聖女視点 水不足の中で川沿いの地域に水田を作るとともに森林を切り開いて新田を開発することにしました
私はエドワード様と宰相の息子のビリー、ランガム大司祭の息子のブラッドの3人と近衛騎士団に守られてグレナン川流域にやってきた。
近衛騎士団は私と大司教の息子のランガムが大司教の働きかけて、神からの啓示を大げさに国王陛下に伝えることによって、派遣の許可が下りた。
お米を作るために森を切り開き、飢饉に苦しむ平民達をお米を作って助けるのよ。
なんて立派な聖女なんでしょう。
もっとも名声を博するためだけなんだけど……そして、飢饉に苦しむ国民を助けて悪役令嬢のアデラインを今度こそ断罪してやるんだから。
せっかく断罪するために、エイブラムを最果ての地に派遣したのに、その後うんともすんとも言ってこないからエイブラムは怒り狂ってたオーガストに処刑されたのかもしれないわ。
まあ、エイブラムが処刑されても何も困らないけれど……
ただ、あの生意気なアデラインがのほほんと生きていると思うと許せなかった。
私達はそのグレナン流域の領都ニュートンを拠点にすることにした。
ニュートンは昔王都があったところで、人口も10万人を数える大都市だった。
そこには王家の離宮があったので、そこを活動拠点にすることにしたのよ。
そこには白亜のこじんまりしたお城が聳え立っていた。
「うわー、エドワード様、この離宮、お城みたいです」
「まあ、昔の王宮だからね」
エドワード様は謙遜して言ってくれたけど、さすが王家だ。
王宮以外にもお城があるなんて。
それにこのお城と手も可愛い。
ディズニーのシンデレラ城みたいだ。
シンデレラ城は住めないけれどこのお城はこれからしばらく私が住めるのよ!
攻略するのをエドワード様にして良かった!
私は心底感動した。
「そんなに気に入ったのか」
「はい。私、エドワード様の婚約者になれて良かったです」
「そうか、そんなに気に入ったのなら、後でこの城を案内しよう」
「本当ですか? ありがとうございます」
私が城の案内を楽しみにしていたのに、その城に入った途端に、エドワード様と私ははジェイコブとか言う代官に捕まってしまった。
「ジェイコブ。仕事の話は明日からで良いのではないか」
エドワード様が暗に疲れたから仕事の話は明日にしろって言って頂けたのに、
「何をおっしゃるのですか? 小麦の栽培を止めて米とかいう家畜の餌を栽培しろなんてとんでもない命令を下されて、どういうおつもりですか」
いきなりジェイコブはエドワード様に食ってかかってきた。
「ジェイコブ、貴様は聖女メリンダが受けた神の啓示を信じないのか」
エドワード様がむっとしてジェイコブを睨み付けた。
「長雨になるから小麦の栽培を中止して米を育てろというお話しですよね」
エドワード様のとげのある言葉にもめげずにジェイコブは確認してきた。
「それだけでは全く足りません。殿下、政はお遊びではないのですぞ」
「遊びとは何だ」
「そうよ、貴方は神の言うことを聞かないの」
「いきなり神様が長雨になるから今年の小麦の栽培を止めて家畜の餌を育てるようにと言われても、どう信じろというのですか?」
ジェイコブは私達の言葉に全く動じずに反論してきたんだけど……
こいつは不敬という言葉を知らないの?
「少なくとも今は水不足でして各地から雨ごいの祈祷の依頼が来ています。それは教会もご存じのはずですが」
「しかし、各地で雨が降り出したと報告が上がっているだろう」
「神はこれからどんどん雨が降り出すと私に予言されたのです」
「しかし、この水不足の時に、畑に水を張って水田にするなど、狂気の沙汰です。その水はどこにあるのですか? 聖女様が水を出してもらえるのですか?」
馬鹿にしたようなジェイコブの様子に私は切れてしまったが、
「水が無いのか?」
「はい。小麦を蒔くのも苦労するほど水がありません」
エドワード様の質問にはっきりとジェイコブは答えてくれたんだけど……
「気にしなくてもすぐに雨は降り出すわよ」
「そういう冗談は雨が降り出してから言って下さい」
ジェイコブは一顧だにしてくれなかった……
水がない限り米を植えるのは無理だと言いたいだけ言い尽くすとジェイコブは帰っていった。
「何なのよ、あいつは!」
さすがの温厚な私も切れてしまった。
「どうしますか、エドワード様?」
「どうするもこうするも無いだろう。水が無ければどうしようもあるまい」
「そんな、エドワード様。エドワード様は神の啓示を信じられないとおっしゃるのですか?」
私がエドワード様を白い目で見た。
「いや、メリンダ。そうは申していない。ただ、今なの水不足の状態では水田を作ろうにも作れないではないか」
「水は無ければ川から引けば良いんじゃ無いですか!」
私が良い案を提案した。
「それはそうだが……」
「ここで何もしなければ飢饉になって大量の死者が出るんですよ、エドワード様。せっかく神様から事前に教えて頂いているのに、それを信じなければ二度と神は我らを見てくれませんよ」
私はそう言うとエドワード様を促した。
「それは困るが……」
「どうでしょうか? 川沿いの地域だけでも、始めてみれば良いのではありませんか? それで上手くいけば全体に広げるということで」
ブラッドが折衷案を出してくれた。
「そうだな。そうするか?」
「あと、森林地域の開墾を始めましょう。すぐにやらないと、そちらも間に合いませんから」
珍しくビリーも改善案を出してくれた。
開墾するのは時間がかかる。
私達は良案を早速実行に移そうとした。
でも、川沿いの畑を水田にすることも、森林を切り開いて水田を作ることも私の想像以上に時間がかかる事をこの時私は知らなかったのよ。
ここまで読んで頂いてありがとうございます
経験がゲームでしか無い聖女が果たしてうまく出来るのか?
お楽しみに!








