夢でうなされて見に来てくれたお兄様に思わず抱きついていたら、そのまま膝の上に乗せられて朝食を食べさせられました
私は元々ダンブリーズ公爵家の令嬢で第一王子のエドワードの婚約者だった。
今は聖女のメリンダの登場でエドワードからは婚約破棄断罪されてしまったけれど……
我が家は元々優しい両親とお兄様の4人家族だった。
でも、お母様は私が5歳の時に流行病で亡くなった。
お父様の腹違いの兄、私に取って伯父のエイブラムには役立たずとか悪し様に言われていたけれど、お母様の死後もお父様とお兄様に大切に育てられたのよ。二人に逆らって私を悪し様に言う不届き者なんてエイブラムくらいしかいなかった。エイブラムはお兄様にボコボコにされて這々の体で自分の領地に帰って行ったけれど……
そんな私が15歳の時だ。
公爵領に突如として暗黒竜が襲ってきたの。
暗黒竜は古代竜が闇堕ちしてしまったとても危険な竜で、お父様達でも防げなかった。
「アデライン、逃げろ!」
「お父様!」
お父様は私の盾になって暗黒竜に殺されたのよ。
私は必死に走って逃げたわ。
でも、暗黒竜にとって私の逃げ足なんて大したことでは無かったのよ。
「キャッ」
私が足をもつれさせて転けた所に巨大な暗黒竜の口が開いて迫ってきたのよ。
「いやーーーーー!」
私ははっとして目を覚ました。
「アイン、大丈夫か?」
私の目の前にお兄様の麗しい顔があった。
私の悲鳴を聞いて飛んで来てくれたみたいだ。
「お兄様!」
私はお兄様に抱きついた。
「良かった。お兄様が帰ってきてくれて」
私はお兄様に抱きついてガン泣きしたのだ。
「悪かったな。性悪聖女の術にかかって、命よりも大切なお前を見捨ててしまって、本当にすまなかった」
お兄様が私の背中を撫でながら謝ってくれた。
「ううん。お兄様は私が暗黒竜に襲われた時も助けてくれたもの。私の白馬の騎士よ」
私はお兄様にすがりついて泣きながら叫んでいた。
「あの時もすまなかった。もう少し早く転移できていればお前を怖い目に遭わせられなかったのに」
お兄様が私を強く抱きしめてくれた。
「お兄様は悪くないわ。私の所に転移してきてくれて本当にありがとう」
お兄様は習いたての転移を使って、暗黒竜に襲われそうになっていた私を助けてくれたのだ。
本来ならば長距離転移で魔力不足で倒れてもおかしくないのに、そのまま剣を抜いて暗黒竜を退治してくれたのよ。
怒り狂ったお兄様は無敵だった。
元々お兄様は強かったけれど、更に強くなっていた。
何でも日々私を護るために死にもの狂いで稽古してくれたそうだ。
私の自慢のお兄様だった。
当主のお父様も亡くなったので、本来は当主にお兄様が付くはずだったけれど、まだ未成年だったのもあって伯父のエイブラムが仮の領主になって公爵領に乗り込んできたのよ。
私は逃げるように王都の館に移り住んで、それ以来領地には帰っていない。
だから今回役立たずの私が王都を追放されて、エイブラムは喜々としているはずだった。
でも、本来の公爵家の領主はお兄様だ。
お兄様も学園を卒業したのよ。
「お兄様。そろそろ領地に帰って領主になる準備をした方がいいんじゃないの?」
心配になって私は聞いていた。
「何を言っている。高々公爵位など、お前を護ることに比べれば、大したことはない」
お兄様は平然と言いきってくれた。
まあ、お兄様は無敵の騎士だ。
暗黒竜を退治したことからも領民には圧倒的な人気がある。
人気の無いあのむかつくエイブラムを叩き出すなんて朝飯前だと思うけれど、エイブラムは色々と悪巧みが出来そうだ。
お兄様はどちらかというと単細胞だから、悪巧み勝負になったらエイブラムに負けてしまうんじゃないか?
私はとても心配だった。
「キャッ」
そのままお兄様は私をお姫様抱っこすると隣の食堂に連れて行こうとしてくれた。
「待ってください、オーガスト様。アデライン様はまだ寝巻きのままです」
「別に隣の食堂にはお前とセバスしかいないのだから、アインは寝巻きでも良いだろう」
セイラが注意したが、お兄様は強引に私を連れて行ってくれた。
「もう、オーガスト様は……」
ブツブツ文句を言いながらもセイラは付いてきてくれた。
テーブルの上には焼いた白パンとスクランブルエッグと野菜の盛り合わせが載っていた。
「すみません。アデライン様。あと一両日で料理長とか他のメイドなどの第二次部隊が到着しますのでそうしたらもっとまともな食事になりますから」
セイラは私に謝ってくれたが、これでも十分な朝食だ。
「ううん、わざわざ私の為に作ってくれて有難う」
私はセイラにお礼を言った。
お兄様が私を私の席に下ろしてくれると思ったのに、そのまま通過してくれたんだけど……
「えっ、お兄様、私の席はここよ」
「ふんっ、泣いて起きたアインが何を言うんだ。昔はそういう時はいつも食べさせてくれとせがんできたではないか!」
お兄様は私を抱いたまま自分の席に着いてくれたんだけど……
「えっ、お兄様、それは小さい時の事で……」
「ほら、あーん」
お兄様がパンをちぎって私の前に持って来てくれた。
そのお兄様の膝の上に私は座らされているんだけど……セイラの前でなんて格好させるのよ!
「えっ?」
私は驚いたが、そのまま口を開けてパクリと食べてしまった。
次はお兄様がスクランブルエッグをスプーンに乗せてくれた。
「いや、お兄様、自分で食べられるから」
「はい、あーん」
私が抵抗しようとしたが、お兄様は強引にスプーンを私の口元に持って来てくれた。
パクッとそのまま食べてしまった。
「ちょっとお兄様。恥ずかしいから」
「恥ずかしいと言ってもここにはお前の事を昔から知っているセイラとセバスしかいないじゃないか」
そう言ってお兄様は強引に食べさせてくれた。
もう、そんな食べさせられる年じゃないのに!
でも、私はお兄様に敵う訳もなく、そのまま全て食べさせられてしまったのだ。
そんな私達をセバスとセイラが生暖かい目で見てくれていたんだけど……
ここまで読んで頂いて有難うございます。
お兄様の膝の上でお兄様に食べさせられたアデラインでした。
ブックマーク、広告の下の評価☆☆☆☆☆を★★★★★して頂けたら嬉しいです(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾








