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神様リスナーと転生者  作者: キャズ
武闘大会

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第53話 ニーリェ対ディクス

 ダッドとニーリェの試合が終わり、しばらくすると試合に負けたダッドが戻ってきた。戻って来たのはダッド一人。ニーリェは少しの休憩の後で次の試合があるから、今ごろその準備をしている事だろう。

 戻って来たダッドは手を振りながら僕達と合流すると、申し訳なさそうにロザリンに話す。


「すいませんお嬢。負けちまいやした」


 ロザリンはプクーっと頬を膨らませて不満そう。


「後ちょっとでしたのに、もっと強力なスキルをバンバン使えば勝てたんじゃありませんの?」


 リドルとルドリも文句を漏らす。


「そうそう。ダッドはスキルの手数が強みなんだからさ」


「もっと派手な戦いしてほしかったよなー」


 そんな意見にダッドは呆れた様子で返す。


「いやいや、スキルってのは使えば良いってもんじゃないんスから。ニーリェさん程の実力者だと、下手にスキルを使っても隙を晒すだけっスよ」


 やれやれといった感じで反論したダッド。するとロザリンは不満そうな雰囲気を止め、今度は優しそうな包容力のある笑顔を向けて言う。


「それともう一つ。ダッドはこの試合、楽しめましたの?」


「へい。良い試合ができやした」


 そしてロザリンとダッドは闘争心に満ちた掛け合いを交わす。


「次は勝ちますわよ。ダッド」


「へい!」


 それから他の会場での試合も終わり、最終トーナメントを戦う16名が決まった。

 ニーリェの出番は第一試合から。そしてその相手はニーリェの兄、ディクスであった。ニーリェはこの大会でディクスと戦う事を目標としていたのだけど、それが早速叶う形になったみたいだ。


 そして試合開始直前。

 ニーリェは前と同じく、ちょっとした準備運動をした後で斧と盾を構えた。緊張しているのか少しぎこちなく見える。

 一方ディクスはとてもリラックスしている様子。槍をクルクルと回した後でホームラン予告の様に槍を構えている。


「ニーリェ・ドーランズとディクス・ドーランズ。兄妹対決だな」


「うん。物語とかだと盛り上がり時だね」


「兄と妹の対決。事実上の決勝戦だな」


「あ、また言うんだ」


 と僕達が感想を言っていると、僕達の背後から聞き覚えのある声。


「お、丁度試合が始まる頃みたいですよ」


 ベドゥイだ。同じ騎士団の仲間であるカルスとミルカも一緒で、多分団長であるディクスの試合を見に来たんだろう。トーナメント表を見るにベドゥイもカルス勝ち上がってはいない様だし、きっと僕達と同じ観戦組だ。


「あ、ベドゥイさんだ。やっほー」


「先ほどはどうも、可奈芽さん」

「こんにちは」

「討伐作戦依頼ですな」


 と騎士団の面々と挨拶を交わすと、僕はディクスの騎士団の中にニルスンが居ない事に気付く。


「あれ?ニルスンさんは?」


「あー、ニルスンは来てないよ。休日は一人で自由行動しったいってさ」


「ほーん。そういうタイプね。っとそろそろ始まるっぽいよ」


 ちょっとした話しをしていると試合開始の時間となった。


 始まるや否や、ディクスは身構えているニーリェに向けて素早く力強い槍の一撃を放った。

 ニーリェはそれを盾で止め、弾く事で体勢を崩す事を試みる。

 だけどディクスは弾かれた反動を乗せ、柄の部分でニーリェの頭部へ打撃を食らわせた。反動まで加わった攻撃をモロに受け、体勢を崩したのはニーリェの方だった。

 ニーリェはよろけた足を踏ん張り持ち直し、再び構えをとる。

 今度はニーリェが自分の番だと言わんばかりに攻撃をしようとするが、ディクスは槍でそれを牽制、反撃のチャンスを許さない。

 槍と片手斧ではどうしてもリーチ差がある。有効打を与えるにはどうしても近づかなければならないのだけど、近づこうとすると刺突が襲ってくる。下手に盾で受けても別の攻撃を食らう事が分かった今、うかつに近づく事は出来ない。だけどディクスの方は槍の間合いで一方的に攻撃、ニーリェを追い詰めていく。

 そんな様子を見ながら僕達は感想を言い並べる。


「やっぱり、近づけない事にはどうしようもない感じですね」


「リーチ差があり、実力もディクスの方が上、これは厳しい戦いになるな、ニーリェよ」


「なんとか突破口を作れればいいんだが」


 何か手はないものかと思い、僕はダッドに聞いてみる。


「ねぇダッドさん。こういう場合ってどういう風に戦えば良いと思う?」


 ダッドは前に槍を扱う相手と戦って勝っている。何かコツとかはないものかと聞いてみたけれど、難しいのかダッドは腕組みしてうーんと唸る。


「槍の使い手が相手だと、斬撃や衝撃波を飛ばすといったスキルでの攻撃でリーチ差を補う方法や、俺がやったみたいに隙をみて接近し、至近距離での戦闘に持ち込む方法っスね。ですがディクスさん程の相手だと、まず接近を許してはもらえんでしょうし、その上ニーリェさんはスキルも心もとないとなると、相当難しいでしょうね」


「そっかー、やっぱりディクスさんだと相手が悪いのか」


 ニーリェも上手く凌いでいるけれど、このままではじり貧だ。

 状況を打開するために無理して近づくが、さっきみたいにニーリェが攻撃を防いだ瞬間を狙って追加攻撃、槍の攻撃は防いでいるものの、追加で放たれる棒術攻撃に対応できていない。ボコスカと殴られ放題やられ放題だ。


「これは、ニーリェさんのクセを見抜かれてますね」


 ベドゥイが感想を漏らし、僕はそれを聞き返す。


「癖?」


「はい。ニーリェさんは、自分にとって脅威となる攻撃だけは食らわない様にしようって意識が強いみたいです。だから刺突だけは防ごうと立ち回っている。それ故に他の攻撃への対処が疎かになり、突き以外の攻撃を受け続けている」


「あー、ディクスさんは槍の穂先を囮にしてる感じなのか」


 試合の様子をよく見てみると、確かにニーリェは槍の穂先を注視し続けている。そして穂先による攻撃に対応する隙を狙い、別の攻撃を繰り出していた。注意をしていない所からの攻撃にニーリェは対応できていないのだ。

 このままやられっぱなしではいられないとニーリェは盾を構え、突進攻撃。槍の刺突を盾で防ぎ、追撃が来る前に一気に接近。ようやくニーリェの間合いにまで近づけた。


「お!これなら」


「いや、団長にはまだ奥の手がある」


 一気に至近距離まで近づいたニーリェ。ニーリェはそのまま盾での打撃をかまそうとするが、そんなニーリェに向けてディクスのさらなる攻撃が放たれた。

 蹴りだ。ニーリェの攻撃が当たる瞬間、ディクスはキックをニーリェに当てた。どうやらディクスは槍術と棒術に加えて体術までも使えるらしい。

 蹴りを食らったニーリェはグラリと体勢を崩す。

 一瞬の無防備、その一瞬をディクスは見逃さない。追加で蹴りを3発入れ、続いて棒術での4連撃、そして締めに槍の刺突でフィニッシュ。格闘ゲームの超必殺技めいた華麗なコンボ攻撃だ。

 猛攻を受けつつも穂先は気を付けていた様で最後の刺突は防いだ様だけど、他は全てモロに食らってしまった。攻撃を受けた際に斧も手放してしまっている。ニーリェはまだ立ってはいるものの、足をガクガクさせて立っているのがやっとという雰囲気だ。


「ここまでか」


「うむ。ニーリェさんも頑張ったんだが、団長が相手だと流石にな」


 ズタボロで満身創痍のニーリェ。まだまだ余裕あり気のディクス。2人は向き合い何かを話している。きっとこれで最後だ的な事を喋っているんだろう。

 そして、ニーリェは盾を構えて突進の準備、ディクスは腰を低く落として今までとは別の構えを見せる。


「あの構えは!」


「うわー、団長も容赦ないですねぇ」


 騎士団の面々はディクスが何の攻撃スキルを放つのか知っている様子。そして僕もディクスの構えには見覚えがある。あれはディクスの必殺の槍スキル。


「あれって、スパイラルランス?」


「あぁ。団長が使うスキルの中でも最強のスキルだ」


「きっと、最後は互いの最強の攻撃で決着をつけようとか話したんだろうな」


 そうしてニーリェとディクスの攻撃は衝突する。

 ニーリェはもう限界の状態で、攻撃スキルも見て分かる程に弱体化しているへろへろな突進。

 一方ディクスは渾身の力で螺旋をまとった槍の一突きを放ち、突進してくるニーリェに直撃させた。

 その力は当然拮抗する事は無く、ニーリェはあっさりと競り負け、ぶっ飛ばされたニーリェは地に伏した。そしてニーリェの体はその場から消えていく。この試合、ニーリェの負けだ。


「うーむ。負けてしまったか、ニーリェよ」


「仕方ないですよね。相手はニーリェのお兄さんで、完全に格上って感じでしたし」


「ニーリェも負けて落ち込んでるだろうし、戻ってきたら慰めてあげるかぁ」

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