惚れた
「てぇ……」
「クソ……何だよ、この女……」
「ば、化け物……」
死屍累々、一騎当千。
面白い具合に倒れて行った山賊たち。
飛び上がってきたら身動きが取れなくなる事を頭の隅に置いておくのが普通だと思うのだけど、どうやらこの山賊たちはバカばっかりだったらしい。
「あれだけの山賊を一つの魔法だけで倒せるのかよ……」
「いや、魔法がその範囲内だったって事だと思うですよぉ……」
えっと……二人は魔法が見えていなかったのかな?
私は範囲魔法じゃなくて強化魔法を使ったんだけど……。
一時的に自分を爆発的に強化する魔法。
私は場合、時属性だけどね♪
ここで説明♪
実は時属性は同じ時属性と神特有属性以外の基本属性へは優勢で、しかも抜群的にいいと言うチート的な属性だ。
最終属性も、その例外でない。
その代わり直接ダメージがある魔法はそこまでない。
阻害魔法の種類が一番ある。
「さて、二人ともいくよ♪」
「え!? こ、この山賊たちはどうするのですかぁ!?」
「そうだぜ!? ここで見逃せばこいつら絶対にまた――」
そうすると山賊の頭領が立ち上がって私の前に立つ。
「何? もう貴方達と戦う理由はないはずよ。力の差を――」
「惚れた」
「「……は?」」
…………ん?
「俺はラスベガス=リーレント。是非ラスと呼んでくれ」
ち、ちょっとまって。
「え、何? 私に……え?」
「俺は君に惚れたんだ。だから名前と返事を答えてくれ」
「わ、私の名前は閃蒼カナだけど……って私に惚れちゃったの?」
「ああ、だから返事を頼む」
しかも私の手をとってきた。
うん。まったくドキドキしない。
それもそっか。だって私は……。
「ごめんね♪ 私、もう決めた人がいるの♪」
「誰だ! そいつは誰なんだ!? 俺が倒して――」
「だ~め♪ 私の大切な……人なんだから……」
物憂げな瞳で言ってみる。
「だ……誰だ! 俺のカナにこんな顔をさせるのは!!」
誰が貴方のですか。ラス。
「カナちゃんに思い人……」
「そいつ。大変そうだな……」
あれ~?
なんか二人はその思い人に同情している様に見えるんだけど……。
「お、お頭……。俺も彼女は可愛いと思いますぜ! だからお頭の恋を応援しますぜ!」
「お頭! 俺もだ! 俺もお頭の恋を応援するぜ!!」
俺も俺もと山賊達が騒ぎ立てる。
――どうしてこうなったのかな……?
「わ、私もう行かなきゃいけないから……」
さすがにこれ以上ここにいるのはまずいと思い、先に進もうとする。
「どちらへ? 俺たちが送っていきまっせ!」
「お頭の思い人でっせ! 丁重にお送りしまっせ!」
すぐに前に入ってくる。
横に行く。
すぐに入る。
横に行く。
すぐに入る。
…………。
「マヒちゃん。ルーちゃん、つかまって」
「へ?」
「なんで――」
捕まらなきゃいけないんだ? と言うはずに言葉を途中で切り、二人の服を掴む。
そして思いっきりズシャッと音を鳴らしてジャンプ。
「カナちゃぁぁぁん!?」
「うわああぁぁぁぁ!!」
ギュンッと風がなって空に舞い上がる。
「あぁ!? カナ様ああぁぁ……」
「カナちゃん!? 何処に行くんだぁぁ……」
声が段々と遠くなっていって、聞こえなくなる。
私はそのまま空中で虚空し、街が見えるほうを探す。
近くに大きな町があるみたいだ。
「よし。あそこに行ってみよ♪」
「ちょ、落ちる! 落ちる!」
「こ、こんな旅だなんて聞いて無いですぅぅぅぅ。おろしてぇ……」
さすがに二人がうるさいので魔法を二人にも使う。
「〈フライト〉。これで落ちないでしょ?」
「す、すげぇ……。これが飛行魔法……?」
「まるで背中に羽が生えたみたいですぅ……」
それぞれの感想を聞いて、いい気分になる。
〈フライト〉は私の気に入っている魔法の一つだ。
よく空を飛びまわって遊んでいた。
こうやって空の飛ぶのは楽しいものだからだ。
風も、雲も、光も、全部を感じられて気持ちがいいのだ。
「それじゃあ行こ♪ 案内よろしく♪ ルーちゃん♪」
「案内だけだからな」
「旅仲間だから助け合うのは同然ですぅ」
「いや、俺はまだ了承してねぇよ!?」
ふふ、と笑いながら私は……いや、私たちは次の街へ向かった。
私は立鮮を求めて。
マヒちゃんはそんな私をさりげなく助けるために。
ルーちゃんは巻き添えだけどね♪
誤字、脱字、修正点があれば指摘を。
感想や質問も待ってます。




