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-14- 地球の精霊



 ここは異世界。ここは異世界。地球でも日本でもない。声が聞こえたとしても有りな世界。


「えーっと、君は誰なのかな?」


 怖がりっぱなしも現実逃避も、自分にとっても声の主にとっても、よろしくない。ここは異世界なんだしもう少し柔軟な考えをしていかなくちゃ! と思いきって誰もいない部屋で声の主に話しかけてみることにした。


『ボクはリゲル! アスリといつも一緒にいたんだよ!』

「リゲル?」

『うん! パパがアリスにあげたピアスに入ってたの!』

「ピアス! 片方なくしちゃったやつ?!」


 そう。こちらに来て翌日に気が付いた。両耳につけていたはずのピアスが片方なくなっていたのだ。校則があまり厳しくない学校だったので、パパが私が生まれた時に記念で買っていたピアスを入学のお祝いでくれたのだ。部活の時は外していたけど、下校時にはしっかりと耳につけたはずだったのに、ガッカリしたのはつい最近の事。


『ずっとね、近くにいれなくて寂しかったんだよ……』

「え、じゃあ今は……?」

『ここ! ここにいるよ!』

「ここにいるって……」


 あの時無くして、今あるものは……! 私はバッと持っていたマントを広げてみた。すると、マントの端っこにキラキラと光るピアスを見つけた。


「あった!」

『そう! そこ!』

「もう見つからないなと思ったのに……。良かった……」

『ボクもボクも! アスリと一緒にいられないかと思ったー!』


 そっとピアスを引っ張って取り、きゅっと握りこんだ。


「キャッチは無くなっちゃったんだ……」

『もうつけてもらえないの?』

「そんなことないよ! なんとかしてつけるから!」

『良かった。もう離れないよね?』

「大丈夫! 絶対に失くさないからね!」


 ピアス相手に独り言って、いや独り言じゃないよね。ちゃんとリゲルがいる、んだと思う。

ちょっとシュールな光景かもしれないけど、パパも知ってるし、なにより【リゲル】ってオリオン座の恒星なんだよね。天文好きのパパが冬のダイヤモンドを形成する星の1つってことで、こじつけで小さいんだけどダイヤモンドのピアスを買ったんだって。とにかく、こっちに来てから地球の話題を誰とも共有出来なかったから、たとえそれが、声だけのピアス君だろうが嬉しいものは嬉しいのだ。

 とりあえず失くしたくないけど、部屋に置いておくのもいやだったし、どうやら離れると会話が出来なくなるみたいだったから、リュックからいつも仕舞っているピアスケースを取り出した。


「失くしちゃうと嫌だから、ここに入っててもらってもいい?」

『うん。でも、お喋りできなくなっちゃうから、持ち歩いてね』

「もちろん! 絶対に置いてかないよ!」


 いつもより大事にケースに仕舞うと、胸にあるポケットに納めた。


「でもどうしてリゲルと会話できるようになったの?」

『んー、たぶんこっちに来たからかな?』

「こっち?」

『うん、ボク星の精霊なんだけどね、地球じゃ誰ともお喋りできなかったの。ずっと前に地球に落ちてきて、拾ってくれたのがパパなの! パパともお喋りしたかったんだけど、全然聞こえなくて悲しかったな。ちょうどアリスが生まれた時に、パパがキラキラした石を持ってきたから、中に入ったんだ。小さい時はアリスもボクを見て笑ってくれてたんだけど、だんだん分かんなくなってきたみたいで、ボクもその頃から眠くなっちゃって……』



 リゲルって、精霊なんだ……。



『初めてアリスを近くで感じて、起きてみたらアリス大きくなってた! それからもアリスとはお喋りできなかったけど、頑張ってるアリス見てたら楽しかったよ! こっち来るちょっと前に、よく分かんないけどなんか嫌な予感してアリス助けようと思ったの! アリスー! って力一杯叫んだら、なんかキラキラし始めてね、パーってなって、キーンってなってね、暗くなったの! そしたら、もっと嫌な感じがして、誰かー! って叫んだの!』



 キラキラしてパーって……



『そしたらね! キラキラした男の人が助けに来てくれたの! アリスが助かってホントに良かったー! でね、アリスをここに連れてくる時に、ボク引っ掛かっちゃったみたいで。悲しくて寝てたんだけど、さっきアリスを感じて起きたの! でね、アリスーって呼んだらアリスキョロキョロするから、聞こえてるのかな? って、もう一度呼んだの。ね、ね、こっち来たから聞こえたんだよ! すごいね! ずっとアリスとお喋りしたかったからボク嬉しい!』


 いろんな情報が盛りだくさんで、ちょっとフリーズしてしまった。えっと、リゲルは地球にいた精霊で、ずっと見守っててくれて、私がなんか危ないと思ったから助けようとして、さらに危なくなって助けを呼んでくれて、離ればなれだったけど、とかくにいたから呼んだらお喋りできたと……。


「私、もしかして死にそうだった?」

『よく分かんないけど、すごーくすごーく嫌な感じがしたよ。ゾワゾワーって今まで感じたことなかったもん』

「そうなんだ……」



 順風満帆な人生で何で? って思ってたけど、実はヤバかったんだ……。



「リゲル、ありがとね」

『うん! こっちに来たとき、ゾワゾワゾワーってなってすごくビックリしちゃったけど、アリス元気になってくれて良かった!』


 【ゾワ】が一個多い気がするけど、悪意なく良かれと思ってやってくれたことは、物凄く伝わってきたし、助けを呼んでくれたのもリゲルらしいので、怖かったけどそこら辺は水に流すことにした。ジャージャーと、勢いよく、である。

 ちょっとだけ引きてしまったのが分かってしまったのか、リゲルは申し訳なさそうに呟いた。


『なんか間違えちゃったみたいでごめんね』



 あ、これなんか聞いたことあるやつだ……。

やっとリゲル君出てこれました!


読んでいただきありがとうございました!

次の更新も、明日の18時となります。


もしよろしければ、応援よろしくお願いします(*´艸`*)



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