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女騎士、暴れる!

「ぐひっ! ぐひひひっ!」


 完全に逝っちゃった目をしているえっちゃんが追いかけてくる。

 シチュエーションとしては完全に〇イオハザードとか、〇ークソウル。

 まるで、ゾンビと化したえっちゃんが、俺を喰らおうと剣を振り回しながら追いかけてくる。

 でも、酔い過ぎてるせいで、その歩みはゾンビの如く遅く左へ右へと足を取られながらだ。

 えっちゃんは剣を片手にしている。

 このままでは追い詰められて死ぬ。

 何か防具か武器を……。

 今家にあるのは防具の鍋のフタだけ。

 こんなもの真剣の前じゃ役に立たない!

 きっとカッターで発泡スチロールを切る様に、スパッと腕まで切られるはず!

 唯一の武器のハンマーは、リリナに渡したリュックの中に入れたままあげてしまった。

 包丁の有るキッチンはえっちゃんが向かってくる方向だし、第一真剣の前じゃ歯が立つ気がしない。

 武器なんて何処にも無い。

 どうする?俺?

 絶体絶命の大ピンチだ!

 そう言えばどわ美は俺の持ってる『全能の指輪』ですべての魔法やスキルが使えると言ってたけど、魔法でどうにかなるのか?

 俺は魔法を唱えてみた。


「ファイヤー!」


 でない!


「ファイヤ!」


 でない!


「火!」


 でない!


「ひ!」


 でない!

 なにやっても魔法は出なかった。

 ひげの生えてるジャンプの得意なおっさん兄弟は、無詠唱で走り回りながら炎魔法を連発出来るのに、それに比べて情けないスペックの俺。

 同じおっさんでもこうまで違う物なのか。

 マッチ一本分の炎も出ないんだぞ!

 全然使い物にならないじゃないか!

 つかえねー!

 この指輪とおっさん!

 もう攻撃は諦めた。

 防御も諦めた。

 ただひたすら、酔いが覚めるまで逃げるだけだ!

 でも、えっちゃんは騎士に採用されたぐらいだから剣筋は確かだ。

 きっと逃げているだけではいつか追いつかれてしまう。

 何か策を考えないと。

 俺に出来る事を!

 万能の指輪で出来る事、それは鑑定のみ。

 とりあえず鑑定を発動させる。

 

『鑑定』

 

 えっちゃんのステータスが心に現れた。

 

 名前 エステル・フォンブラウン

 年齢 二二歳

 状態 混乱 暴食

 

 なんか昨日どわ美見た時より、鑑定内容が増えている。

 どわ美を見た時はたしか名前と年齢だけだったはず。

 でも、役に立つ情報は何もなかった。

 混乱してるのは鑑定しなくったって誰が見ても解るし!

 酒を飲み過ぎてるのも誰が見ても解るし!

 きっとコンビニで買ってきたお酒のどれかに、混乱する毒物となる添加物が混じってたんだろう。

 どれが悪いのかは解らないが、それが解ったとして今の状況が好転するようにはとても思えない。

 とりあえず逃げに徹せねば!

 えっちゃんの剣筋は鋭いが、幸い足元がフラフラしてるので助かる。

 隙を見て玄関から出てドアを閉めた。

 そして鍵を掛けた。

 ふー、助かった。

 これでえっちゃんの酔いが醒めるまで耐えるつもり。

 鍵の開け方が解らないのか、中からえっちゃんの怒声が聞こえる。


「あけろーぅ! あけろーぅ! はやくあけろーぅっ!」


 いつぞやの俺を振った女の事を思い出す。

 体はえっちゃんの方がいいかもしれないが酒を飲んでも暴れない分あの女の方がマシだった。

 その怒声を聞いた近所の住民が出て来た。

 

「何騒いでるざます?」


 ザマスのおばちゃんだった。

 こんなとこに来たらあぶないよ。

 

「お客さんにお酒飲ましたら酔っぱらって暴れだしちゃって」

「何がお客様ざます。また女の子でも連れ込んでたんじゃないざますか? 美味しいお酒とか言って無理やり飲まして、酔わせていかがわしい事でもしようとしたんじゃないざますか?」

「いや、そんな事」

 

 してました。

 おもいっきり。

 すいません。


「酔いつぶれて寝た所を襲ったら、あばれられたんじゃないざます? 男女付き合いするなとは言いませんが、少しは節操をもってやってもらいたいざます」


 確かにお酒は飲ましたけど、襲われたのはこっちだし!

 えっちゃんは外に誰か来たのに気づいたみたいで、急に大人しくなった

 さっきまで騒いでいたのに今は無言だ。

 騒ぎ疲れて寝てしまったのかな?

 それとも、他の人が来たことで急に現実に引き戻されて酔いがさめたのかな?

 中の様子を伺う為にドアの鍵を開けたら、それと同時にドアがスパーン!と十文字に割れた。

 えっちゃんが剣でドアを切り裂いたようだ。

 金属製のドアだぞ!

 斬〇剣でもないのに、こんなに綺麗に切り裂けるものなの?

 

「ぐひひひ! おでにくわせろ!」

 

 えっちゃんの首が、割れ落ちたドアの隙間からにょきっと生えた。

 目が逝きすぎ。

 よだれも垂らしてるし。

 完全に人じゃなくなってる。

 暴走モード。

 それがドアの残骸を吹き飛ばして、廊下に飛び出してきた。

 剣を振り下ろすえっちゃんだったもの。

 切られる!

 

「ひいい!」

「あぶない!」

 

 切られたと思った瞬間、何かに突き飛ばされた。

 ザマスのおばさんだ!

 ザマスのおばさんが俺を助けてくれた。

 

「ここのマンションは刃物は禁止ざます!」

 

 ザマスのおばさんは怒りでどす黒いオーラをまき散らしながら、その剣を受ける!

 真剣白羽取りだ!

 ザマスは凄まじい速度の斬撃を両の掌で受けた。

 えっちゃんが剣に力を込めて振り下ろそうとも引き抜こうともしても、剣は微動だにしなくなった。

 そしてザマスが怪鳥音の様な吐気と共に手の平に力を籠めると、剣を根元からぽっきりとへし折った。

 廊下にカランカランと剣身が転がる音が響く。

 ザマスつえー!

 すげーつえー!

 でも、えっちゃんも暴走してるので剣が無くなったぐらいじゃ引かない。

 

「ぐふふふ! おまえからくっでやる! お前のしなびた干しブドウぐわせろ!」

 

 えっちゃんだったものがザマスに襲い掛かる。

 ほしぶどうってなんだよ?

 もしかしてあれの事?

 

「お客様とて許せぬ!」

 

 ザマスは吐き捨てるようにいい放つと、体を深く落とし低い角度から腰に溜めた拳を放った。

 拳がえっちゃんだった物のみぞおちにめり込む。

 背骨まで届くんじゃないかと思うぐらいめり込んだ。

 そして。

 えっちゃんは胃の中の物を盛大にまき散らした後、崩れ落ちた。


「安心しろ。みねうちだ」


 なんか、ザマスかっこいい!

 一撃でえっちゃんを倒した。

 何がみねうちなのか解らないけど。

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