田植えを私一人でやりきったら、高熱を出して寝込んでしまいました
結局、セクハラまがい、いや、実の兄妹だからセクハラではないのかもしれないが、というか、実の兄妹だから近親相姦になるのか? まあ、キスだけで近親相姦になるのかどうかは判らなかったが……ムカムカした私は疲れのことなんてどこかに飛んでしまって、結局昨日の倍、4反の苗代に種籾を蒔いたのよ。
お兄様は俺様の癒やし魔術の効果だとかふざけた事を言ってくれたんだけど……
お兄様が癒し魔術を使えるなんてきいたことが無いわよ!
「次やったら絶対に許さないんだから!」
私は釘を刺しておいた。
次やったらセイラ直伝の股間キックをお見舞してやるんだから!
それに、ムカムカしていた分、蒔いた種籾から発芽した稲が爆発してくれたんだけど……爆発は言い過ぎか、大きく跳ねて育ってくれたのよ。
広がって……
本当にこんなのどうやって、田んぼに植えるのよ!
絶対にお兄様が悪い!
でも、私が「大きくあれ、丈夫になあれ!」と祈って種籾蒔いた苗代の苗なんだけど、翌日にはもっと大きくなっていて、3日目には15センチくらいに大きくなっていて、急遽田植えが出来るほどに大きく丈夫になっていたんだけど……
普通は30日から40日くらい苗代で育てるんだけど……蒔いてから3日ってどうなっているの?
「いやあ、さすが『お米の聖女様』は違いますな」
セバスが褒めてくれるんだけど……『お米の聖女』とはあまり言われたくない。
「よし、こうなったらアイン。田植えをするぞ!」
お兄様が言い出してくれたんだけど……
私が蒔いた種籾だけ早めに田植えするらしい。
苗代に使った田んぼ以外は、田植え用に今次々に代かきを始めていて、やろうと思えば出来るらしい。
田植えは苗代から大きく育った苗を苗取りして、それをマークした田んぼに田植えしていくのよ。
まず田植え班の全員が最初の苗代に集合した。
今回は合計50人位だ。
私が全部田植えできたら良いんだけど、そんなの到底無理だ。
1反は出来るってお兄様は言い張るんだけどそんなの出来るかな?
私のやる一反以外は皆が手分けして植えてくれることになった。
「ようし、苗取りだ。こうやって土の中に手を入れて、指で探るように細かく掻いて抜くと根の土が落ちて植えやすい苗となるんだ。苗を大きく掴んで抜くと根に土が絡んで植えにくい苗になるからやるなよ」
お兄様は実際にやってきたように皆に教えてくれるんだけど、本を読んだだけでそんな風に説明できるの? 絶対に変だ。でも、本当にその通りなんだけど……
私も旺雅兄ちゃんにはそういう風に説明してもらった。
「である程度の量になったら束にしてわらで軽くしばる。これを繰り返してくれ」
お兄様は全員を見た。
「判りました」
さっそく、ホレス達が始めてくれた。
お兄様が束ねた苗の束が籠一杯になると、全員をざっとみて、問題ないと判ると
「セバス、後は頼むぞ」
セバスに任せて、苗の入った籠を持って私を連れて隣の田んぼに向かった。
「ようし。アイン。この『ころがし』を使ってマークして行くから、この交点に苗を3本ずつくらいにして植えていってくれ」
お兄様が指示してくれた
お兄様が大きな「ころがし」という30センチ四方の四角が連なる長さが5メートル位ある大きな六角柱を田んぼに転がし出した。
私はその姿に既視感があった。
背の高さはお兄様の方があったけれど、旺雅兄ちゃんがやって見せてくれたのと同じだ。
まさかな……
他人のそら似だ。
私は首を振った。
田んぼの水は目一杯抜かれていて、お兄様が転がした後には30センチ四方の格子の跡がはっきりと残っていた。田植えはこの格子の交点に苗を3本ずつまとめて一緒に植えていくのよ。
普通は大人数でやるんだけど、種籾を蒔いただけなのに、私が蒔いた種籾だけが成長が早くなった。
田植えも同じことが起こるかもしれないということで、同じ田で成長の違う苗があるのは良くないので、この一反の田んぼは私が全て植えることになったのよ。
他の田んぼは皆で協力してやるのに……1反全部1人でやるってどんな罰ゲームなんだろうと思わないまでもなかったが、ここは是非とも『お米の聖女』としての私の力を皆に見せつけないと!
「お姉ちゃん頑張って!」
「ファイト!」
わざわざ『お米の聖女』を応援するために村長の孫娘のメイ達が集まって来てくれた。
「ようし、やるわよ」
子供達に応援されたらやらない訳にはいかない。
私は苗の束からまず苗を三本持つ。
「美味しいお米が出来ますように!」
祈りながら穴を指で開けて苗をさして、軽く土で埋めた。
これでいいはずだ。
「美味しいお米が出来ますように!」
ドンドン植えていく。
なかなかの重労働だ。
30分くらい経ったらもう疲れてきた。
「お兄様、駄目!」
私は畦に座り込んでいた。
「おい、アイン、まだ20分の一も出来ていないぞ」
お兄様は呆れてくれたが、無理な物は無理だ。
「お姉ちゃん頑張って!」
メイちゃんが応援してくれた。
くっそう、小さい子の前では弱音は吐けない。
私は立ち上った。
でも、本当に大変だった。
「美味しいお米が出来ますように!」
私はそう祈りながら頑張った。
最初は慣れないからか全然進まなかったけれど、お昼頃には少しはスペースが早くできるようになった。
でも、いきなり1反の田んぼの田植えをやるのは無理があったのよ。
最後の方は意識がもうろうとなりながら、最後は癒やし魔術師を横に置いて、癒やし魔術をかけてもらいながらなんとか夜までにやりあげた。
「良くやったなアイン」
「お兄様、もうだめ!」
精根尽きた私はお兄様の腕の中に倒れ込んでいたのだ。
「おい、アイン、大丈夫か!」
お兄様が大声で呼んでくれたが、私はもう動けなかった。
「おい、アイン!」
お兄様の絶叫も私にはほとんど聞こえなかった。
無理がたたったのか、私はその日から3日間高熱出して寝込んでしまったのよ!
ここまで読んで頂いてありがとうございました。
急遽田植えまで行きました。
でも、高熱を出したアインの運命は?
続きは明朝予定です








