(6)
「君は何者だ?」
……えっ?
僕は……何をしてたんだ?
記憶が飛んでいる……冒険者ギルド本部の敷地内に入った時から……。
「本物の『聖騎士ロンメル』は、どこに居る? それとも『聖騎士ロンメル』とは、冒険者ギルドやランキング上位の冒険者パーティーがやらかしたスキャンダルを揉み消す役割を持つ者の秘匿名で、本物の『聖騎士ロンメル』など、どこにも存在しないのか? そして、一番重要な質問だ。君と『邪悪騎士エルヴィン』の関係は?」
僕は……ベッドに縛り付けられていて……周囲に居るのは……スーパーヒーローギルドに退魔師ギルドに人命救助ギルドの面々……冒険者ギルドで言うなら「上位ランカー」達だ。
「い……いや……だから……僕は『聖騎士ロンメル』を名乗ってた元冒険者で……今は、スーパーヒーローギルドの……」
「やはり、精神操作で記憶を封じられているようだな」
大賢者の声には……だめだ……僕は……自分で思っていたより馬鹿だったようだ。
その声から感じられる感情を巧く言い表せる言葉が見付からない。
激しい感情じゃない。けど、ポジティブな感情でもない。まるで、地獄を覗いてしまった人間の嘆きの声……。
「ところで、私を覚えていますか?」
そう言ったのは……胸に人命救助ギルドのシンボルマークが有るワッペンを付けた……すげ〜美人なのに……何て言うか……男より女の方にウケが良さそうな感じの容姿の女。
「……い……いえ?」
「やっぱり……」
美青年にしか見えない女は天を仰いで、絶望的な表情になった。
「いいですか、落ち着いて聞いて下さい。あなたは、もう長く生きられません。あと、一〇年生きられれば奇跡です」
「へっ?」
「あなたの生命の気は極めて歪です。……まるで……近親相姦を何度も繰り返した家系の出身のような……」
「ちょ……ちょっと待って下さい。僕の実家は……そんな……」
そんな……。
そんな……。
そんな……そんな……そんな……。
思い出せない。
全く思い出せない。
僕の実家が、どんな家庭だったのか……。
両親とも揃っていたのか? 祖父母や兄弟姉妹は居たのか? マトモな家だったのか? それともクソな家だったのか? 収入はどれ位で……親は何の仕事をしていたのか?
「少し前に、この都市から歩きで2〜3日の森の中で、奇妙な村が発見された……。村に残っていた遺体は……全て先天的な小人症だった」
「え……えっと……遺体? 小人症?」
「全員が殺されていた。見付かった限りでは……だが、村の規模からして、遺体として見付かった者達よりも多くの者達が生活していたのは明らかだった。あと……村に残されていた建物や家具は……小人症の人間に合わせた大きさだった。それ以外にも、その奇妙な村に残っていたものが有る」
「何ですか?」
「強力な残留魔力だ」
「へっ?」
「いわゆる『邪気』『瘴気』。それも……『地獄』系」
「え……えっと……」
「ぶっちゃけて言おう。冒険者ギルド本部に充満していたのと、よく似たタイプの『邪気』だ」




