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ヒスティマ~ゼロ~  作者: 長谷川 レン
第一章 白銀の少女
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もう一つの契約

「はぁ……。嫌な事思い出しちゃった……」

「それは……。一ヶ月ほど前の事なのですか?」

「私を御使いになったからでしょうか?」


ティマちゃんの隣にもう一人。

漆黒の髪が膝下まで届いていて、額には漆黒の宝石のようなものが埋め込まれており、顔は女顔。

涼しげな瞳には申し訳なさが浮かんでいる。

長身で、衣装は何重もの布で覆われており、一国の王のような気品を漂わせている。


「ううん。クロちゃんのせいじゃないから気にしないの♪ あれは……あれでよかったのよ♪」

「カナ様……」

「……わかりました」


クロと呼ばれた人物……いや、時の神〝クロノス〟はカナの言葉に従うのみだった。

彼とは数年前、時の加護を得ていたカナの前に突如として現れ、カナに試練を与えた。

それは試練というよりは地獄といった方がいいかもしれないが。

神の中でも特殊な『時』を使う〝クロノス〟の試練は苦戦を強いられたが、一回目はもう一歩と言うところで失敗。

危うく死にかけたが、なんとか命拾いをした。

諦めきれなかったので、何度も挑戦しては死にかけ、その度に強くなっていったと自分でも分かった。

ついに、〝クロノス〟の試練を成功させ、時の神〝クロノス〟と契約を結んだ。


「カナちゃーん!」

「大丈夫か!?」


後ろからマナちゃんとルーちゃんの――


「オイ今なんつった?」

「あ、あれ~? 私今声なんて出してたかなぁ?」

「つまり今俺に向かって最低な事を考えてたって事だよなぁ?」

「う……。ひ、ひっかけたわね!?」

「勝手に引っ掛かったんだろうが」

「クロ~、ルーちゃんがいじめるぅ」

「よしよし。後でその名も改めろよな?」

「クロちゃんまで敵に回るの!?」

「私は猫か!」


確かにクロって黒猫によく使うよねぇ。

でもでも、黒猫って時の神とかたとえ――


「無いのです、カナ様」

「へ、平然と心を読まないでぇ……」


どうして私の周りにはこうも平然と心を読む者ばかりなのか……。

私は不思議でならない。


「とにかく、無事で何よりですぅ。今日はもう暗くなってきたですし、私の家で泊まっていくといいですぅ」

「いいの!?」

「はいですぅ。ちゃんと明日の朝のご飯も用意するですぅ」


とりあえず明日の朝ごはんもゲット!

これは私にとってかなりプラスだね♪


「じゃあお言葉に甘えちゃうわ♪」

「では部屋に私が案内するですぅ」

「おい。待てよ」

「「?」」


どうかしたのだろう、ルーちゃんが立ち止まってついてこようとしない。

一体何がどうしたのだろうか?


「とにかくこの魔法解けよ!」

「この魔法?」


何か魔法を使われたのだろうか?


「お前がかけた性転換魔法だよ!! いつになったら解いてくれる!?」


なんだ、そういうことか。

それだったら……、


「その魔法はもう解けてるわよ?」

「は? だ、だったらなんで元に戻らねぇ!!」

「だって……、性転換魔法じゃなくて、それは新体転換魔法って言って、理を捻じ曲げちゃうから……つまり世界のデータを変えちゃうから、あなたの体はその体が本来の体って認識しちゃってるから心配ないよ♪」

「こ、理を捻じ曲げる……? そ、そんなことできんのか……?」

「ティマちゃんいるから簡単簡単♪ 世界の神であるティマちゃんは世界だからこそ、その世界に住んでいる住人の理を捻じ曲げれるんだよ♪」

「世界の……神……?」

「そういうこと♪ だから諦めなさい♪」

「も、もう二度と男に戻れないってこと……?」


ルーちゃんが呆けた顔で情けない姿勢のまま凍ったように動かなくなった。

無理もないだろう、だって目の前で一生戻れないって知ったんだから。

いや、私がもう一回新体転換魔法を使えばいいんだけどね♪


呆けたまま動かなくなったルーちゃんを中に入れて、執事やメイド達にいろいろな話をされたり、メイドさん達と一緒にお風呂に入ったりとして、その日の残りはかなり満喫して過ごした。

割り振られた部屋のベットもマヒちゃんの部屋のベット並みのふかふか感で、すぐにスヤスヤと寝てしまった。

クロとティマちゃんは何やらまだ話し足りなかったみたいだが、残念ながら私は疲れた。

と言うことでさっさと寝てしまった次第である。



余談


「ルーガさん……」

「……何?」

「ど、ドンマイですぅ」

「殺されたいのか?」

「お風呂あいたので、入ってもらっても結構ですよぅ?」

「この体で入れと?」

「だ、大丈夫ですぅ! 執事やメイドはもう仕事上がりですし、お風呂に入ることも無いですぅ。それのその体とはかなり長い付き合いになるのですから今のうちになれておいた方がぁ……」

「…………」

「…………」



「「なんでこうなったんだろう……」」



今日あったばかりの二人だが、かなり気が合いそうだと感じているのだった……。


思うところは、あの少女に振り回されるのがかなり疲れたということだろう……。

誤字、脱字、修正点があれば指摘を。

感想や質問も待ってます。

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