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神様リスナーと転生者  作者: キャズ
シシルーのデート

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第46話 花火の打ち上げ

「皆、大変!なんか花火が中止になるかもしれないって!」


 僕は解散しようとしていた皆を呼び止める様に声を放った。

 それを聞いた皆は足を止め、Uターンして僕に詰め寄る。


「え?何?どういう事?」

「感知スキルで何か聞いたのか?」

「どういう事か説明してくれんか?可奈芽よ」


 僕は神様に詳しい事情を聞きつつ、それを皆に伝えていく。


(どうやら、締めの花火担当の方々が食当たりになってしまったみたいですね。自分達で作った貝料理に当たってしまった様で、とても来れる状態ではないらしいです)


(あららー)


「えーっと、感知スキルで小耳に挟んだんだけどね。なんか花火担当の人達にトラブルがあったらしくて、予定に間に合わないっぽい」


 僕の言葉に皆はざわつく。


「どうしましょう。せっかくいいムードになると思ったのに」


「だよねー。花火が上がるロマンティックな雰囲気の中でちゃんと告白しようって言ってたのに、中止ですなんて事になると、これどうしようって空気になっちゃうよ」


「花火かー。どうにかなんねぇもんかなぁ」


 花火の中止に不安な様子を見せるシシルーの幼馴染達。

 せっかく好き同士だった幼馴染の2人が告白を決意したんだ。良いムードの中でさせてやりたい。そんな思いが見てとれる。

 そんな中、リディルカがなにやら考えながらも口を開く。


「ふぅむ。もしかしたら何とかできるやもしれん」


「え?どうにかなるんですか?花火には専門の魔導士が必要って聞いたんですけど」


 この世界の花火は、僕の世界での花火とは違い魔法由来のもの。夜空に花を咲かせる感じの代物なのは変わらないけれど、打ち上げられるのは価値の低いクズ魔石を加工して作られた特殊な魔道具。打ち上げるにも専門の魔道具と魔導士が必要になるもので、僕の世界の花火と似てはいるけれど、構造は全くの別物なのだ。

 フィルシィの問いにリディルカは胸を張り自慢げに答える。


「うむ。このリディルカ、花火にも心得がある。花火の制作まではできんが、花火の打ち上げならば可能だ」


「おー。さっすがリディルカ」


 解決できるかもしれないとなれば迷う必要はない。


「行こう!」


 僕達は現在準備中である花火の会場へと向かった。


 花火の会場、と言っても花火を見る会場ではなく打ち上げる場所。花火を見る所として指定された広場から少し離れた所に花火に必要な物だろう設備やら物資やらが置かれている場所があり、そこでは数名の人物が暗い表情で話し合っていた。


「やっぱり駄目みたいです。数日前にならともかく、流石に当日となると厳しい様で」


「うーむ。これはやむを得んか」


「中止にするしかないかもしれませんね」


 関係者らしき人達が中止を決定しようとしていたその時、


「その中止、ちょっと待ったー!」


 僕達は話しに割って入って待ったをかけた。


「ちょ!誰だアンタらは!!」


 突然の部外者の出現で困惑する祭りの関係者を前に、僕は真打登場と言わんばかりに言い放つ。


「話しは聞かせてもらった。僕らが手を貸すよ!」


「いや、ホントに誰だよ」


「えっと。確かに私達は今困っていて、それを助けたいという気持ちは有難いのですが。こちらとしても、いきなり現れたどこぞの誰とも分からない者からの申し出を気軽に受ける訳にはいきません。お気持ちは有難いのですが」


 祭りの関係者の一人この場の責任者らしき人物は、困惑しながらも、ごもっともな理由で協力を拒もうとしている。まぁいくら困っているとは言え、どこぞの馬の骨とも知れない奴が助けますよと言って来て、すんなりありがとう助かりますとはならないか。

 協力を拒否される雰囲気。さてどうしようかと思っていると、祭りの関係者の一人、拒否している人とは別の人がふと気付いた感じの声を上げる。


「あ!貴方達はもしかしてリトライズの?」


「おう」


「やっぱり。いつも配信見てますよ、リトライズの皆さん。ここに来たという事は、可奈芽さんの感知スキルで状況を見て来たという事ですか?」


 どうやらリトライズの視聴者みたいだ。これはひょっとするとひょっとするかもと思い、僕は事情を話していく。


「うん。感知スキルで色々見てたら偶然聞いちゃってね。リディルカが花火にも心得があるって言ってたから、もしかすると助けになるかなもって思ってさ。シシルーも花火楽しみにしてたし、僕達で中止を止められるのならなんとかしたいなって」


「なるほど、花火を楽しみにしている仲間のためにですか」


 僕の話しを聞いた視聴者さんは少し考え、責任者らしき人に訴える。


「親方。ここは協力をお願いしてみませんか?俺、きっとこの人達ならやってくれると思うんです。もし問題が起きたら自分が責任を取ります。だから」


 その訴えを聞いた親方と呼ばれた責任者らしき人は視聴者さんに問う。


「そのリディルカって嬢ちゃん、実力は確かなのかい?」


「それはきっと大丈夫です。リディルカさんは全ての属性の魔法を自在に操れる凄腕の魔導士で、元はAランクパーティー青き双翼にも所属していた方です。そんな人が出来ると言うのですから。きっと大丈夫ですよ」


「うむ。このリディルカに任せるが良い」


 リディルカを信じる視聴者さん。自信あり気に言うリディルカ。それを見た親方は少し考え、答えを出す。


「分かった。このままだったらどの道花火を中止するしかねぇからな。ダメで元々ってやつだ。それと・・・」


「それと?」


 何やら条件があるらしい。親方は一息入れ、優しい声色で言う。


「もしもの時に責任取んのは俺だ。いいな?」


 それを聞いた視聴者さんはパァっと笑顔になり、親方に頭を下げ、感謝の言葉を放つ。


「ありがとうございます!親方!」


 こうして僕達は、祭りの締めで行われる花火が中止にならない様に手伝う事となった。

 リディルカは予め用意されていた設備や道具をチェックしながら僕達に告げる。


「予想通り。粗方準備は済んでいるな。後は仕上げだけで出来そうだ」


「本当ですか?」


「うむ。それで、その仕上げのために多少用意してほしい物があるのだが、皆にはそれを集めてほしい。それから準備も手伝ってくれ」


 リディルカの要求に「はい」「分かった」「りょーかーい」と賛同の声が続いた。

 リディルカは今何が不足しているのかを伝え、僕達は祭り関係者の人達にも協力してもらい、街中でそれを買い集めていく。

 そして、必要な物を買い集めながらもリディルカの指示に従いながら打ち上げの準備を進めていく。ただ置かれていただけの設備は綺麗に整列され、用意された魔道具は取り付けられたり組み込まれたりし、着実に準備が進んでいるのが素人目にも分かる。

 準備は順調。だけど時間は着々と迫っていた。時間はギリギリだ。まぁ中止しかないとなっていた所を無理やり続行したのだから無理もない。気付くと開始時間と準備完了、どちら先になるかという状況になっていた。


「もうすぐ始まるよ!」


 感知スキルで会場の様子を見ていた僕は皆に状況を伝えた。そこから僕は開始までのカウントを始める。

 一方皆は急ぎつつも丁寧に魔道具を装置へと組み込み、準備を進めていく。


「もうちょっとー」


 カウントが5を宣言された所でフィルシィが最後の準備を終え、打ち上げ準備は整った。


「終わったぜリディルカさん」


 リディルカはポーズを決めて言い放つ。


「では、ミズディア祭に来ている方々にお魅せしよう。このリディルカの超絶至高の花火をな」


 そして僕が「3、2、1、0」とカウントを終えると同時にリディルカは魔法を放った。

 最初は装置に装填された魔道具に魔法を放って魔法を込め、それを風魔法で射出する。射出された花火用の魔道具は炸裂し、その魔道具と込められた魔法によって様々な花を夜空に開花させる。

 その花火の光は僕の世界の花火とは少し違った綺麗さがあって、なんというか電子的で、まるで夜空にネオン街の光が映った様だった。花火というイベント、そしてネオンの街を連想させるこの光は僕を否応なしにセンチな気持ちにさせる。そんな花火を見て、僕はほんのちょびっとだけ涙をこぼした。

 リディルカは次々と魔法を込め、次々と花火を打ち出していく。込められた魔法によって色を変える花火は、その日の夜空を花畑へと変えたのだった。


「なんというかさ」


「ん?」


 僕が花火を眺めていると、ニーリェが話しかけてきた。


「今まで遠くから見た花火しか知らなかったけど、こういう花火も悪くねぇな」


「だね」


 きっと遠くから見た方が綺麗に見えるものなんだろうけど、自分達が準備を手伝ったという事もあって、目で見えている以上にその花火は綺麗に感じた。

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