自分の出自について知らされていなかったことにショックを受けていたら、村長が展望台に案内してくれることになりました
お兄様が出陣した。
大半の騎士達を連れて、華々しく出て行った。
米は沢山収穫できたので、村の人達が輸送の人足として沢山の量を運ぶのについて行ってくれた。
1万の兵力が3ヶ月間は過ごせるだけの米の量があるはずだ。
それが足りなくなったら輸送すべく、その準備も粛々と計画していった。
この最果ての地にはダンブリーズ騎士団の第10大隊のホルスの隊だけが残った。
あと、ドラちゃんの部隊の一部と公爵家の陰が、私を守ってくれていた。
出陣にあたってお兄様が、
「帰ってきたらアインに言うことがある」
って思わせ振りに発言していたけれど、なんだろう?
私は怒られるようなことはしていないと思う。
帰ってきたら私を褒めてくれるという事だろうか?
でも、まだ褒められるようなことは何もしていないのに?
「何の事だと思う?」
私がセイラに聞いたら、
「それはオーガスト様が帰ってきてから直接聞いてください」
と答えてくれなかったし……
「ホルス、判る?」
「アデライン様、勘弁して下さい。俺が言うとオーガスト様に殺される未来しか見えません」
ホルスに尋ねたら、答えるのを拒否されたんどけど……
そこまで言われると本当に気になるんだけど……
誰も教えてくれないし……
「うーん、何のことだろう?」
「それはきっとお兄ちゃんがお姉ちゃんにプロポーズしたいって事じゃない?」
私が悩んでいるとたまたまそこに居合わせたメイが爆弾発言をしてくれた。
私の周りの面々は固まってくれた。
何故固まる?
「何言っているのよ。メイちゃん。兄妹は結婚できないのよ」
私は真面目にメイに指摘していた。
「えっ、お兄ちゃんとお姉ちゃんは実際は血が繋がっていないってきいたけど……」
「そんな訳ないでしょう」
メイの言葉に私が否定したら
「ええええ! 村の人達も噂していたよ。お兄ちゃんとお姉ちゃんはお似合いの夫婦になるって」
「ちょっとセイラ、メイちゃんの誤解解いてよ」
私がセイラに言うと
「えっ、それはその……」
セイラが私に返す言葉に詰まってくれたんだけど……
何で?
「いや、メイ、もう話すのは止めなさい」
メイのお母さんが周りの反応を見て慌ててメイを止めようとしてくれたけれど、
「だって騎士の人達もお兄ちゃんとお姉ちゃんは結婚するのは確実だって話していたよ」
メイのお母さんの制止を振り払ってメイははっきりと私に断言してくれた。
「どういう事なの?」
私はセイラを見た。
「メイ、いらっしゃい」
「えっ、でも」
「良いからいらっしゃい」
メイちゃんのお母さんがメイちゃんの手を強引に引いて去って行った。
「だから、オーガスト様にはちゃんとアデライン様に話しておいた方が良いと言いましたのに」
なんかセイラがブツブツ呟きだしてくれたんだけど……
「セイラ、ちゃんと話して。私その話聞いたことないんだけど」
私がセイラを見て促すと、
「いや、私の口からはなんとも」
「セイラ!」
私がむっとしてセイラを睨むと、
「私がですか……でも、この事を内密にするというのは亡き公爵様が決められたことですから私の一存ではなんとも」
セイラはとても話しづらそうに首を振ってくれた。
なるほどそれがお兄様が私に話したいことか!
「判ったわ」
私はそう言うと皆を置いて歩き出した。
「アデライン様」
「ほっておいて、少し一人で考えたいから」
そう言うと私は皆を置いて一人で闇雲に歩き出した。
「ちょっとアデライン様」
セイラの私を呼ぶ声を無視して私は歩いた。
後ろから突いてくる気配を感じたが、取りあえず無視した。
どういうことなんだろう?
私がお父様とお母様の血を引いていない?
今までそんな事は考えたこともなかった。
小さい時から私の傍にはいつもお兄様がいたし、お兄様と血が繋がっていないなんて考えたこともなかった。
お兄様は私の面倒をよく見てくれたし、どこにも私を連れて行ってくれた。
まあ、メリンダに魅了された時は私から離れたけれど、その時だけだった。
私とお兄様が血が繋がっていないからお兄様は私を見捨てて魅了されたんだろうか?
他の時はどこでもお兄様が傍にいてくれたんだけど……
まあ、そのせいでダンジョン一つを破壊し尽くしてくれたが……
私とお兄様が血が繋がっていないなんて想像だにしたことはなかった。
最近お兄様がよく私にキスしてくれたんだけど、それは私とお兄様が血が繋がっていなかったからなの?
だったらお兄様は完全にセクハラじゃん!
私は真っ赤になった。
そもそもそんな大切な話を何故メイが知って私が知っていないの?
私はそれが信じられなかった。
「どうされたのですかな。領主様」
私は村長のジルに声をかけられてはっとした。
「村長!」
「申し訳ありません。御領主様がとても悩んでいらっしゃるようにみえたので、思わず声をかけてしまいました。ご迷惑でしたか」
村長が尋ねてきた。
「ううん。少し悩むことがあって」
私が首を振ると
「御領主様もですか?」
目を見開いて村長が私を見てくれるんだけど、
「こう見えても私にも悩むことはあるわよ」
「申し訳ありません。御領主様はよく出来たお兄様と使用人の方々に囲まれておられて、悩み事などないように見えましたもので」
村長は謝ってくんれたが、それは部下が優秀だから、本人が馬鹿でも領内が回ると言いたいんだろうかとひねくれた考えをしてしまった。
むっとした私を見て、村長が少し笑ってくれた。
「私も悩むことが良くあります」
村長が一人で話し出した。
「そんな時に行くところがあるのです。見晴らしがとても良いのですが、よろしければご案内しましょうか?」
私は村長の言葉に頷いていた。








