お兄様視点 王家の陰が襲ってきたので撃退しました
俺はアインを馬車に乗せると座席に寝かした。
アインの顔が少し白い。
血を流しすぎたせいだろうか?
俺は愛しのアインの頭を自分の膝の上に置いて抱きしめた。
そうしている間に馬車は動き出した。
淫乱聖女の魅了にかかっていたせいで、アインが傷つけられるのを黙ってみていたのは俺だ。
アインが怪我するまで体が全く動かなかった。
いや違う。アインは聖女に酷い事をしていたから怪我させられるのは当然だと思っていたのだ。
全ては俺が悪い。
本当に最低の兄だった。
二度とアインを傷つけさせないと心に誓っていたのに!
「アイン、すまない」
俺はアインの顔を撫でた。
「うううう」
アインはうなされているようだった。
手を上げて助けを求めるような仕草をした。
俺はその手を取った。
そして、握り返した。
その時だ。
「旺雅兄ちゃん」
俺は聞き間違いかと思った。
アインの口から確かに旺雅兄ちゃんと聞こえた。
「アイン!」
俺が強く叫ぶと、
「旺雅兄ちゃん」
アインが目を開いてはっきりともう一度俺を前世の名前で呼んでくれた。
えっ?
やっぱりアインは愛韻だったんだ!
俺は驚愕に目を見開いた。
「愛韻、大丈夫だからな」
俺はうなされて汗をかいた愛韻の顔をハンカチで拭いながら反対の手でアインの手を握り返していた。
「ごめんねお兄ちゃん。逃げられなくて」
愛韻がそう俺に謝ってきたのだ。
「何を言っているんだ。愛韻が悪いんじゃない。その場にすぐに駆けつけられなかった俺が悪いんだ!」
俺はその時の事を愛韻に謝っていた。
そうだ。俺がすぐに高校から家に飛んで帰っていれば、愛韻は津波に巻き込まれることはなかったのだ。
俺はその時の事を思い出していた。
本当にどうしようもない兄だった。
でも、こうして愛韻がアインとして転生したのだ。
今からはその時の事も含めて俺がアインを護れる。
俺は神に感謝したくなった。
これで再び愛韻を護れる。
前世での心残りが果たせるのだ。
俺はそれを知って、歓喜して、そして、その愛韻を再び危険な目に逢わせてしまったことに気づいて、ショックを受けていた。
もう一度やり直せるなら、今度は絶対に守ると心に決めていたのに!
あと少しで再び愛韻を失うところだった。
「お兄様」とあんなに可愛く俺になついてくれていた愛韻を!
俺は聖女の魅了にかかって愛韻を危険な目に再び遭わせた自分を許せなかった。
その時だ。
俺はかすかな殺気を感じた。
「オーガスト様。何かが迫っています」
我が家の陰でもある馭者が小窓から俺に報告してくれた。
「ふん、王家の陰か、丁度暴れたいと思っていた時だ」
「敵は二十人位かと」
「よし、馬車を止めろ」
俺は三台の馬車を止めさせた。
そして、アインの馬車に守りの障壁をこれでもかと張る。
そのまま護衛として馬車の外にはセバスとセイラを付けた。
場所は王都から馬車で2時間位進んだ林の中だ。
当然街道とはいえ夜も遅いので周りには誰もいない。
後ろからひたひたと駆けてくる音がした。
駆けてくるとは、さすが王家の陰だ。
しかし、俺様に逆らうとはいい根性をしている。
特に今は俺はアインを再び危険にさらしてしまった事で気が立っていた。
「林にも弓兵がいます」
セバスがすれ違い様に俺に報告してくれた。
俺は短剣を構えると無造作に林の中に放った。
「ギャッ」
悲鳴が聞こえて兵士が木の上から落ちる音が聞こえた。
その時には宝剣ムラサメを抜いていた。
「喰らえ!」
俺は王都の方から駆けてくる影達に向けて宝剣を真横に薙ぎ払っていた。
ズバッ
凄まじい音がして俺の斬撃はソニックブレードになって、陰を遅う。
「「「ギャー!」」」
3人がそれに引っかかった。
真っ二つに両断される。
残りは飛ぶか地面に伏せるかで躱してくれていた。
ダシーン!
それ以外にもこんなところでソニックブレードを放ったら周りの木々もただでは終わらなかった。
両断された木々が倒れていく。
逃げようとした陰が2名ほどそれに巻き込まれて倒れるのが見えた。
「ウォーーーー!」
その時には俺は剣を構えて陰に向けて駆け出していた。
前を走っていた男が構えた短剣で斬りかかってきた。
俺はその男を無造作に宝剣で斬り下げた。
「ギャッ」
男が血をまき散らして吹っ飛んだ。
その横の男が俺を刺そうと手を伸ばしてきたのを勢いのままに真横に薙ぎ払う。
俺の剣を持つ手の方が長いのだ。
その勢いのまま3人続く敵を次々に斬り倒していた。
10人を倒した。
後は半数だ。
しかし、周りに敵はいなくなった。
皆、アインの馬車に向かったはずだ。
俺は慌てて戻ろうとした。
足を強化して必死に戻る。
「ギャッ」
馬車目がけて駆ける王家の陰を後ろから斬り倒した。
しかし、その時には馬車の周辺で斬り合いが始まっていた。
俺はその背に回って王家の陰を斬りまくった。
「まずい、逃げろ」
残り3人になったところで、陰が退散しようとした。
そんなの許す訳がないだろう。
「ギャッ!」
俺は逃げかかった一人を背後の斜め上から斬り下げる。
もう一人は逃げようとして体勢を崩していたのを真横に剣を薙ぎ払った。
残りの一人ははるか前方を走り去ろうとしていたが、
「逃すか!」
俺はその男目指して、宝剣を振り下ろした。
ズバッ
「ギャッ」
凄まじい斬撃が男を襲い、男を真っ二つに斬り裂いていた。
俺以外にセバスが一人セイラが一人倒していた。
王家の陰は全滅させたはずだ。
「おのれ、エドワードと淫乱聖女め。俺達に手を出してくるとか、絶対に許さん」
俺は襲ってきた王家に対して必ず仕返しをすると心に決めたのだ。
お兄様の前に敵無しです。
ブックマーク、広告の下の評価☆☆☆☆☆を★★★★★して頂けたら嬉しいです(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾
次回からは米作りに戻ります。
今夜更新予定です。
よろしくお願いします








