お兄様視点 愛妹に無理をさせて倒れさせてしまいました
この最果ての地に来た時に、アインは何故か米を育てたいと言い出した。
米か!
俺達日本人のソウルフードだ。
昔を思い出して食べたくなったんだろうか?
前世の愛韻は小食だったが、今世のアインはよく食べた。
前世は病弱で満たせなかった食欲を今世は満たしたいのかもしれない。
それに前世我が家は兼業農家で、小さいが一反の田んぼを持っていた。
そこに毎年田起こしから苗代作り、田植え、刈り入れまで機械で無くて人の手で色々と手伝わされていたから、やり方は判っている。
当然俺は米作りについて経験者だし、よく知っていた。
俺達の手伝いをしていた愛韻がどこまで覚えているか判らないが、出来ないところは俺がフォローすれば良いだろう。
アインは農作業の準備のことは大体覚えていた。
この地に家畜の餌用に種籾が大量に仕入れられているのをよく知っていたと思う。
それを早速芽出しのために池に入れていた。
池の水は毎日変わるようにセバスが水門とかを設計していた。
さすがセバスだ。
最後に水の温度を俺の火魔術を使って少しあげれば良いだろう。
それ以外にもあっという間に20平方キロの開墾の予定地の設計図まで作り出してくれた。
これだけあれば、十分に輸出も出来るはずだ。
さすが我が公爵領のグリーノック村を昔開拓しただけのことはある。
影も測量等をあっという間にやってくれた。
水路の設計も完璧だ。
俺達はアインを先頭にして最果ての地の開拓を始めたのだ。
心配していたけれどアインは前世の記憶を結構きちんと持っているようだった。
俺はアインの足りないところを補足するだけでよかった。
でも、相も変わらず、アインは俺が聖女の大きな胸に魅了されたと言って怒っていた。
挙げ句の果てには王家の影を嵌めるためにアインを無断で人質に使ったのが悪かった。
アインは完全に怒り狂ったのだ。
「お兄様!」
「はい!」
俺は思わず気を付けした。
「お兄様はここから向こう全てを一人で田起こしするのよ! 馬なんて絶対に使ってはいけないからね」
アインが命じてくれた。
「いや、アイン、さすがにそれは……」
俺は反論しようとしたが、
「やらない限り私は二度とお兄様と口を利きませんから」
「えっ、そんな!」
「判ったわね」
アインは俺に念押ししてくれた。
やむを得まい。
「ウォーーーーー」
俺は自分で鋤を持つと馬よりも早く田起こしをし出したのだ。
強化魔術を使った俺は馬の比では無かった。
でも、さすがに2キロ四方を田起こしするのは結構疲れた。
終わった後は、田んぼの中で寝てしまったのだ。
俺は夢を見ていた。
そこには前世の世界だった。
俺が我が家の田んぼで田起こししていると
「お兄様!」
そう言って愛韻が冷たい麦茶を持って来てくれた。
「上手い」
愛韻がコップに入れて渡してくれた麦茶を飲むと冷たくてとても美味しかった。
俺は愛韻と一緒に田起こしが出来てとても良かった。
「お兄様!」
俺は揺り動かされた。
夢か!
はっとして目を覚ますとそこにはとてもきれいになった愛韻がいた。
「お兄様! 起きて! 帰るわよ」
愛韻が俺を揺すってくれていた。
俺はまだ夢見心地だった。
「おお、俺の愛韻!」
俺は可愛くなった愛韻を私をそのまま抱きしめていた。
「ちょっとお兄様!」
「アイン、とても可愛いぞ!」
俺は何故かそのまま可愛くなった愛韻の唇を奪っていたのだ。
何故そんな事をしたのかよく判らなかった。
俺は夢見心地だったのだ。
「何するのよ!」
パシーン!
俺はアインに頬を張られて目が覚めた。
書けていくアインを慌てて追いかけた。
「アイン、すまなかった。寝ぼけていて」
「聖女と間違えて、私にキスしたって言うの?」
「はああああ! 何で俺がメリンダとお前を間違える?」
アインは誤解している俺は絶対にアインの方が良いのだ。
聖女と間違う訳は無いではないか!
「すまん、つい、アインがあまりにも可愛いから抱きしめてキスしてしまったんだ」
俺の言い訳に
「そんな私のファーストキスだったのに!」
アインが変な事を言い出してくれるが、
「ファーストキスって俺のファーストキスは俺が4っつの時だぞ」
「えっ、お兄様、むちゃくちゃませていたのね? 誰としたのよ」
「何言っているんだ。その相手はアイン、お前だ!」
「えっ、私?」
アインがキョトンとしているんだがこいつは全然覚えていない。
「そうだ。お前は『私は将来お兄様のお嫁さんになるの』って言って俺のファーストキスを奪ったんだよ」
「ええええ!」
アインは忘れているみたいだが、その頃のアインはませていたのだ。
その時に散々キスされたせいで俺はアインと普通にキスできたんだと思う。
アインは認めなかったが、元々はキスしてきたアインが悪い。
俺はそれ以降も何度かアインとキスした。
妹に対する純粋なキスだと思う。
でも、何故か胸がとても熱くなったんだが……何でだろう。
確かに今世のアインは血は繋がっていないが、前世はアインは大切な妹だった。
そんな妹によこしまな考えを持つ訳は無いはずだ!
そんな妹が田植えを終えると俺様の目の前で倒れてくれた。
アインが蒔いた種籾がアインの土魔術の威力でとても早くに育ったから、俺はそれが嬉しくて、ついアインに無理させてしまったのだ。
「お兄様、もうだめ!」
精根尽きたアインが俺の腕の中に倒れ込んできた。
「おい、アイン、大丈夫か!」
俺は真っ青になった。
絶対にアインを守ると決めたのに、そのアインが冷たくなってが動かなくなったのだ。
「おい、アイン! しっかりしろ!」
俺は皆が駆けつけるまで蒼白になってアインを揺さぶり続けたのだ。
ここまで読んで頂いてありがとうございました
目の前でまたしてもアインを倒れさせたオーガストはどうする?
続きをお楽しみに!








