私のファーストキスは私が3歳の時だとお兄様に指摘されてしまいました
「何するのよ!」
パシーン!
私は寝ぼけて抱きついてキスしてきたお兄様を思いっきり突き飛ばしてその頬を引っ叩いていた。
「あ、アイン!」
目を覚ましたお兄様の慌てた声が聞こえたが、私はそれどころではなかった。
慌てて駆け出した。
キス、キスされた……お兄様に!
私のファーストキスだったのに!
私は少し走った林の入り口でハアハア言って木に片手をついていた。
そう、私は婚約者だったエドワードとキスもしたことなかった。
あの淫乱聖女のメリンダのべたつき具合からからいって、絶対にメリンダはエドワードとキスしていたと思う。ゲームの中ではアデライドを追放した後にめでたしめでたしで二人でキスしている場面が最後のスチルだったけれど……
というか、あの淫乱聖女のことだから、あの二人は肉体の関係もあったかもしれないし……本当に不潔だ!
ガーン、でも、前世も含めた私のファーストキスが血の繋がったお兄様だったなんて……めちゃくちゃショックだ。
まあ前世は病弱だったから、ほとんど学校に行ったこともなかったし、近くにいた格好良い男性が旺雅兄ちゃんしかいなかったから、小さい時は旺雅兄ちゃんと結婚するとか言っていたそうだが……
今世もお兄様は背も高くて格好良かったから、私は小さい時はお兄様と結婚すると言っていたそうだ。お父様には「なんでお父様ではないんだ?」と拗ねられたが……だってお兄様は私の言うことを基本は何でも聞いてくれたし、私と一緒にいろんな所に連れ家て行ってくれたから。
もっとも、「お前もこのダンブリーズ公爵家の娘なのだから、ダンジョンにも慣れた方が良いだろう」
と言って私をダンジョンに連れて行ってくれていたけれど、今から考えたら子供達だけで行くところではなかった。まあ、お兄様は子供の頃から強かったから問題はなかったけれど……
一度ゴブリンが私を傷つけて、それでそのダンジヨンはこの世から消滅したけれど……
怒り狂ったお兄様は本当に怖かった。
まあ、護衛としては最高なんだけど……
でも、血の繋がったお兄様だし、そんなお兄様が私のファーストキスを奪ってくれるなんて最悪だ!
絶対に聖女か誰かと間違えてくれたのだ。
あの淫乱聖女、下手したらお兄様もその体で誘惑していたのかもしれない。
「アイン!」
私の後ろから私を追いかけてきたらしいお兄様が声をかけてきた。
私が無視していると
「アイン、すまなかった。寝ぼけていて」
「聖女と間違えて、私にキスしたって言うの?」
私が振り返ってお兄様を睨み付けると
「はああああ! 何で俺がメリンダとお前を間違える?」
「それは私は胸が無いし、も胸のある聖女とは間違えようがないけれど」
私はむっとして言い返すが
「はああああ! 別に胸のあるなしは関係無いだろう」
「でも、お兄様、あの聖女の胸で魅了をかけられていたじゃない! お兄様も胸が大きい方がいいんでしょ!」
「いや、それは胸はあった方が良いかもしれないが、俺は小ぶりなアインの胸も良いと思うぞ」
お兄様が何か言いだしてくれた。
「小ぶりって言わないで!」
私は真っ赤になってお兄様を睨み付けた。
「すまん、つい、アインがあまりにも可愛いから抱きしめてキスしてしまったんだ」
このお兄様、何どさくさ紛れて変な事を言い出してくれるかな。妹をそんなことで褒めても仕方がないと思う。
「そんな私のファーストキスだったのに!」
私は赤くなった顔を振って慌てて指摘すると
「ファーストキスって俺のファーストキスは俺が4っつの時だぞ」
「えっ、お兄様、むちゃくちゃませていたのね? 誰としたのよ」
驚いて私はきいていた。
4つと言えば私が3歳の時だ。その時ってほとんど私が纏わり付いていたと思うのに、誰としたんだろう?
「何言っているんだ。その相手はアイン、お前だ!」
「えっ、私?」
私はキョトンとした。
「そうだ。お前は『私は将来お兄様のお嫁さんになるの』って言って俺のファーストキスを奪ったんだよ」
「ええええ!」
私はそんな記憶が無かった。
でも、考えたら小さい頃はませていたからやっていた可能性もある。
私は少し赤くなった。
「だから俺達のファーストキスじゃないぞ」
「いや、ちょっとそんなの子供の時の事じゃない! 私覚えていないし」
「はああああ! お前俺のファーストキスを奪っておきながら覚えていないとはどういう事だ?」
お兄様がいきなり怒り出したんだけど……
「そんな小さい時のことなんて覚えている訳ないじゃない!」
「俺はお前が公爵家に来た時からずってお前のことは覚えているぞ」
「ええええ! 赤ちゃんの時の事なんて覚えている訳ないじゃない! お兄様も小さかったから覚えている訳無いでしょ?」
「えっ、赤ちゃんのことってそれは知らないが」
「じゃあ、同じじゃない!」
「いや、それは当然だろう? というかお前は知らないのか?」
「何を知らないのよ?」
「いや、知らないのならいい」
私が何か誤魔化そうとしたお兄様を問い詰めようとしたが、お兄様は誤魔化してくれたんだけど。
「何が知らないなら良いよ。私のファーストキスを奪っておきながら」
「ファーストキスってエドワードとはしなかったのかよ?」
「する訳は無いでしょう。私のキスはお兄様とだけよ」
「そうか、俺だけか」
そこからやたら機嫌の良くなったお兄様は私を抱き上げて館まで運んでくれた。
まあ、私は疲れ切っていたから楽で良かったんだけど……
ファーストキスをお兄様に奪われた件は、何故か覚えていない子供の時のキスの件もあるからおあいこにされてしまったんだけど、なんか釈然としない!
ここまで呼んで頂いて有難うございました
アインのキスの相手が全部自分だと知って喜んでいるオーガストでした……








