開墾予定地を騎士団を使って準備して、まず焼き払いました
「おい、アイン、本当に俺と聖女は何もないからな」
お兄様が必死に言い訳してくれたが、
「ふんっ、お兄様も聖女に大きな胸を押しつけられて喜んでいたじゃない!」
私もちゃんとみていたのよ!
胸を押しつけられた後お兄様の聖女に対する態度もそれまでの塩対応とは確かにがらりと変わっていた。
絶対にお兄様は聖女の胸にたぶらかされたのだ。
「いやそんな事は無いぞ!」
お兄様は必死に言い張ってくれたけれど、
「ふーん。私、聖女が婚約者がいるのにエドワード様にくっつき過ぎだって本人に抗議したら……」
「アイン、もうエドワードの話は良いだろう」
私が反論したら、お兄様が不機嫌そうにして誤魔化そうとしたが、
「何言っているのよ! その時にお兄様が私に『平民だからってメリンダを差別する貴様は反吐が出る』って宣言してくれたのよ! 私、お兄様に、貴様なんて初めて言われたわ。私はその時にどれだけ悲しかったか」
涙目になって私が言うと、
「いや、アイン、本当にその時は申し訳なかった」
お兄様が必死に頭を下げてくれたけれど……
「ふんっ!」
私はお兄様の顔も見たくなかった。
「いやあ、泣く子も黙るオーガスト様もアデライン様には敵わないようですな」
「本当にあの二人も仲がよろしいようで」
バージルがセバスに話しかけてセバスが笑ってこちらを見てくれたけれど、
「全然仲は良くはないわよ」
むっとして私はセバスを睨み付けた。
「いや、アイン……」
お兄様がまだしつこく私にすがりつこうとしていたが、
「オーガスト様。それよりも早く今日の予定を終わらされた方がよろしいかと」
セバスが提案してくれた。
本当にそうだ。それでなくても遅れているのよ。
「しかし、セバス……」
「まあ、まあオーガスト様」
反論しようとするお兄様にセバスが何か囁いていた。
何か余計な事を言っているに違いない。
これ以上私の胸に触れてはいけないとかお兄様に余計な注意をしているんだろうか?
絶対に許さないんだから!
「よし、バージル始め騎士団の皆は今まで勤務、ご苦労だった」
お兄様はいきなりこちらの成り行きを、唖然としていて見ていた騎士団の方を向いた。
「当然の事をしたまでです」
バージルがお兄様に敬礼した。
「いや、本当に良くやってくれた」
お兄様は一同を見渡した。
全員がお兄様を見返す。
「その移動してきたところで悪いが、アデラインの機嫌が悪い」
「それはお兄様が悪いんでしょ。皆には関係無いじゃない」
私が変な事を言い出したお兄様を睨み付けると、
「何言っているんだ、アイン、騎士団に手伝ってもらった方が早くできるぞ」
「それはそうだけど……」
「アデライン様。俺達は今までみたいな蛮族警備よりもアデライン様の為に働ける方が嬉しいです」
バージルの息子のホレスが言い出してくれた。
「さようでございます。何でもアデライン様はこの地にやってきた我々の食料を心配して、今回の事業を興して頂けたとか」
「当然、自分らの食料は自分たちで働いて育てます」
バージルの言葉に第一大隊長のハリーも頷いてくれた。
うーん、彼らの食料の為に動き出したんじゃないけれど、出来た食料の一部は彼らの食料になるのも事実だ。せっかくやる気になってくれたんだから、否定するのは悪いだろう。
「有難う。でも、今日は移動してきたところだから、そこまで頑張らなくてもいいのよ」
私はそう言ったのだが、
「オーガスト様やアデライン様が働いていらっしゃるのに、部下の我々がそういう訳にも行かないでしょう」
「そうです。我らはこの国最強のダンブリーズ騎士団です。移動した位で戦闘できないという訳にも行かないので、当然、農作業にも従事させていただきます」
バードルの言葉にハリーも頷いてくれた。
「よし、では第九大隊まではここで水路作りだ。残りの第10大隊は屋敷に行って騎士団のテントの設営を頼む」
「「「はい!」」」
バージル達は直ちにお兄様とセバス達と打ち合わせして、部隊を分けてくれた。
一個大隊100人単位だ。
お兄様が刈りおえた区画を担当して、残りを九個大隊で担当分けしてくれた。
「ようし、皆、他隊に負けるなよ」
「「「おおおお!」」」
皆鎌を持って一斉に延びた草木を刈りだした。
力の有り余っている騎士達が1000人も増えたのだ。
あれよあれよと私が見ている間に草木が無くなった。
そこでお昼時だ。
各大隊は手分けして食事の準備を始めてくれた。
手際よく、食事が出来上がる。
私らの食事はセイラが準備してくれた。
私は兵達の飲み物の準備に奮闘したのよ。
まあ、飲料はドラちゃんが出してくれて、それを第10大隊の面々が輸送してくれたけれど……私はあまり何も出来なかった。
昼食後に今度は皆が水路を掘り出して、あっという間に10メートルの水路が出来た。
掘った後を土魔術の使える皆で固めたのよ。
今回は私も少しは役に立ったわ。
そして、夕方にラストヴィレッジの面々にも連絡してお兄様達が一斉に火を放ってくれた。
湿原が一斉に燃えだしたのよ。
騎士達が交替で警戒する中、火は一晩中燃えていた。
夜空に赤々と燃える湿原の様子はどこか幻想的だった。
翌朝には火は鎮火していた。
開墾予定地をまず焼き払う計画は、我が騎士団の参加で思ったよりも早くに終わって私はほっとしたのだった。
ここまで読んで頂いて有難うございます。
焼き畑ならぬ焼け田?
まだまだ準備は続きます。
お楽しみに!








