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月桂樹の下で  作者: 飴目
第2章

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憩いの場

 ——

 あれから、ナナセはフィリスたちと同じテーブルの椅子に座り、打ち解けた様子で話していた。

 いつの間にかキサもムーンバレルへ合流しており、少し離れた所でセレンと話しているのが見える。


 「他にも同じ班員が何人かいるけど、今任務でいないんだ。また今度会ってあげて欲しいなぁ」


 「ふふ、ぜひ」

 

 ナギとそんな話をしていると、カウンターの方から飲み物を運びながら歩いてくる人物がいた。

 店主らしき装いの人物は、ナナセに目を向けると気さくな口ぶりで声をかける。

 

 「あぁ、君がナナセって妖精の子?いらっしゃい。ここを任されてるルナだ。セレンやキサから話は聞いてたよ」


 ルナはそう言うと、誰かが頼んだらしいグラスをテーブルの上に置く。


 「え。ルナには話してたのかよ!キサまで!」


 「……まぁ」


 そんな会話をするナギとセレンを横目に、ルナはナナセに笑いかけた。


 「俺も聞いたのは最近だけどね。顔色が良さそうで安心した。またいつでもおいで」


 「……ルナさん、ありがとうございます」

 

 「セレンなんて、ナナセが来る前はほとんど入り浸りだからねぇ。今も自室よりは長く居るんじゃないの?」

 

 「ルナ」


 それ以上は話すなと言わんばかりに会話を制止したセレンに、ルナは悪戯っぽく笑っていた。


 ——


 「ナナセ、そろそろ戻ろうか」


 しばらくして、キサがそう言いながら庭園に目を向けた。

 いつの間にか、花壇を照らしていた真昼の陽ざしがすこしやわらいで、午後の傾きを見せ始めていた。

 

 ナナセが頷いて、椅子から立ち上ろうとすると、セレンがそっと椅子を引いた。


 「あ……ありがとう」


 「……送る」


 セレンはそう言うと、庭園へと歩き出した。

 陽ざしに照らされて透き通った赤い髪が風にふわりと揺れている。

 

 「ナナセちゃん、またね」


 「はい、また。楽しかったです」


 皆に軽く手を振りながら別れを告げて、ナナセもセレンの後を追うように庭園へ向かった。

 

 ムーンバレルの日陰から出ると、日向の明るさに一瞬目が眩む。

 

 ナナセたちが丁度店にいる頃妖精たちが庭園に水をやったのか、雫を乗せた花がきらきらと輝いていた。


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