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誤字・脱字等を修正いたしました。27.5.6

 夕食も済ませて外に出た。裏の方がなんだか変な魔力を掴んだのだけど………強いわけでもない。弱いわけでもない。動きはこちらを警戒しているようななんとも言えない距離ね。あの厄介な魔物が入ったんだわ。


「どうした?」


「………魔力が気になったのよ」


「魔力?」


「そう。厄介な魔物よ。………倒してきてくれないかしら?」


「報酬をもらう」


「住まわせてあげたのだからそれで帳消しにしてもいいんじゃないかしら?」


「厄介なのだろう?情報を寄越さないなら帳消しにもならない」


「―――鳥型の魔物よ。相手の魔力を吸ってその魔力で攻撃してくる嫌な魔物。鳥の癖に魔力に反応して夜目が効く。大きさはやや小型より。翼が広いけど柔軟があって襲うときは抵抗をなくすために翼を曲げて嘴で攻撃するわ。厄介なのはそれを同時に行うこと。属性は風。魔力を奪ってエアカッターを打ち込んできたら本体が高速に突っ込んでくるの。そして触れた瞬間に相手の魔力を奪うわ」


「面倒だな」


「この森は本当だと中級者向けよ。今はどのランクも付けられないわね。極たまに上級者向けの魔物が出るくらいよ」


 私の結界の範囲を広めたからそうなったのだけど………大方、魔力に当てられて逃げた魔物と魔力の引かれて来た魔物で少し変わったのでしょうね。気にしなかったけど。おかげで魔物は弱い方だと思うのよね。子どもたちも人数がいれば倒せるレベルだから気にしなかったけど………


 今回の魔物は久しぶりに見る気がするわ。美味しくもないし、好きではない鳥なのよね。しかも、見た目もちょっと可愛いから厄介なのよ。と付け加えてみたら熊男の反応はない。とりあえず行くのかを聞けば行ってくれるらしい。その言葉を残してさっさと駆け出していった。速いわね。


 しばらく待っていたら私があそこだろうと目星をつけていた暗闇の木々からけたたましい鳴き声が響く。そう言えば顔は可愛いのに声はだみ声のように汚かった事を思い出したわ。さらにしばらくすれば熊男が帰ってくる。服は腕を掠めただけのようね。ご苦労様とでも言っておきましょうか?


「回復ぐらいはするわよ。塗り薬で」


「………問題ない。放っておく。傷が悪化しそうだ」


「そう?大したことなくてよかったわ」


「埋めてきたからな。素材は無理だ。八つ裂きにした」


「それでいいわ。いらないもの」


 これで居候が帳消しか………まあ、五羽も相手にしてこれだけの怪我なら大したものよね。数も聞かずに行ってしまうからどうしようかと思ったわ。夢に出て来るつもりだったのかしら。そうしたらしばらく寝ないわ。そして夢も見ないほど熟睡するわね。


「で?話とは何かしらね。あまりに長い話は遠慮して。寒いんですから」


 で。なぜ無言で抱き締めるのかしら?避けようにと熊男の距離を警戒しなかった私の愚かさを呪いたいわね。最近、気が緩んでいるわ………


 人一人分を開けて会話は今度からやめましょう。あと二人っきりになるのも駄目よね。そんなこと言いつつ二人っきりになってしまったけど。何をしているのかしら、私。熊男の胸板は固くて好きじゃないのよ。柔らかくても嫌ですけど。加減をしてくれればいいのよ、加減を。叩いたら緩んだわ。でも―――逃げ出せない。


「逃げなくなったな。ホルティーナ」


「貴方が腕を掴むからでしょう?なによ、これ」


「寒いと言うからな。こうすれば暖かい。残念なのは布があることか………このままでもいいだろう?」


「変態熊男。………で、話は?」


「そろそろホルティーナが俺に揺らぐと思ってな。抵抗も少なくなってきたし。俺の奥さんになってくれると確信を」


「漬け込んできたわね。揺らいでいません。奥さんとやらにもなりません」


「………………それは、ホルティーナがハーフエルフだからか?」


「―――殿下にも言ったけど愛して愛されて、残されるのは辛いのよ。五百年間………ここに暮らしていった過去の子どもたちの天命の数なんて分からないわ」


 涙は出ないものですけど、悲しさはずっと胸の奥に残っているものよ。でも後悔はしていないわ。『生きたい』と願った子どもたちですもの。その手助けを出来たこと、とても誇りに思う。その子たちも満足で天命を迎えたのならこの悲しさも納得できる。


 次々と子どもたちがここへたどり着くから、時々に寂しいと思うだけ。次があるから振り向いていられない。でもたまに辛いと感じて休むのよ。それでも、やめたりはしない。


「まさか、これだけのために話がしたいなんて言った訳じゃないわよね?」


「ホルティーナが返事をくれないからだろう。俺はこんないもホルティーナを求めているのに、だ。嫁にするまで諦める気はない」


「嫌だと言っているでしょう」


「俺は好きだ、ホルティーナ。俺の嫁になってサーバルナータ家の一員になってくれ。もちろん家は本邸ではない。別宅を用意して二人で暮らす。なんだったらホルティーナの好きな暮らしを用意する」


「なにか釣り始めたわね。嫌よ。貴方と結婚したら孤児の子たちの居場所がさらになくなるじゃない。そして貴方はさっさと死ぬ。仮に愛したとして夫をなくした夫人の居場所なんてないわよ。貴族なんてやってられないわ」


「なら、俺がこっちに嫁ぐ。問題ない。家は捨てる」


「なに自分を押し売りしているのよ。殿下の幼馴染みなら貴方は公爵の地位は絶対あるでしょうっ!そんな簡単に捨てられるわけがないわ」


「いや、それが簡単に捨てられる。俺は貴族で言う忌み子。混血だ。継ぐこともできないし今は城に這いつくばっているだけだから簡単に出られる」


「………なによ、それ。嫁いだらなおさら当てられそうじゃない」


「問題ない。国への貢献は裏の方で果たしまくった。表も功績を納めておる。王から今回の任務を成功させれば褒美がもらえる。おかげで少しの融通が聞くだろう」


「………貴方、熊男よね?」


「ゼフォンドだ」






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