表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/52

王家の陰に捕まった私をドラちゃんが助けてくれたのに、怒り狂ったお兄様がそのドラちゃんを叩き斬ってくれました

 本当にお兄様は信じられない!

 私が渾身の魔術を発揮して作った畦道なのに、それを目印って何よ、目印って!


「もう絶対に許せないんだから」

 私はお兄様とは反対方向に駆け出した。


「おい、アイン、待て!」

 お兄様の声が遠くから聞こえたが、私は全く無視した。


 そのまま川を飛び越えて目の前の林の中に飛び込んだ。

 中に隠れてしまえばお兄様はすぐに探しだせないはずだ。


 でも、私はそこに先客がいるなんて思ってもいなかったのよ。


「わああああ!」

「キャッ!」

 飛び込むとそこにいた人にぶつかりそうになって、私は驚いた。


「貴方はこの地の御領主様」

 男の人が驚いて私を見た。

「貴方は?」

「私はこの村の住人でジョージと申します」

 男は私に挨拶してくれた。


「アイン! どこだ?」

 遠くから私を探すお兄様の声が聞こえた。


 ヤバい、隠れないと!

 そう簡単にお兄様を許すつもりはないわ!


「ちょっと、どこかに隠れるところがある?」

「隠れるところですか?」

 ジョージは逡巡してくれたが、

「それなら、少し行ったところに、小さいですが洞穴がありますが……」

「そこに案内して」

「判りました。こちらでございます」

 ジョージは私を連れて低い姿勢で移動してくれた。私もそれについて行く。むかつくお兄様から逃げる逃走劇に私は少しワクワクした。


 洞穴はそこから少し移動したところにあった。

「こちらにございます」

 木の根本に穴が空いていた。

 ジョージに続いて中にはいると、中は、想像したよりも広かった。


「ここなら、大丈夫ですよ。外から見つかることはないですから」

 ニタリとジョージが笑ったような気がした。

 再度見直すと普通にニコニコしているだけだった。

 私の気のせいのようだ。


「ありがとう。ところでジョージはあんなところで何をしていたの?」

 私は単純な質問をした。


「そうですな、騎士の方々が、何をしているか気になったのです。米なんて家畜の餌を大量に育てて、大規模な養豚場でも作られるのですか?」

「それは考えていないわ。お米は家畜の餌でないわ。お米を人間が食べても美味しいのよ」

「人が食べるのですか?」

 ジョージは驚いて私を見た。


「確かに食料の乏しい東洋では人間が食べている国もありますが、我が国は小麦が十分に取れますからな。米など家畜の餌を食べるのは中々難しいのでは?」

 ジョージが不審そうに私を見てくれたが、

「そんなことないわ。御釜で炊いたご飯は本当に美味しいんだから」

 私がジョージに主張した。


「ご飯?」

「炊いたお米をそう言うのよ」

「アデライン様は本当に変わったお方ですな。ダンブリーズ公爵家のご令嬢ですのに、家畜の餌を食べられるなんて!」

 ジョージは私を馬鹿にしてくれたのよ。

「何言ってるのよ。あなたもセイラと同じね。食べたことないのにそんなこと言って! ご飯は絶対に美味しいんだから」

 私がムッとしてジョージに言い張った。

 信じられないわ。今日会ったばかりで、あまり親しくもないのに、この領地の領主である私を馬鹿にしてくれるなんて!


 お兄様が聞いたら首を刎ねられるかもしれないのに!

 私が改めてジョージを見直すとその顔がニタニタしているんだけど……

 それが領主に対する態度か?

 そう言えばこのジョージの事をあまりよく知らなかった。

 そんな奴についてきて良かったのか?

 私はその時になって初めて少し後悔した。


「しかし、アデライン様も愚かですな」

 私はそのジョージの言葉に唖然とした。

「聖女メリンダ様に酷い事をされたことといい、何も知らない男についてひょこひょことこんなところについてくるなど、愚の骨頂ですな」 

 何を言うのとさすがに温厚な私も切れようとした時だ。

 気付いたら男は私の胸にナイフを突きつけてくれていたのよ。


「死にたくなければ静かに願います。アデライン様」

 私はゴクリと生唾を飲み込んだ。


 失敗した。

 こんな見も知らない男なんかについてくるんじゃなかった。

 こいつは絶対に王家かメリンダの配下の者だ。

 私は唖然とした。


「あっはっはっ、本当にお前も馬鹿だな。オーガストの傍にいれば守ってもらえたものを。貴様に手が出せないからどうしようとモンモンとしていたら、そちらからかもがねぎを背負って歩いてきてくれたんだからな」

 ジョージは高笑いしてくれた。


 私は本当に馬鹿だ。

 私は心底後悔した。

 お兄様の傍にいればこんな奴が寄ることさえ出来なかったのに!

 このままでは本当に不味いわ。


 私は青くなった。


 こうなったら一か八か呼ぶか!

 私が大声でお兄様を呼ぼうとした時だ。


「さあて、どちらが鴨葱なんだか?」

「ドラちゃん!」

 私は男の後ろに現れたドラちゃんを見て声を上げて喜んだ。これで逆転だ。


「き、貴様、何奴だ。どうやって俺の後ろを取った?」 

 ジョージは唖然としていた。

「ふん、貴様とはもともと経験が違うのだよ」

 ドラちゃんが自慢してくれた。

「な、何だと、王家の陰が公爵家の陰に負けたと言うのか……そんな馬鹿な」

 ジョージは王家の陰だと自分でばらしてくれたんだけど……それだけドラちゃんに負けたのがショックだったんだろう。


 まあ、ドラちゃんは公爵家の陰でなくて、魔物なんだけど……わざわざ教えてあげる必要はないだろう。

「くっそう!」

ジョージが、


「おっと、動くと俺様の牙が貴様に首に突き刺さるぞ」

 ドラちゃんはちゃんとジョージに警告してあげていた。

 なのに馬鹿なジョージはドラちゃんに勝てると思ったみたいだ。

「死ね!」

 グサ!

 振り向き様ドラちゃんにナイフを突き刺してくれた。

でも、ドラちゃんは普通の武器では全く傷つかないのだ。

びくともしていなかった。

「な、何でだ? 何故毒付きのナイフを刺して利かない?」

「ふん、貴様とは修行のレベルが違うのだよ」

「くっそう、無念だ」

首筋にドラちゃんの牙が、突き刺さったままでジョージはそう叫ぶとバタリと倒れた。


「あっはっは。我輩に抵抗しようなど1万年早いわ」

ドラちゃんは大声で自慢してくれた。

その時だ。


「そこか!」

「ギャー」

私の周りにいきなり斬撃が突き刺さった。

それはドラちゃんとジョージを真っ二つに割いていた。


「アイン! 大丈夫か」

お兄様が洞窟の中に飛び込んできた。

でも私はそれどころではなかった。


「ドラちゃん、大丈夫? 酷いわ、お兄様、私を助けてくれたドラちゃんに斬りつけるなんて」

私が倒れ込んだドラちゃんに抱きついてお兄様を睨み付けていたのだ。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

前作

『悪役令嬢にしない為に還暦のおっさんは学園に入学する! 恋した女の娘の為なら皇子だろうが聖女だろが叩き潰します!!』https://ncode.syosetu.com/n6630ly/

前前前作

『悪役令嬢に転生したみたいだけど、王子様には興味ありません。お兄様一筋の私なのに、ヒロインが邪魔してくるんですけど……』https://ncode.syosetu.com/n3871kh/

私の今一番熱い人気の作品はこちら

表紙画像
1巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に』
上の表紙絵はおだやか先生が可愛いエリーゼを守る格好良いお義兄様を描いて頂きました。
このなろうで書いたのに【お義兄様との洞窟探検】2万字の描き下ろしが追加されています。
小さいヒロインのエリーゼはダンジョンに潜りたいとお義兄様に無理やり連れて行ってもらって、巻き起こす大騒動。
後で知ったお義父様(皇帝)が怒るもエリーゼの前に撃沈、更に行ったダンジョンにはなんとあの…………、とても面白いお話になっています。

■【3千字のSS商人の娘の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DD3SHSJV/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/86f757d2dd7d3674900eac6783288ad5/

■【小説家になろう記載ページ】『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど……』https://ncode.syosetu.com/n9991iq/


表紙画像

表紙絵はおだやか先生が美しい、お義兄様とエリーゼのキスシーンを描いて頂きました。
2巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… 帝国に帰還しての宮廷夜会、お義兄様にキスされてしまいました』
こちらの新規書き下ろしはセッシーとの出会いです。皇帝一家でセシール湖にお出かけしたエリーゼはお義兄様たちと湖の地下宮殿に冒険に出かけます。
反逆の陰謀と共にそこにいたのは巨大な水竜で…… とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【3千字のSSドレス工房の主の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/2/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DGQ7J6VH/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/178537d615973d18a4cb8adc53c66c16/

3巻表紙画像

表紙絵はおだやか先生がエリーゼをお義兄様が抱きあげる美しいシーンを描いて頂きました。
3巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。』
こちらの新規書き下ろしは学園に出る幽霊竜退治です。学園時代のお義兄様の幽霊騒動にエリーゼが一緒に冒険します
とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【3千字のSS連れ子様の護衛騎士・シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/3/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/-ebook/dp/B0DK55BWGS/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/e9901759f61337b88109b29ff7a5ffb0/

ぜひとも手にとって見ていただければ嬉しいです。

アルファポリスのレジーナブックスにて

【書籍化】

しました!
2023年6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙画像
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。


■アマゾンへのリンク

■楽天ブックスへのリンク

■hontoへのリンク


手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

なろうの掲載ページ『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://ncode.syosetu.com/n3651hp/

第一部は書籍化の規約上3分の1残して後は他者視点で繋いでいます
「えっ、ゲームの世界の悪役令嬢に生まれ変わった?」
頭をぶつけた拍子に前世の記憶が戻ってきたフラン、
でも、ケームの中身をほとんど覚えていない!
公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。
しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。


私の

3番人気の作品はこちら

『モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~』https://ncode.syosetu.com/n8311hq/

私の

4番人気で100万文字の大作の作品はこちら

『皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!』https://ncode.syosetu.com/n8911gf/



このお話の前の話

『悪役令嬢に転生させられた地味令嬢ですが、ヒロインの方が強くて虐められているんですけど……』https://ncode.syosetu.com/n7240kb/

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ