聖女視点 嵐を呼んでアデラインの田んぼを洪水で押し流そうと考えました
「どいつもこいつも一体何なのよ!」
私は一人になるとぶち切れていた。
グレナン川沿いの土地を最初田んぼにする計画は上手くいくはずだったのよ。
でも、稲を育てるのがあんなに水を使うことになるなんて思ってもいなかったのよ。
種籾を蒔いて、芽が出て来たのは良いんだけど、田植えをしようという段階になって、グレナン川の水が減ってきたのよ。
それを見て周辺の農民達が小麦の作付けが出来ないと言って文句を言って来たのよ!
特にジェイコブがその最先鋒だった。
「どういう事なのですか?エドワード様。今農民達はこれから種まきで水を使うのです。なのに、その家畜の餌の米に水を取られて、種まきもままならないそうでは無いですか? 貴方達は飢饉を人工的に引き起こすおつもりですか?」
本当に生意気だった。
私の長雨で飢饉が来るという話には、「そういう事はまず雨を降らしてから言ってほしいですな」
全く信用していない風だった。
でも、水を回されなくなってせっかく植えた稲も水が少なくなってきて枯れ始めたのよ。
一体どうしてくれるのよ!
森の開墾も周りの農家の人間を徴発して行おうとしたんだけど、「エドワード様。今農民達は種まきで一番忙しい時なのです。そんな時に農民を徴発するなんてどういう事ですか?」
けんもほろろの対応だったのよ。
仕方が無いから、高い賃金で集まった農民だけでは足りなかったから、近衞騎士達も動員したのよ。
でも、騎士達もブツブツ文句を言い出す始末だった。
そのうえ、せっかく出来た開墾地も、こちらは池の水を使って水田にしようとしたら、あっという間にその池が干し上がってしまったのよ。
本当にもう踏んだり蹴ったりだったわ。
何でこんなに上手くいかないんだろう?
それもこれもあの悪役令嬢アデラインを始末できなかったからだ。
そんな時だ。
私はその日も現地の農民達と一緒に稲を育てて疲れて帰ってきた。
そこにまたしてもジェイコブが現れたのよ。
「エドワード様。どうされるのですか? エドワード様たちの言うように一部を米とか言うものに植え替えましたが、全く上手くいっておりませんが……」
「いや、それは神の啓示があってだな」
「啓示はどうでも良いのです。私が話しているのは現実です」
「貴方、神の啓示を信じないの?」
私が睨み付けたら
「聖女様。私はそれよりも今の天気の話をしているのです。このまま雨が降らなかったら、どうされるのです? 貴方が持ち込まれたお米ですか? それで無くても水が少ないのに、更に大量の水を消費されて、なおかつ大半が枯れかけているとか。挙げ句の果てには小麦の作付面積を減らさざるを得なかったのですぞ。この責任をどう取られるのですか?」
この生意気な役人は暗に私に責任を取れと言ってきた。
「雨は必ず降るわ。そもそも稲が枯れかけなのは貴方が十分な水をこちらに寄越さないからでしょう」
「そもそも寄越す水が無いのです。この水不足の中、最大限の譲歩はさせていただきましたよ。あれでも水を回させていた方なのです」
私とジェイコブの意見が交わるところは無かった。
「聖女様。貴方が追放されたアデライン様のことですが?」
ジェイコブが何故かアデラインの話題を出してきた。
「そのアデラインがどうかしたの?」
王家の陰が失敗続きなので、私は少し前に教会に始末するのに協力を依頼したのよ。
その結果はまだ聞いていない。
教会は水竜を飼っていて、それを最果ての地に派遣すると言ってくれたのよ。
そろそろ処分できたんだろうか?
でも報告に時間がかかりすぎているような気がするんだけど……
「何でも『お米の聖女様』として最果ての地の住民達から慕われているそうですよ」
「あのアデラインが、農民達に慕われるとは信じられんが」
エドワード様が首を振ってくれた。
「それよりもその『お米の聖女』って何なの?」
私には聖女というのがよく判らなかった。
「そうだ。ジェイコブ。聖女はここにいるメリンダだぞ。その名前を使うとは詐称ではないか! それならば早速罪を問わねばなるまい」
エドワード様は憤ってくれた。
「アデライン様が聖女と名乗られたかどうかは判りませんが、アデライン様は農民達を集めて最果ての地で大地を開墾して米をつくっておられるのだとか」
「何だと!」
あの高慢ちきなアデラインがお米を栽培しているですって?
「あり得ないわ!」
私は首を振った。
「まあ、信じる信じないは勝手です。そこでの行いが『お米の聖女様』と住民達から言われるようになったとか。米は元々暑い地方の食物だとか。その点南に位置する最果ての地は最適の栽培の地ではありませんか?」
ジェイコブは嫌みたらしく私をみてくれた。
私も最初は最果ての地で育てるつもりだったのよ。
でも、遠すぎるのと、こんなに沢山の水を稲が消費するのは知らなかったのよ。
そういう面では確かに失敗したのかもしれない。
「聖女様も米を栽培されるのならば、最果ての地でされればよろしかったものを」
嫌みの捨て台詞を吐いてジェイコブは去って行った。
「どうするのですか? 聖女様。このままでは不味いですが」
ジェイコブが去った後で、ビリーが尋ねてきた。
本当にこいつは嫌だ。
「雨が降れば良いんでしょう?」
「それはそうですが……」
「この地の聖堂で私が神に祈るわ」
私は決心した。
「いいのか、メリンダ。これからほっておいても長雨になるのでは無いのか?」
「しかたがないでしょう。このままでは埒があかないのだから」
私はエドワード様の言葉に首を振った。
後のことなんて知ったことでは無い。
どいつもこいつも雨が降らないというのならば降らせてやるまでよ。
私のせいで収穫量が減ったと言われるのは癪だった。
この旧都のニュートンの大聖堂には王都の大聖堂と同じで、天気の間があったはずだ。
そこで祈祷して全土に雨が降るように祈ろう。
そうすれば水不足の中で雨を降らせた聖女様として私は皆に喜ばれるだろう。
それがどういう結果をもたらしても期待したものが悪いのだ。
ついでに最果ての地にも嵐を呼んでやるわ。アデラインの作った水田が全て洪水によって流されるようにしてやるわ。聖女を語るエセ聖女のアデラインには鉄槌を下してやるわ。
聖女の悪巧み炸裂です。
聖女のせいで水竜が現れて水田を破壊しました。
次は嵐を呼んでがアデラインのせっかく作った広大な田んぼの稲を押し流そうと画策します。
果たして嵐にお兄様とアデラインは対抗できるのか?
お兄様とアデラインを応援したいと思われる方はブックマーク、広告の下の評価☆☆☆☆☆を★★★★★して頂けたら嬉しいです(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾








