お兄様と結婚して新しい王国を作りました
グレナン王国の数百年の栄華を支えてきた王宮はお兄様の一撃で暗黒竜もろとも壊滅した。
「良かったわ。王宮だけで済んで」
私はほっとした。
「しかし、幾多の宝物が残されていましたのに、それを全て破壊し尽くすとは……」
セバスは少し残念そうだったが、王宮だけで済んで本当に良かったと思う。
王都にはほとんど被害がなかった。
お兄様も少しは考えてくれたみたいだ。
「少し力が弱かったか?」
でも、お兄様は頭を降ってくれているんだけど……わざと力を弱めてやってくれたんじゃないの?
やはりお兄様には手加減という言葉は難しいみたいだった。
王都を壊滅から救ったのはたまたまだったみたいだ。
私ががっくりしていると瓦礫と化した王宮の一部が動き出した。
「まだ、生きていたのか?」
お兄様が剣を片手に駆け出した。
そして、お兄様が剣をその動く先に振り下ろそうとした時だ。
「オーガスト様!」
立上がったその灰色の化け物が声を出したのよ。
「何なの? あれは?」
でもあの声はどこかで聞いた気がした。
「貴様は何者だ?」
「ひどいですわ。聖女メリンダです」
そう言うと灰色の化け物はお兄様を見上げた。
良く見るとそれは、女のようだった。
ちょっと待って! メリンダって、あの偽淫乱聖女だ!
「えっ! お兄様がまた、魅了にかけられる!」
私は慌てて、お兄様に駆け寄ろうとした。
「アデライン様、危険です」
ドラちゃんが止めてくれたんだけど、お兄様がまた魅了にかけられたら、どうするのよ!
絶対にお兄様を再び魅了させられるわけには行かない。
したら私達は終わりだ。
「大丈夫ですよ。オーガスト様をお信じください」
ドラちゃんは冷静にそう言ってくれるたけれど、お兄様は一度魅了にかかっているんだから!
「何をふざけた事を言うのだ。聖女は我が愛しの婚約者アデライン様だ」
お兄様が皆の前で宣言してくれたんだけど……いつの間にか私が婚約者になっているし……
「何をおっしゃっているの? アデラインは『お米の聖女』でしょ。そんなのがいるかどうか判らないけれど、辺境の地に追放された悪役令嬢じゃない!」
「ふん、アデライン様はこの凶作の時に米を大切に育てられたのだ。あの姿こそ聖女にふさわしい。自らの欲望の事しか考えない灰色お化けの貴様とは違うぞ」
お兄様がメリンダに反論してくれた。
「何をおっしゃっているのです、オーガス様。アデラインのことなどもうよろしいですわ。それよりも早く私の胸に帰って来るのです」
そう言うとあろうことか淫乱エセ聖女はお兄様に自分の大きな胸を押しつけようとしたのよ。
一瞬のことに私は何も出来なかった。
私は再びお兄様がメリンダの魅了にかかる未来しか見えなかった。
しかし、だ! お兄様はその淫乱聖女の胸をさっと躱してくれたのよ。
「きゃっ!」
メリンダは体勢を崩して顔から地面に激突していた。
「酷い、酷いわ、オーガスト様」
鼻血を出した聖女は泣き真似をしてくれた。
「ふんっ、そのような灰色お化けに泣かれてもなんともないぞ」
お兄様は容赦がなかった。
「何ですって!」
そう叫びながらメリンダは再度お兄様に抱きつこうとした。
「ええい、寄るな汚らしい」
石材の破片で灰色に染まった淫乱聖女をお兄様は振り払ってくれた。
「きゃーーーー」
聖女は地面に激突してくれた。
聖女は昔の私のように顔中血まみれになって倒れ込んでいた。
「オーガスト、貴様聖女メリンダに何と言う事をするのだ!」
その後ろから灰まみれのエドワードが現れた。
「これはこれはエドワード、よくもこの前は我が愛しのアインを血まみれにしてくれたな」
お兄様がニコリと笑ってくれた。
「な、何だと」
エドワードが血の気の失せた顔でお兄様を見た。
「歯を食いしばれ!」
お兄様はそう叫ぶとエドワードの顔を思いっきり殴ってくれた。
「ギャッ」
お兄様の鉄拳を顔に受けたのだ。
エドワードは顔面血まみれになって聖女の元に飛んでいった。
鼻の骨も折れたと思う。
死んだようには見えないのでお兄様も手加減はしたんだろう。
「オーガスト、貴様、殿下に逆らうのか?」
「こちらには陛下もいらっしゃるのだ。不敬罪だぞ!」
殿下に駆け寄ったビリーとブラッドがお兄様を睨み付けていた。
「何をいうやら、王家の正当な後継者はあちらにいらっしゃるアデライン様だ。前皇太子殿下を罠に嵌めて殺害した罪で偽王ウイリアムの一統を拘束しろ」
お兄様は配下の騎士達に命じていた。
「な、何をする、余は国王ぞ」
「儂は大司祭だぞ」
現れた国王と大司祭達をダンブリーズ騎士団の面々があっという間に拘束して牢に連れて行った。
「アイン、お前の仇は取ってやったぞ」
お兄様が私の元に駆け寄ってくれて微笑んでくれた。
「ありがとう、お兄様」
私はお兄様にお礼を言った。
お兄様が淫乱聖女に魅了されなくて本当に良かった。
私はほっとしたのだ。
そんな時だ。お兄様がまたいきなり私の足下に跪いてくれた。
「アデライン・グレナン様。私、オーガスト・ダンブリーズは一生涯あなた様の盾となりあなた様に降りかかる苦難を全て振り払うと誓います。どうか私を貴方の夫にしてください」
そう言って手を差し伸べてくれたのだ。
皆の前で……
その前もやったのに、またやるの?
周りの皆も生暖かい視線でこちらを見てくれるんだけど……
こんな状態で嫌なんて言えないじゃない!
「はい」
私は再びお兄様の手を取るしかなかった。
「ウォーーーー」
お兄様は私を抱きしめるとキスしてくれたんだけど……
「「「ウォーーーーー」」」
大歓声が沸き起こった。
騎士や兵士、貴族達が私達を祝福してくれた。
私は舌を絡められて息も出来なくなった私はそれどころでなくて、気絶寸前になるまで離してもらえなかったんだけど……
これがダンブリーズ王国の建国記だ。
その後私とお兄様はなんやかんやあったが結婚した。
してくれないと公開プロポーズを何回もやると言われて私も頷くしかなかったのよ。
お兄様を夫にするなんて変な感じがしたけれど、王族の婚姻なんて自分の意志は関係無いのよ。
まあ、お兄様はいつも私を守ってくれたから裏切ってくれたエドワードに比べたら余程信頼できたし、昔から一緒にいるからそのせいかくもよく判っていたし、安心出来たし……
夜はいろんな意味で本当に大変だったけれど、愛されているのはいやほど判ったわ。
お兄様との間には3男2女の子供が生まれてとても賑やかな王家になるのはこの後の話だけど……
私は本当に幸せだった。
おしまい
ここまで読んで頂いてありがとうございました
ブックマーク、広告の下の評価☆☆☆☆☆を★★★★★して頂けたら嬉しいです(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾
この後閑話等ぼちぼちあげていくのでよろしくお願いします








