王家の逆賊になったので兵を起こすことにしました
その日も領主達から面会以来があって、会っていた。
距離的にドンドン遠くの領主達が来るようになったんだけど……
「オーガスト様。緊急でグレンバー子爵が面会を求めていますが……」
一人の子爵の挨拶が終わった後にセバスが入ってきてお兄様に告げていた。
「グレンバー子爵がか?」
「はい。とても慌てふためいておられました」
「そうか、ではすぐに会おう」
鷹揚にお兄様が決めてくれた。
その目が何か笑っているんだけど、何で?
それに、本来はそういう事は領主の私が判断するはずなのに、今私はお兄様の言うなりだ。
まあ、元々私がこの地位に就けたのは、お兄様がこの地の領主の地位をエドワードから無理矢理分捕ってくれたからだけど……
でもそんなちっぽけな不満はグレンバー子爵が一瞬で吹っ飛ばしてくれた。
「た、大変にございます」
息をゼイゼイ言わせながらグレンバー子爵は入ってきた。
馬車を結構飛ばしてやってきたらしい。
「どうしたのだ。子爵。そのように慌てて」
「王家からこのような書状が届いたのです」
封を開けた封書を子爵がお兄様に差し出した。
「なるほど。王家はついに血迷ったようだな」
お兄様はその書状を見て眉を顰めた。
「どうされたのですか?」
私の代わりにセバスが尋ねてくれた。
私はこういう席ではできる限り黙って座っているようにお兄様からは言われていたのよ。
対処は自分がするからと言われていたんだけど……私も色々しゃべりたいのに!
お前が話すと色々不味いからなとお兄様が笑ってくれたんだけど……子供じゃ無いのに!
「まあまあ、『お米の聖女様』はニコニコ皆の前で笑っておかれれば皆は安心します」
セバスにそう言われて説得されたんだけど、それって単なる馬鹿じゃないの?
馬鹿に話さすとややこしくなるから黙らせる時の常套手段だと思う。
そう膨れて文句を言ったら
「いやあ、アデライン様も色々とお考えられるようになったのですね」
そう褒めてくれたけれど、絶対に馬鹿にしている!
「王家が我が家が反逆したと騒いでいるのだ」
お兄様が平然と教えてくれたんだけど
「は、反逆?」
私は青くなった。
「お兄様が王命の封書を読まずに燃やしたからじゃない。陛下もさすがに切れられたのよ」
思わず私はお兄様を睨み付けた。
「しっ、アデライン、声がデカいぞ」
「そ、そのようなことをなされたのですか?」
目を見開いてグレンバー子爵はお兄様を見つめてくれたんだけど……
「グレンバー子爵。我が公爵家はここ数百年。王家のためにただひたすら働いてきた。そこはその方もよく知っていよう」
お兄様は子爵に噛んで含めるように説明を始めた。
「はい。それはもう」
何しろ我が公爵家のダンブリーズ騎士団は建国の時は元より、建国後も周辺国との国境争いや帝国の侵略にも先陣をきって戦ってきた。そして一度として国境を破られたことなどなかったのだ。
グレナン王国にダンブリーズ騎士団ある限り負けはないと教科書にも載っているくらいだ。
「今回は我が公爵家の秘宝、アデラインをどうしてもエドワードの婚約者にしたいと王家から度重なる要請があって仕方なしにエドワードの婚約者にしたのだ。
なのにだ。あのピンク頭の淫乱聖女が出て来た途端にエドワードはアデラインという婚約者がいるにもかかわらず、アデラインを蔑ろにし、あまつさえ、冤罪をでっち上げてアデラインを亡き者にしようとしたのだ。そのようなことが貴公の娘にされたら貴公は許せるのか?」
「いえ、それは怒りまする」
お兄様の言葉に押されたのか子爵は思わず頷いていた。
「今回も王家のやりようは酷い物があった。本来米に税金はかかるか?」
「いえ、米には」
「最初の言い様は米を半分税に寄越せだぞ。あり得るか?」
「それはないでしょう」
お兄様の質問にグレンバー子爵は首を振った。
「挙げ句の果てにはその米を寄越せだ。『米の聖女』のアデラインが中心となって大切に育てた食料を寄越せだ。それも奴らは豚の餌にするためだぞ。そのようなことが許されるのか?」
「許されませんな」
「そうだ。俺はせめてアデラインに酷い事をしたことを謝りに来いと王子に要請したのだ。何か間違っているか?」
「いえいえ、悪いことをしたら謝るのが当然の事ですな」
いやいや、あの傲慢なエドワードなんかが謝りに来る訳無いじゃない!
絶対に謝りに来ないと知ってお兄様は言ったんだと思う。
「そうだ。その挙げ句の果てに謝りに来るのが嫌で逆賊にするだと。そのような事が許されるのか?」
「許されませんな」
グレンバー子爵がお兄様の論法に頷いているんだけど……
「その方は米を飢えた民に与えるのと家畜の餌にする王家とどちらの味方につくのだ」
「我が家は飢えた民をオーガスト様に助けられました」
「アデラインにであろう」
「さようでございました。アデライン様でございます」
いやいや、どう考えても手を引いているのはお兄様よね。
私は反論しようとしたけれどお兄様に睨み付けられて黙らされた。
「グレンバー子爵は当然アデライン様に忠誠を誓いまする」
グレンバー子爵は私の前に跪いてくれたんだけど。
良いのか? こちらは反逆者になっているんだけどこちらについて……
私の疑問は誰にも届かなかった。
お兄様が全領主に送った飢饉の原因の王家を正すから集まられよという書面に多くの領主が集まってきたのよ。








