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-12- お勉強の時間


「わ、私もう行きますね! まだ食堂の方大変そうだったんで!」


 慌てて隊長さんの横を通りすぎ、扉へと向かう。


「アリスっ」


 呼ばれて仕方なく足を止める。


「ありがとう」


 食事を持ってきた事へのお礼か、仕事を労った事へのお礼か……。私はグッと気合いを入れて笑顔を作り振り返った。


「いえ、隊長さんも息抜きはしてくださいね、失礼しました!」


 ばっとお辞儀をして逃げるように執務室から出て扉を閉めた。



 日本人の小娘に、外国人風イケメンとのふれあいはハードルが高すぎるんだって!



 未だドキドキしている心臓をバシバシ叩いて落ち着かせる。


「アリス? 何してるの?」

「リュカっ、いやこれは、な、何でもないよっ」

「そんなに叩いて痛くない?」

「だ、大丈夫、です……」


 みんなよりちょっと幼いリュカは、私の癒し系です。

 体育会系バリバリできた私の周りには、男の子より女の子の方が比率が高かった。応援してくれる女の子が特に……。読んでいた小説なんかもバトル系がどちらかと言えば多かったし、もちろん恋愛系も読んだけど。

 憧れの先輩も居たこともあった。けれども、恋人いない歴は年齢(イコール)である。

 兄がいたから男の子への免疫ゼロってことは無いけど、如何せんここの人たちは顔面偏差値が高すぎる。同じクラスの男子なんて霞んで見えるくらいに、カッコイイのだ。その中でも隊長さんは別格だった。

 笑った顔なんて見た時には、なんだか見ちゃいけないモノを見た気分で、落ち着かないのよ!


「アリス?」

「あ、ごめんリュカ。もう大丈夫」



 いけないいけない。思考が飛んでた。



「今日なんだけど、また5刻からでいいかな?」

「うん、ぜんぜんいいよ。いつもありがとう」

「じゃあまた会議室でね」

「はーい」


 リュカはいつも朝から討伐に出ていた。本当はみんなと一緒に日が暮れる前くらいに帰ってくるところを、だいたいお昼くらいに帰ってきてくれて、その後に私の勉強を見てくれてるのだ。

 5刻とは、13時くらいの事。一番先に教えてもらったのが、この世界の生活リズムと時間だった。




「だいたいみんな1刻に起きて1刻半から2刻くらいに朝食を取るんだ」

「ん? 1刻って何時?」

「え? 何時って何?」


 初っぱなからつまずいてしまった。誰も来ないように会議室で﹙さすがに部屋はまずかろうと﹚勉強中だったけど、急いで部屋に戻りリュックにしまってあった腕時計を持ってきた。お兄ちゃんが社会人になって初めて誕生日に買ってくれたプレゼント。大事に持ち歩いてて良かった。

 会議室に戻ると、リュカも何処からか戻ってくるところだった。


「隊長の借りてきた」


 そういって見せてくれたのは、懐中時計に似たものだった。文字盤の数字も1~12まで書いてあったけど、私の時計とは明らかに違うのは数字の位置と針の数だけだった。一番上が【1】で、針は一本しかない。異世界補正入ってるのか数字は同じに見えたよ。凄いね、私の目。

 私は同じ数字に見えたけど、リュカには読めなかったので、これまたノートに書きながら説明です。


「私の世界では、この秒針って言うのがぐるっと一周すると60秒で1分。長い太い針が一周すると60分で1時間。短い針が一周すると12時間。2周して24時間が1日。2周して一番上まで短い針が戻ってくると、またそこから一日が始まるの。で、私の一日が朝5時くらいに起きて朝食後7時に学校行って朝練して、8時45分から勉強。12時くらいにお昼ご飯食べて15時くらいまで勉強。16時から19時まで部活。20時にご飯食べてだいたい23時くらいまでに寝るかな」

「え、アリス勉強しすぎじゃない? ブカツって鍛練だよね? そんなに鍛えてたの? しかも夜も遅くまで起きてるの? 時間? も、なんかすごい細かいね。なんで一周がそんなに中途半端な数なの?」

「学校は決まった時間に勉強するとこだし、みんなもやってたし。鍛練って強くなるためっていうか、早く走るために練習してただけだし、時計の一周は、えーっと、それはものすごーく昔に、影の位置を基準として午前と午後に分けたのが始まりで、なんだっけ、それからそれらを12分割にしてとかだったかな……、ダメだ。全然分かんないや。私が時間を知った時にはもうこの決め方だったから、説明できない……。あんなに勉強してたのに、なんか凄い悲しい……」

「なんかごめん……。それじゃあ、こっちの説明するね」

「お願いします」


 気を取り直して、今度はリュカが持ってきてくれた時計を見ながらの説明が始まった。


「1日は1刻から始まって、2刻くらいまでが朝食。その後仕事が始まって4刻で休憩。4刻半からまた仕事して6刻半で仕事終わり。7刻くらいに食事して遅くても8刻半には就寝ってとこかな。日が落ちると明かりが無いからね。蝋燭や魔石なんかで明かりは付けられるけど、消耗品だからみんな夜は早いんだ。その分朝も日の出くらいだから」

「ふ、ふーん……」



 まったくついていけません……。



 頭から湯気が出そうになったけど、なんとか持ちこたえる。日の出ってことは1刻が5時か6時くらいだよね。数字が12個あってそれだけで1日ってことは、1刻から2刻の間はだいたい2時間かな。例えば1刻を5時と過程すると……


 1日は1刻(5時)から始まって、2刻(7時)くらいまでが朝食。その後仕事が始まって4刻(11時)で休憩。4刻半(12時)からまた仕事して6刻半(16時)で仕事終わり。7刻(17時)くらいに食事して遅くても8刻半(20時)には就寝ってとこかな。

 寝るの早い……。健康的だ。


「アリス大丈夫?」

「ちょっと似てるところがあるから、なんとかなりそう」


 当分は忘れないようにノートにメモしてズボンのポケットに入れておくことにした。




異世界の時間って、難しいね(汗)

読んでいただきありがとうございました!

次の更新も、明日の18時となります。


もしよろしければ、応援よろしくお願いします(*´艸`*)

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