出店
「ねぇねぇ♪ あれ何?」
「あれは出店だよ」
盗られないのかな……?
あんな風に外にお店なんか出しちゃったら盗まれちゃうんじゃないの?
「別に盗まれたりはしねぇよ。盗むは犯罪だからな。こんな街中でやろうとするやつはいねぇさ」
声に出していたかなぁ。
かなり疑問に思う。なんだか私の考えがルーちゃんに筒抜けになってるような気がする……。
「別に今回はちげぇよ。そんな事を考えているだろうなぁって思ったんだよ。お前、ちょー世間知らずだからよ」
「む……。私の扱いが段々と定着してきていない?」
そうやって私が頬を膨らませると、三人がこちらを見て一言。
「わがままだろ?」
「わがままですぅ」
「わがままなのです」
ず~んって私の頭の上に文字が落ちてきた。
「あ、でも空気は明るくなって私は好きなのです」
「そこは私も思うですぅ」
「まぁ……な」
ぱぁぁっと顔を明るくさせ、テンションがMaxに至った。
「ふふん♪ 私ってばやっぱりいなくちゃいけない存在なのよ!」
腰に両手をあてて勝ち誇った笑みを浮かべるカナの後ろで……、
「カナ様の機嫌が悪いと空気が悪くなるからこうするしかなかったのです……」
「まぁ……何となく予想はついていたけどよ……」
「ティマさんも大変だねぇ……」
二人してティマを慰めていたのだった……。
その事を知らない私は近くの洋服が出ている家を見つける。
「? あれも出店? お洋服を売るのもあるんだ~」
興味深そうに見ていると、奥から愛想の好さそうな大人の女性が出てくる。
「あら、可愛らしい嬢ちゃんねぇ。ここに来るのは初めてなんじゃないの?」
「うん♪ この街に来たの初めて♪」
「あら。この店にって意味だったんだけどねぇ。いらっしゃい」
「いらっしゃい?」
それってどういう意味だろ?
「知らないのかい? お店にお客さんが来たら、いらっしゃいって言って歓迎するのよ?」
「へぇ♪ そうなんだぁ♪」
笑顔で言う私を見て、おばちゃんはにっこりと笑った。
そんなこんなでいろんな服を見てきながら、少し不思議に思った事を聞く。
「そういえば今ってこんなにお日様が昇ってるのに人が入ってこないのはなんで? お店って人がよく入ってくるって聞いたことがあるんだけど……」
「そ、それは……」
おばちゃんが何か悪い事があるのだろうか? 顔色が悪くなったように見える。
それを見た私は洋服どころではなく、何かあると思って更に問い詰めた。
「聞かせてもらってもいいかしら?」
「じ、嬢ちゃんが心配する事じゃないよぅ」
あいそ笑いを浮かべるおばちゃんに私は左手を腰につけて右手でビシッとおばちゃんに指差した。
「ううん。聞かせもらうわ! 私がすると言ったらするの!」
「が、頑固な嬢ちゃんだねぇ……」
おばちゃんが更に困った顔をする。
このままならいけると思い、私は更に詰め寄ろうとした時――、
「カナ様! 何をしてるのですか!?」
「いきなり消えないでほしいですぅ」
三人がお店に入ってくる。しかも文句を言いながら。
「あぁもう! 三人ともタイミング悪いよ~」
はぁ、とため息をつく。
それと同時に、ルーちゃんだけちょっと気まずい雰囲気でいるので気になってみて聞いてみた。
「ルーちゃん? どうかしたの?」
「い、いや……。あのおばさんさ……。俺の……母さん……」
「…………?」
……………………ん?
やっとのことでルーガの言葉を理解した私は、理解と一緒に、おばちゃんをオトすための策を一瞬にして思いついたのだった。
とても口元をニヤケさせながら。
何故だろう……。
ヒスティマ~ゼロ~だと台詞が必然的に多くなってしまう……。




