狩人と赤光
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「油断はするな。森の奥までエリアを広げろ」
リーダーらしき男の声。
紋章の付いた黒い制服。
世界に数多あるギルドの中でも有数のギルド<アルカ>の戦闘部隊だった。
鍛えられた引き締まった身体、背筋を伸ばした立ち姿からは威圧感をうける。
彼らは、妖精狩りの動きを聞きつけ、掃討するために同じく森へ来ていたのだった。
「一人残らず捕らえろ」
その命令と同時に、一人の青年が森の中へ向かう。
森の中には馴染みのない深紅の髪。青年のグレーの瞳が世界を映している。
どこか近寄らせがたい雰囲気を漂わせている青年、セレン。
騒がしい方向へ目を向けると、銃を手にしながら森を進み、狩人たちをとらえようと急ぐ。
道中には、逃げ遅れたのであろう魔法動物、荒れた草木が倒れている。
ふと足元を見渡す。
草の陰に、魔法で束縛された様子の妖精が、言葉通り、落ちていた。
セレンは近寄り、膝をついて妖精をそっと持ち上げ、縛っていた力を解く。
髪がさらりと流れ落ちる。根元まで燃え尽きた羽。
地面を這おうとしたのか、指先には地面の土と血が混ざりあい、こびり付いている。
息はすでに無かった。
眠らせるようにそっとおろし、再び立ち上がろうとした時だった。
潜んでいた狩人が奇襲を仕掛けてくるのが分かった。衝撃魔法のようだ。
このままではこの妖精に当たり、はじけ散ってしまうだろう。
そう判断したのか、セレンは妖精を守るように、狩人の魔術を身体で受け止めた。
「……っ!」
魔法の音と同時、セレンの視界は覆われ、頭が揺れる。
世界は逆転し、狩人と自分の居た場所がはるか遠くに見える。
衝撃と共に飛ばされた身体は、森の奥まで貫くように飛び、地面に叩き落された。
セレンは自身の身体から流れ出ているものが、服と肌の間で拡がるのを感じる。
「カハッ……」
体内から逆流し、こみあげる。視界がぼやけ、意識が遠のいていく。
森の奥、まだ狩人たちの手が届いてない場所、木の葉が風に揺れる音が聞こえる。




