(7)
「ねえ……僕は……本当に『聖騎士ロンメル』なの?」
僕は、場末の酒場でシャロルにそう訊いた。
この前まで、元「冒険者ギルド」所属の面々が集ってた所より更に場末の酒場だ。
行って帰ってくるだけで、命の危険が有る程の場末の酒場だけど……もう、元冒険者に酒を飲ませてくれるような酒場は、この都市には残っていない。
「そう言えば……いつから……あたしの事『姐さん』って呼ばなくなったんだっけ?」
「えっ?……だって、冒険者ギルドに居た頃のランキングは1つしか違わなかったし……あと……」
「知ってたよね。この体と顔は……魔法で成長を止めた結果で……本当は、あんたより齢上だって事」
「ちょ……待って……どう云う事?」
「『どう云う事?』って訊きたいのは、こっちだよ……シュネとローアに、どこまで記憶操作されてんの?」
「何で、シュネとローアが、僕にそんな事する必要が有るの?」
「だから、どう考えてもシュネは、あの夜に……」
「ちょっと待って、あの夜って何?」
「だからさぁ……冒険者ギルドが解散させられる切っ掛けになった、あの大火事の夜に、あんた達と『黄金龍の勇者』のパーティーが戦って……」
「ええええ? だから、何で、僕たちが、僕の憧れのパーティーと戦ったりする事に……」
「変ですよ……絶対に……」
横で聞いてた魔法使いのジュリアが、そう言ってきた。
「何が……」
「あの火事の夜から……シュネとローアは、あなたに事有る毎に精神操作や記憶改竄の魔法をかけてました。それも……かけられた人間の脳が無事で済まないぐらいのペースで」
「だから……何で、シュネやローアが、僕に、そんな事をする必要が……?」
「傍から見てる限りでは……理由は簡単でした」
「どう云う理由なの?」
「『いざと成ったら、精神操作や記憶改竄をすればいい』と思ってるみたいで、油断して迂闊な事を次々と口ばしってました」
「え? 何? あの2人、僕に知られたらマズい秘密でも有ったの? レズ関係だったとか?」
シャロルとジュリアは顔を手で押えていた……。
「ごめん……あたし、頭悪いから……マジで何から説明すればいいか判んない」
「ともかく……あなたの言動がおかしいのは……何度も記憶改竄された結果か……実は、あなたが私の知ってる『聖騎士ロンメル』じゃなくて、いつの間にか自分を『聖騎士ロンメル』だと思い込まされた他人と入れ替わってるのか……判断が付きません」




