゲル君。別に北海道じゃなくても、馬には乗れると思うよ。

 もちろんこっちの世界には、自転車も車も電車も飛行機も無い。その説明をすれば


「鉄の塊が道を走ったり、空を飛んだりするの?!」


 と、リュカからお決まりの驚きも頂いた。いや、物理的に空飛んじゃう人もいるんだから、そっちの方がすごいでしょうに……。


 そういえば、日常生活の話をした時にも「スイッチひとつでなんでも出来るなんて」とも驚かれたけど、魔法でなんでも出来るんだから、それもすごいと二人して驚いたっけ。


「そういえば、リュカは魔法使えるの?」

「魔法? 使えるよ」

「例えば?」

「んー、僕の使える魔法は、攻撃系が多いかな。生活魔法も使えるかって言ったら使えるけど、あんまり細かい事が得意じゃないから苦手な方だな」


 昨日は魔力を解放するので精一杯で、エルさんから使い方を教われなかった。基本的なことだけでも聞けないかと、ちょっとワクワクする気持ちを押さえてリュカに聞いてみた。


「魔法ってどうやって覚えるの?」

「アリス、魔法使えないの?」

「うん。私の世界じゃ魔法は無かったから」

「そっか、魔法無いからカガク? だっけ、そっちが発展したんだったね。どうやって覚えるって、親から直接魔法を見せてもらって、覚えたんだよね」

「見て覚えるの?」

「そう。あれこれ言葉で言っても、理解しづらいって言うか、見た方が分かりやすいって言うか……。物心ついた時から魔法は身近だったから、何で? って聞かれると、答えに困るね。まったく知らない人に教えるのって難しいな……」


 うーん、と唸るリュカ。眉間にどんどんシワがよってきて、しまいには腕まで組んじゃってさらに唸る。

 きっと、子供が自然に歩くのを覚えるように、勝手にスマホとかいじれるようになる感覚で、この世界の人たちは魔法を使ってるんだろうなと思ったら、とりあえず魔力や魔法について教えてもらわない事には、一歩も前に進めない気がした。


「アリスは自分の中の魔力って感じられるようになった?」

「昨日隊長さんやエルさんに手伝ってもらいながらなら、感じられたよ。意識すれば分かるものなの?」

「僕も初めてやり方を教わった時は、父さんに魔力を流してもらったよ。それから何度か繰り返してもらって、感覚をつかんだかな」

「へー、そうなんだ」

「うまく教えられるかわかんないけど、やってみる?」

「いいの?!」

「魔力循環くらいなら、生活魔法も攻撃魔法も基礎は一緒だし、それならいつもやってるから教えられると思うよ」

「是非お願いします!」

「うん、じゃあ、はい」


 はい。と手を差し出される。あ、そうだ、手繋ぐんだった。この年で手を繋ぐなんてそうそう無いから、まだちょっと馴れないな……。

 照れから顔が少し熱くなるのを感じながら、私はリュカの手に自分の手を重ねた。


「少し魔力流してみるからね」

「お願いします」


 リュカの言葉に目を閉じて、手に意識を集中してみた。すると、じんわりと暖かいものが繋いだ手から私の手へと流れていくのを感じた。昨日の経験からそれが魔力なんだと察した私は、溶け込んでいく魔力を感じながら、自分の中にあるだろう魔力を探すようにさらに意識を集中させた。



 昨日は鳩尾辺りに収まった感じがしたから、たぶんそこら辺に魔力があるのかな……。ん? なんかあるかも?



 そっとリュカから手を離して、自分の鳩尾に手を重ねた。モヤモヤしていた感覚がだんだんと姿を現すように形を作っていく。スーッと深く息を吸い込むとさらに形がハッキリとしてきた。


「なんか、ここらへんに、こう……」

「たぶんそれだね。染み出すみたいに少しづつ、一気に解放するんじゃなくて、少しづつね。それを体の中に行き渡らすんだけど、わかるかな?」

「やってみる……」


 リュカの言葉を素直に受け止め、染み出す染み出す……と、TVCMか何かで見た海綿から水が染み出てくるイメージで、ちょっとづつ出して体の中を満たしてみる。行き渡らすって、喉乾いたときにスポドリ飲んで、染みわたるーみたいな感じ?

 自分なりのイメージで少しずつ魔力を身体中に行き渡らせていった。



北海道、また行きたいなぁ(*´∀`)


読んでいただきありがとうございました!

次の更新も、明日の18時となります。


もしよろしければ、応援よろしくお願いします(*´艸`*)

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