憩いの場
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あれから、ナナセはフィリスたちと同じテーブルの椅子に座り、打ち解けた様子で話していた。
いつの間にかキサもムーンバレルへ合流しており、少し離れた所でセレンと話しているのが見える。
「他にも同じ班員が何人かいるけど、今任務でいないんだ。また今度会ってあげて欲しいなぁ」
「ふふ、ぜひ」
ナギとそんな話をしていると、カウンターの方から飲み物を運びながら歩いてくる人物がいた。
店主らしき装いの人物は、ナナセに目を向けると気さくな口ぶりで声をかける。
「あぁ、君がナナセって妖精の子?いらっしゃい。ここを任されてるルナだ。セレンやキサから話は聞いてたよ」
ルナはそう言うと、誰かが頼んだらしいグラスをテーブルの上に置く。
「え。ルナには話してたのかよ!キサまで!」
「……まぁ」
そんな会話をするナギとセレンを横目に、ルナはナナセに笑いかけた。
「俺も聞いたのは最近だけどね。顔色が良さそうで安心した。またいつでもおいで」
「……ルナさん、ありがとうございます」
「セレンなんて、ナナセが来る前はほとんど入り浸りだからねぇ。今も自室よりは長く居るんじゃないの?」
「ルナ」
それ以上は話すなと言わんばかりに会話を制止したセレンに、ルナは悪戯っぽく笑っていた。
——
「ナナセ、そろそろ戻ろうか」
しばらくして、キサがそう言いながら庭園に目を向けた。
いつの間にか、花壇を照らしていた真昼の陽ざしがすこしやわらいで、午後の傾きを見せ始めていた。
ナナセが頷いて、椅子から立ち上ろうとすると、セレンがそっと椅子を引いた。
「あ……ありがとう」
「……送る」
セレンはそう言うと、庭園へと歩き出した。
陽ざしに照らされて透き通った赤い髪が風にふわりと揺れている。
「ナナセちゃん、またね」
「はい、また。楽しかったです」
皆に軽く手を振りながら別れを告げて、ナナセもセレンの後を追うように庭園へ向かった。
ムーンバレルの日陰から出ると、日向の明るさに一瞬目が眩む。
ナナセたちが丁度店にいる頃妖精たちが庭園に水をやったのか、雫を乗せた花がきらきらと輝いていた。




