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エピローグ
白い世界で、咲夜は走っていた。
肩の重さはもうない。足取りは軽やかで、どこまでも走っていけそうだった。
駆ける先、橋が架かっている。
欄干のそばに人影が見える。――待ち人。
途端に、顔が崩れた。
名を呼んで、両手を広げ、飛びついた。
広い胸が、咲夜を受け止める。
唇が勝手に何かを言っていた。言葉ではなかったかもしれない。ただ求めて、泣きじゃくった。
抱擁が、咲夜の冷えた体を温めた。
「ずっと、そばにいたよ」
静かな言葉に、顔を上げる。
目を合わせて、微笑み合った。
手を取り合って、前へ歩いた。
二人。
橋を渡った。




