芽出し用の池を完成させました
翌日になった。
大河が大きく蛇行しているところに私達は馬車で向かった。
これでもかというくらい大きく大河が迂回していた。
昔の川の自然堤防も一部残っていて、セバスが言うには直線で50メートル位の堤防を造れば、大きな池が出来るそうだ。
セバスが陰を使ってマークを地上に付けてくれた。
「燃えよ、雑草!」
続いてお兄様が詠唱して、生えている草を火魔術でもやしてくれた。
草はバチバチと盛大に燃えてくれた。
次に堤防を造らなければいけないところに
「出でよ、堤防!」
私が大きな声で詠唱した。
学園で魔術訓練したから、少しは成長したはずだ。
私はとても期待していた。
ポコ
でも、出来たのは長さが1メートル、幅1センチ、高さが1センチ位の堤防だった。
堤防というよりも、土の出っ張りだ。
「出でよ、堤防!」
次の所も私は先程よりも2倍の大声で詠唱した。
ポコ
でも、長さが2メートルになっただけで、後は何も変わらなかった。
「出でよ、堤防!」
ポコ
最大で長さが3メートルだった。
何回やっても、高さは1センチ以上にはならなかった。
「出来たか、アイン!」
雑草を燃やし尽くしたお兄様が見に来てくれた。
「おおおお、堤防造るところをちゃんとマーキングしてくれたんだな」
お兄様が感動してくれたけれど、違うって!
堤防を造ろうとしたのよ!
私は大声で叫びたかったが、これをみても絶対にそうは言えない。
「そうよ。凄いでしょう」
私は両手を腰に添えて高らかに頷いたのよ……
それをみてセイラが吹き出しそうになっていた。
ああああ、また駄目だった。
私はがつかりしてしまった。
「まあ、アデライン様、適材適所という言葉もございます」
セバスが慰めてくれたけれど、私ってマーキングしただけじゃない!
それももともと陰がある程度してくれていたし……
「よし、みてろよ、アイン。お兄様の力を」
お兄様はそう言うと、
「ウォーーーー!」
手を強化魔術で強化すると大きなシャベル片手に、土を堤防に沿って掘り出した。
掘っては私のマークしたところにドンドン山を作っていく。
それをどこから出て来たのか影達5人くらい現れて堤防の形にドンドン整えてくれる。
「ウォーーーー!」
お兄様の叫び声とともにドンドン土の堤が出来ていって、それを無言で影達が堤防に形を整えていく。
火魔術か何かで焼いて固めているみたいだ。
さすが公爵家の陰は出来る
高さも1メートル強だ。
1時間で50メートルの堤防のうち25メートルが出来た。
「お兄様、ご苦労様」
私は冷たい水を差しだした。
「おおおお、アインのくれた水は生き返るように上手いな」
お兄様が褒めてくれたが、この水は私が手配したのでは無くて、屋敷の井戸から汲んだ地下水だ。
昔の井戸をドラちゃんが直してくれたらしい。中々使えるドラの助だとお兄様も褒めていた。
井戸を使えるように直したドラちゃんと堤防を造るお兄様と陰、それを指示するセバス。
役に立たないのは私とセイラだけだ。
セイラは私の侍女だし……うーん、どう見ても私だけが役立たずだ。
こんなはずではなかったのに!
土魔術のアーロン教授は「アデライン君の土魔術はこの3年間でとても上達したよ」
と言ってくれていたのに、全然じゃ無い!
私はがっかりした。
「まあ、アイン、そう落ち込むな。お前はいるだけで良いんだから」
お兄様は優しいからこんな事を言ってくれるが、あのエイブラム叔父が聞いたら絶対にまた役立たずと言われそうだ。それだけは避けたかった。
その後も私が土の堤防を造ろうとして
ポコッ
と3メートルのマークが出来ただけだった。
いくら頑張っても高さは1センチのままだった。
「おおおお、アインがマークしてくれただけで、とてもやりやすいぞ」
お兄様は褒めてくれた。
「さすがアデライン様です。直線は本当にまっすぐです。その直線が肝なのです」
変なところをセバスも褒めてくれたけれど、マーキングを伸ばしただけでは仕方が無い……
「ウォーーーー!」
それから1時間でお兄様と陰で堤防の大半を作ってくれた。
そして、また休憩だ。
今日は朝早くから活動しているので、まだ11時位だ。
もう一働きできる。
今度は燃やしたところを高さ調節だ。
燃やした灰は肥料にもなるので、出来たら回収がしたい。
「削れ!」
私は燃えた表面から一平方メートル位、深さ2センチ削る。
そう私は削るのが得意だ。
高さもぴったりと合わせられる。
私が削った土をスコップでセイラが麻袋に入れてくれた。
それを別に避けたところに、米の種籾の入った麻袋を大量に積んだ荷馬車が到着した。
「ようし、行くぞ」
私が削った場所にお兄様と影達が次々に種籾の入った麻袋を運んで縦て置いていってくれた。
私が燃えた土を削って、それをセイラが麻袋に詰めてくれる。
その削って整地できたところにお兄様達が種籾の入った麻袋を縦に置いていってくれる。
その繰り返しだ。
これは結構大変だった。
簡単な昼を食べて、夕方まで私達はもくもくと作業をしたのよ。
「ようし、積み終えたぞ」
お兄様が最後の種籾を置いてくれた。
私達が作業している間に、セバスが川の一部に水門を作ってくれていた。
「では行きますよ」
セバスが合図をしてくれた。
「ようし、やってくれ」
私達は堤防の上に上がってセバスに合図した。
ざあーーーー!
水門が開いて水がドンドン入ってきた。
「うわーーーー、水が溜まっていくわ」
私はそれをみて感動していた。
私はほとんど役立たなかったけれど、私も一緒に造った池に水が入り出したのだ。
感動ものだった。
池が大きかったので、すぐには満杯にならなかった。
その場はセバスと公爵家の陰に任せて私達は帰らせてもらった。
「やったな、アイン!」
翌朝早くにお兄様を叩き起こして向かった池は満面の水を湛えていた。その水の下には種籾の入った麻袋が濁った水の中にかすかに見えていた。お兄様が喜んで私に言ってくれた。
「有難う。これもお兄様やセバスやセイラのお陰よ」
あまり公には言えないけれど、陰も手伝ってくれたお陰だ。私がお礼を言うと
「いやいや、アデライン様がきちんと指示頂けたからですよ」
セバスは私を立ててくれた。
「そうだ。アインがアイデアを出してくれたお陰だ」
お兄様がそう言ってくれたが、私も燃えた土を削るのは活躍したはずなのに!
アイデアだけじゃないはずだ。
まあ、大半はお兄様とセバスと陰がやってくれたけれど……
「次は湿原の開墾ですな」
「そうね。頑張りましょう」
「そうだな!」
まずは芽出し用の池が完成して、私達は次の開墾に向かうことにしたのよ。
少しは役に立ったアデラインでした
ブックマーク、広告の下の評価☆☆☆☆☆を★★★★★して頂けたら嬉しいです(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾
田植えまではまだまだかかります








