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ドッカン!!  作者: 亀太郎
6/7

種子の旅

もう、すっかり日が暮れていた。ラーナは

『御者無し馬車』の馬たちにバックから出した

沢山の穀物と水を与えた。


「疲れたね〜ゆっくり休んでから〜帰ってね〜」

と馬たちを撫でて労っていた。


ダッチョルにも「キミも頑張ったね〜」と

沢山の水と穀物を与え頭を撫でた。

ダッチョルは喜びのダンスを踊っていた。


「ありがとう!ラーナ助かるよ。」

「今度ラーナもダッチョルに乗りなよ。」

「ホント〜ヤッタ〜」

ダッチョルも嬉しそうに踊っていた。


「さぁてとオレたちも野宿の支度をするか。」

「その前に火を起こしてご飯でしょ!」

「うむ、腹が減っては何とやらでござるな。」

「ちょっと待ってね〜今から準備するよ〜」


ラーナはバックから布団やら食事道具やら

簡易カマドやらをドンドン出していった。


「オイオイ。スゲーな、そのカバン!」

「そんなに小さいのにどうなっちゃってるの?」

「コレはね〜マジックバックだよ〜女王さまが

貸してくれたんだよ〜スゴイよね〜」

「異世界ならではでござるな。」


「みんな〜布団敷いといてね〜」と

ラーナは手際良く火を起こし、食事の準備を

さっさっさっさっとしていった。


その手際の良さにみんなが驚いていると…


「見習い聖女でね〜慣れてるから大丈夫だよ〜」

と鼻歌まじりにドンドン仕事を進めていった。


大きな鍋がクツクツと心地良い音をさせ…当たり

一面に食欲をソソる匂いが漂ってきた…


薄パンも軽く炙って、1人3枚づつと大きめの

お器にタップリと鍋のスープを入れて、みんな

の前に配った…みんな自然と顔がニヤけている。


「味の保証はしないけど〜冷めないうちに〜

召し上がれ〜」


あいさつそっちのけでドッカンとボインは

我先きにガバガバ食べ始めた…

小次郎は静かに一礼をして上品に口をつけた。


「う、上手い…イモのホクホク感…他の野菜の

甘み…肉を噛んだ時にでる旨味のある肉汁と脂…その上この汁の味つけ…絶妙でござる…」


小次郎は天を仰ぎ…ラーナを見た…

ラーナは「ヘヘ〜」と笑って「美味し〜?」

とニコニコしていた。


「絶品でござる…この上ないご馳走でござる…」

小次郎は深々と頭を下げた。


ドッカンとボインはもう食べ終わり、お代わり

を要求していた。

「うンメ〜最高だぜコレ!何杯でもイケそうだ!」「アタシもいっぱいいっちゃうよ!」


大きな鍋はあっと言う間にカラッポになった…

ドッカンとボインは、食器も鍋も舐め回して

満足気に横になっていた…


小次郎もキレイに食べ終わり、手を合わせて

一礼していた。


ラーナも食べ終わると手早く後片付けを済ませ

て布団に横になり星空を見ていた…

みんなも夜空を無言で見つめていた…


「アタシらのトコと変わんないね…」

「ああ…星空だけ見てると違う世界に来たって

実感が湧かねぇな〜」


「アタシらはさぁコイツの爆弾の事故であの世に行っちゃったんだよね〜」

「オイオイ!何かオレが悪いコトした見たいじゃね〜かよ!」

「そうか〜2人は同じトコロから〜来たんだ〜」

「そんで、小次郎は何であの世に行ったの?」


みんなは小次郎の方へ目を向けた。


「拙者でござるか…拙者の国では乱世も終わり

泰平の世になろうかと言う時期でござったな…」


「拙者は剣士として身を立ててござった…」と

小次郎は回想しながらトツトツと語っていった。


小倉藩に剣術指南役として仕えていた…そんな

ある日、宮本武蔵と名乗る武芸者から試合の申し込みが有った。武蔵はすでに有名な武芸者だった。藩主は乗り気で試合のお膳立てをした。


あれは舟島…あヤツと対峙して、わかった…天才

だと…何度か見かけたコトは有ったが、向き合って初めてわかった…


あヤツは勢いよく拙者の間合いに飛び込んで来た

拙者の始めの一閃は届かなかった…が次の振り上げた返しは届いた!勝った!…と思ったら…あの世に立っていた。


小次郎の語りが退屈だったのか…みんな寝息を

立てて寝ていた。


小次郎はフッと苦笑いをして目を閉じた。

が、馬車の中で聴いていた『種子の旅』の話しを

思い出していた…


昔のむかし疲弊していた村で1人の聖女が神に

お祈りをしていたトコロ、神のお告げが有った。


3つの加護を与えるので、聖樹の種子を取りに

行く旅に出よ…と、その種子を植えると村は繁

栄するだろう…と


聖女は旅立ち艱難辛苦の末、種子を持ち帰り村

の中心に植えて村は瞬く間に繁栄したとの事。

その村が今の聖女王国。


おとぎ話とはいえ、昔に実際に有った出来事…

神が聖女に与えた3つの加護とは、我々と同じ

様な3人の転生者の事だろう…


艱難辛苦の旅の内容は語り手によって、随分と

違うらしい…『種子取物語(タネトリモノガタリ)』と言う古文書が

起源となり、おとぎ話になって話しが膨らんで

いった様だ。


極めつけは今でも聖女王国で上演されている…

『種子(タネ)を探して三千里』と言う歌劇だ。脚色の

ために魔獣やら魔人やらが目白押しに出て来る

らしい…


どんな旅になるやら…拙者のこの物干し竿が

役に立つと良いが…と、小次郎も深い眠りに

落ちていった…。



なんとも言えない甘い良い香りで3人は目を

覚ました。


ラーナが手際よく朝食を作っていた。日も丁度

昇りはじめる頃だった。ダッチョルはもう朝食

を済ませたらしく満足そうに羽根づくろいをし

ている。


「おはよ〜朝ゴハンが出来たよ〜」


「う〜〜ん良く眠れたぜ〜!」


「ホントこのお布団フカフカで良く寝れるし、

すぐ寝落ちしちゃうね」


「うむ…拙者も眠りが深過ぎてラーナ殿の起き

るのも気づかず…不覚であった。」


「アハハ〜冷めないうちに〜朝ゴハン食べよ〜」


昨夜と違ったフンワリしたパンに蜜とバターが

塗ってあり、半熟の目玉焼きとサラダが付いていた。そして、あの甘い良い香りの飲み物。


「コレはお茶でござるか?いい香りがするでござるな。」


「コレはね〜聖大樹の枯れ葉の〜お茶だよ〜」


ラーナと小次郎が会話をしている間にボインと

ドッカンは朝食をペロリと平らげてお代わりを

要求していた。


朝食も終わり、一行は手際よく旅支度を済ませ

魔草原の前に立った。


さあ、『種子(シュシ)の旅(タビ)』のはじまりだ…。



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