王宮に攻め込もうとした時、巨大な暗黒竜が現れました
「皆の者。現王家の正当な後継者であるアデライン様と最強騎士でダンブリーズ公爵に就任されたオーガスト様の婚約がここに成立した」
セバスが大声で一同に報告してくれた。
「「「おおおお!」」」
皆の歓声が上がった。
私はお兄様に抱き上げられて、ただ見ているしか出来なかった。
「皆の者に更に報告がある。
王家の陰を捕まえたところ、現国王ウィリアムは、あろうことか正当な後継者であった前皇太子殿下を冤罪にて収監、暗殺したことが判明した。
冤罪という事は前皇太子殿下が正統な後継者であり、現国王ウィリアムは偽りの後継者という事になる。偽王だ。
その事実が明らかになると不味いと思った偽王ウィリアムは、正当な後継者のお子様であるアデライン様を亡き者にしようと王家の陰を大量に送り込んできた。
その陰を全て始末されたのはオーガスト様だ。
正当な王族に対して剣を向けた偽王ウィリアムは、その一つを取っても反逆罪が適用されるはずだ」
セバスは言葉を止めて全員を見渡した。
「そうですか。偽王ウィリアムは反逆者なのですな」
グレンバー子爵が大声で叫んでくれた。
「なるほど」
「偽王ウイリアムはどうしようもありませんな」
皆口々に言いだしてくれたんだけど……
それで良いのかと思いつつ、私は皆の言う事をふむふむと聞いていた。
「なお、王家の陰を捕らえると、オーガス様のお父上の前ダンブリーズ公爵を、偽の国王ウィリアムと教会が組んで暗殺したことが判明した」
セバスの後にバージルが諸侯に話し出した。
「何と国王は教会と組んで暗黒竜を我が領地に派遣したというのだ。
悪魔の使いと言われる暗黒竜をだ。
すなわち、教会は地獄の悪魔と契約を結んでいるらしい。
そんな教会が許されて良いのか?」
「悪魔と契約を結んでいる教会などもう信じられませんな」
またまたグレンバー子爵が頷いてくれた。
「さすがにそれは良くないでしょう」
皆口々に頷いてくれた。
「教会が悪辣卑劣なことをしているのは、この地に教会から派遣された淫乱偽聖女が作物を勝手に植え替えて、甚大な被害をもたらしただけでなく、大雨を降らせて洪水まで起こしたことは皆の知っている通りだ。
それにあろうことか摂政のエドワードとその婚約者の聖女は、国民を哀れまれた『お米の聖女』アデライン様が作られた米を、自分たちが食べる豚の飼料にするために接収しようと企んでいるのだ。
奴らは人の命をなんとも思っていない悪魔だ。
今こそ、悪魔を叩き潰し、オーガスト様とアデライン様が作られる新しい国をここに押し立てようではないか」
「「「おおおおお!」」」
皆頷いていたが、それって完全に反逆だと思うんだけど……
でも私が口出せる雰囲気ではなかった。
ダンブリーズの騎士達の声が大きすぎると思うんだけど、その声に完全に周りが飲みこまれたみたいだった。セバスとバージルとお兄様がグレンバー子爵達と仕組んだことだと思う。
「オーガスト様、一言お願いします」
セバスがお兄様に言葉を向けた。
「今バージルとセバスの言ったとおりだ。王家は何をトチ狂ったのか、アデライン様が飢饉が起こった皆を助けるために作られた米を、自分らの豚の餌にしようとしている。このようなことが許されるのか」
「「「否!」」」
皆が一斉に拒否した。一番大きな声を発しているのはダンブリーズ騎士団の面々だ。
「王家が勝てば多くのものが餓死するだろう。それが許されるのか?」
「「「否!」」」
「我々が負ければ君たちの愛する家族が王家の奴隷としてこき使われるだろう。そのようなことが許されるのか」
「「「否!」」」
最後は皆がのりのりで大声で否定していた。
「よし、今こそ、王家に対して我ら民衆の力を見せつける時だ。全軍直ちに王宮に進軍せよ」
「「「「おおおお!」」」」
諸侯達は大声で賛成していた。
直ちに各諸侯は会議室から出て行くと各軍の駐屯地に向かった。
そして、この日、王宮に向けて近隣諸侯が領地に帰ると同時に進軍を始めたのよ。
王都までの道には障害は何もなかった。
各地から味方の軍が雲霞の如く現れた。
王家の軍はこちらの軍を見ると慌てて逃げ出す始末だった。
そして、一週間後には王都近郊の草原に軍勢は溢れかえったのよ。
「ジル、直ちに王家に降伏勧告の使者として向かってくれ」
お兄様が村長に指示した。
「私が参るのですか?」
ジルは少し躊躇した。
「ウィリアムも貴様が行けば真相を理解するだろう」
「そうです。ジル。何かされても不死身の貴方なら大丈夫です」
お兄様に続いてセバスも太鼓判を押していたんだけど……
「判りました」
渋々ジルは王宮に出かけていった。
しかし、翌日になってもジルは戻って来なかった。
「やむを得ん。総攻撃をするか」
戦闘狂のお兄様が言い出した。
「お兄様。今一度降伏勧告は出来ないの?」
私が尋ねると
「一度してやったぞ。それで降伏しない奴らが悪かろう」
お兄様はもう攻撃する気満々だった。
「しかし、オーガスト様、もう一度くらい降伏勧告しても宜しいのでは?」
セバスが言い出してくれた。
「ギャオーーーー!」
その時だ。王宮から咆哮が聞こえてきた。
「何事だ?」
皆が王宮を見た時だ。
王宮からゆっくりと真っ黒な巨体を震わせて暗黒竜が顔を出したのだった。
それを見た騎士達は皆息を飲んだ。
ここまで読んで頂いてありがとうございます
続きは電波状況の悪い所に行きますので少し不定期になります。
お許しください。
完結まであと少しです








