苗代の代かき終えたら、お兄様がキスしてくれました
悶絶している伯父様をお兄様がそのまま肥料として埋めようとかめちゃくちゃ言い出したので、
「そんなの肥料にしたら、お米が不味くなるじゃない!」
そう私が言い張って、伯父様の命を助けてあげたのよ。私も大変よ!
私がセイラに自慢して言うと、
「どっちもどっちだと思いますけど」
とセイラに呆れられてしまったんだけど……
人助けにはなったんだと思うんだよね。
その後は海に流すとかまた環境破壊することをお兄様が言い出したら、
「貴方達が責任持って伯父様を元いたところに帰してあげて」
と一緒についてきた補欠の騎士達、いや違う、領地に残っていずれは世界最強のダンブリーズ騎士団に入る為に懸命に訓練している将来有望な騎士達に私が頼んであげたのよ。
「おい、アイン。元いたところだったら、やはり海だろう。俺達の人類の祖先は海から生まれたのだからな」
お兄様がそんな事を言いだしてくれたが、哺乳類の祖先は魚類だったとこの時代の人が知っているの?
まあ、ゲームの世界だから時代考証がいい加減かもしれないけれど……
海の女神様から生まれたとか言う伝説は無かったはずだ。
お兄様の知識は謎なんだけど、他人のことは言えないけれど、脳筋のお兄様が図書館からの知識を得ていたなんていうのもなんか怪しいし……
「こんな奴はここで殺した方が良いぞ」
と渋るお兄様をなんとかなだめすかして、這々の体で気絶した伯父様を送り返すことには成功した。
思わぬ邪魔が入ったけれど、その後は代掻きを再開した。
入念に何回か代掻きをする。
普通は代かきは二回に分けてやるんだけど、今回は時間が無いので一度でやった。
実際の田植えの時は二回に分けてやろうと思う。
「こんな感じかな」
お兄様が土を持ち上げてみてくれた。
土は塊は無くなっていた。
粘り気はあるがさらさら落ちる。
私も土の中に手を入れてみる。
「アデライン様」
公爵令嬢の私が土を触ろうとして驚いてセイラが止めようとするんだけど、今更だと思うんだけど……伯父様からは薄汚い農婦だと言われるし……ふんっ、食べ物を育てるのはとても大変なことなのよ。
領主が実際に作物を作ったことも無いなんて、領地を治める資格はないと思う。
まあ、今世は今まで私もやったことはなかったけれど……
前世は体弱かったけれど、旺雅兄ちゃんを手伝っていたのよ。
あまりさせてもらえなかったけれど……
我が家の田んぼは本当に小さくて、食べる分しか作っていなかったけれど……両親の方針で機械は殆ど入れていなかったのよ。これだけ小さいと機械買うなんて無駄だしリースするにも損だ。
だから私も土を実際に触ったことはあった。
その時と同じ感じだった。
「土さん、良い苗をたくさん育ててください」
思わず私はお祈りしていた。
「まあ、アデライン様ったら」
セイラの言葉に周りの者達が生暖かい目で私を見てくれたんだけど……
「よし、ここまで行けたら各自分散して苗代の代かきをしてくれ」
「「「はい!」」」
お兄様のかけ声に、皆散っていった。
伯父様のせいで少し時間が押している。
私も頑張らなくちゃ!
私はやる気満々で立ち上がったのよ。
お兄様がやってきたので、次の苗代の代かきに行こうとしたら
「アイン、あのガマガエルに余計な事を言われて大丈夫だったか?」
お兄様が聞いてきてくれた。
「えっ、全然平気よ」
私が首を振ると、
「そうか、昔はエイブラムに言われてピーピー泣いていたんだが」
お兄様が昔の事を蒸し返してくれた。
「それは昔の話よ!」
私はむっとして言い返した。
確かに今でも伯父様は苦手だけれど、役立たずと言われて泣くような年でも無い。
エドワード達にも散々言われたし……
「よく頑張ったな」
お兄様が私をぎゅっと抱きしめてくれた。
私は少し戸惑ったが、私を慰めてくれようとするお兄様に甘えることにした。
「うん」
私はぎゅっと抱き返した。
「でも、王家に逆らって良かったの?」
私はお兄様を見上げて尋ねていた。
「ふんっ、もともと俺のアインを婚約破棄したのは奴らだ」
「でも相手は王家よ」
「ふんっ、俺様がいる限り奴らが正面から攻めてくることは無かろう」
お兄様は言い切ってくれたんだけど……まあ、正面切ってお兄様に戦いを挑もうという愚か者は伯父様以外には流石にいないと思うけれど……
この前みたいに陰が襲ってくることはあるっていう事ね。
私はうんざりした。
まあ、陰相手にはドラちゃんとその眷属のドラちゃん部隊がいるけれど……
あの後、様子を探りに来た王家の陰が次々に捕まって、ドンドン数が増えているんだけど……良いんだろうか?
私がそう考えていた時だ。
チュッ
と言う音と共に私の唇に柔らかいものが当たったんだけど……
ええええ!
お兄様がまたキスしてきた!
私は真っ赤になってしまった。
「ちょっと、お兄様、何するのよ!」
私が叫ぶと、
「暴発しなかったろう。その、褒美だ」
お兄様は平然と私に言い訳したんだけど……
ちょっと、待ちなさいよ!
褒美ってなんなのよ!
私の唇はそんなに安くないんだから!
叫ぼうとしたらお兄様はスタコラ私から離れて歩き出してくれたんだけど……
一体なんなのよ!
セイラ達に生暖かい視線を受けて、私は固まっていた。
ここまで読んでありがとうございます。
続きは今夜です。
お楽しみに!








