日常を歩く
——
——それから半年後。
セレンは、ギルド隊長であるアスレイという男と共に夜市へ視察に来ていた。
ギルド<アルカ>。
基本は依頼請負型の組織で、周辺住民の安全確保や魔物討伐などの任務をこなす。
戦闘・監視・育成・保護など複数の役割を持つ、大きな組織だ。セレンはその中の、戦闘班の一部隊に属している。
隊長であるアスレイは、威厳があるタイプというよりは温厚で人徳があるタイプ、そんな印象を受ける男だ。
セレンを連れ、社会勉強として、こうして視察任務に同行させているようだ。
……あれから、仲間に運ばれ医療室で目を覚ましたあと。
仲間たちにあの妖精のことを尋ねたが、数名捕らえた狩人から解放した妖精の中に、そのような妖精はいなかったという。
逃げ切った狩人たちに、あのまま連れていかれてしまったのだろう。
それからというもの、人探しに依頼したり、夜市に”使役妖精”として妖精が販売されている所に彼女が売られていないか探し続けているが、いまだ見つかっていない。
あれから随分経ち、もはや生きているのかも分からない。
セレンは一縷の望みにかけ、今日もとある夜市へ来ていたのだった。
「セレン、路地裏に闇市がないか見る。そこを入ると別の通りにつながるんだ」
アスレイはそう言うとすぐそばの路地を指さした。
「人目に付きにくいからここは変な店がよく出る。注意して見て回れ」
そう続けながら、路地へ入っていく。セレンも後ろを歩く。
路地に入ると、にぎやかだった夜市とは一変して、薄暗く怪しい雰囲気を漂わせていた。
騒音が小さくなる。二人は路地裏をゆっくりと進む。
「皆バレないようにやってんねぇ」
ポツポツと並ぶ店の品揃えをチラリと見ながらアスレイがぼやいている。
おそらく不当に手に入れたであろう、素材や装飾品が並んでいる。
二人に取り締まる権力はなく、持ち主の手から奪われたのだろう商品たちを見送っていくことしかできない。
奪われる前に干渉する。それが、彼らがこの世界でできる救済だった。




